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青の洞窟

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「青の洞窟、かもしれません。」


ああだこうだと言い合う船長達に、コーネルさんがポツリと呟いた。
青の洞窟?そう言えば、青い洞窟って言ってたっけか。


聞いたはずなんだが、最後の言葉がすげえショックだったから、歌の細かいところが曖昧になってるな。
もう一度聞かせてもらえねえかな。


「サイ?他に情報はありませんか?」


うおお。びびったあ。
いきなり巻き貝が目の前にくんだもんな。


コーネルさん、エスパーかよ。
何で俺がもう一度アサイー帝の歌を聞きたがってるのがわかったんだ?


「サイ。また聞きたいって顔してたよ。」


驚く俺に、呆れた様子でオルが言う。
顔に出てたか?前にも言われたな。


「ふふ。さあ。もう一度、どうぞ。」


う。いいのかな?
船長は。頷いてるな。


情報しっかり取ってこいって顔だ。
これは、気合い入れないと。


「じゃあ、もう一度、お借りします。」


「どうぞ。」


どうも。
軽く頭を下げて、巻き貝を受け取る。


耳に当てて、もう一度アサイー帝の歌を聞くと、青い洞窟とはっきり歌っていた。
青い洞窟って、本当に青いのか?


進めば戻されるってのも、わかんねえし。
これ、報告しそびれたな。


バジリスクのくだりは、ちゃんと覚えてた。
合わせ鏡で戻れるんだよな。


最後はなぞなぞがあるらしいが、教えてはくれないんだよな。
うん。歌のくだりは覚えた。


最後のメッセージは、いいや。
すげえはっきり覚えてるから。


覚えたことを頭の中で確認して、巻き貝をコーネルさんに返す。
そして、さっきの報告に覚えた情報を付け足して話す。


「成る程。では、青の洞窟で間違いないでしょう。あそこを発見したのは、アサイー帝ですから。」


俺の説明に、コーネルさんはしきりに頷いていた。
アサイー帝が発見した洞窟なのか。当たりっぽいな。


「たしか、前に近くまでは行ったな。ヤジス。」


「ええ。船長。瓦礫峠の先です。覚えてますよ。」


船長とヤジスさんは行く気だ。
船長、上機嫌だな。


「最後がサイちゃんにしかわからないなぞなぞなら、手付かずよねえ。」


「それどころか!アサイー帝が隠れ家にしてた場所かも!」


「洞窟か。食料の調達をしないとな。」


「燃料も、いる。」


副船長にオルも興奮気味だ。
おやっさんとイージスさんは、準備の話をしてるが、顔は笑ってる。


マジで行くのか。
そこにお宝があるって歌ってるわけじゃねえのに。


やっぱ、海賊なんだな。
お宝の匂いを嗅ぎつけると、皆、顔つきが変わるんだ。


まあ、かく言う俺も、宝探しの予感にワクワクしてきてんだけどな。
次の冒険は決まりだな。
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