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レッドキャッスルのお茶会
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「あ、あの。」
さすがに、このままじゃゆっくり飲み食い出来ないと、席を代わって欲しいと船長を見ると、軽く首を振って却下された。
俺、まだ何も言ってねえんだけど。
「ごめんね。サイちゃん。コーネルの顔に負けない子でないと、コーネルの近くには座れないのよ。」
「サイの他にいないんだよ。頼むわ。」
「僕でも良いんだけど、気に入られてるから、サイ。」
疑問で一杯の俺に、副船長とヤジスさんが苦笑しながら、オルが良い顔で教えてくれる。
オルは明らかに面白がってんな。
まあ、わかるけどさ。
この隣の超絶美形を視界に入れながら、平然とお宝の話が出来るのは、たぶん、向こう側にいる3人だけなんだろう。
本当なら、オルも向こう側に入るか、今、俺がいる場所に座ってるんだろう。
何故か俺がここに座ってるから、オルが隣でフォロー役になってるけどな。
納得はいかないものの、騒いでもどうにもならなそうだと悟り、頷いて、諦めて席に着く。
俺が席に着いたのを見計らったように、黒服の人がお茶を出してくれる。
この人も部屋に入ってたんだな。
全然気がつかなかった。
青い波模様の描かれた白い磁器のカップだ。
中のお茶が青い。これ、緑茶か?
いや、レモンみたいな柑橘系の香りがするから、ハーブティーみたいなもんかな。
焼き菓子に合いそうだ。
「ふふ。さあ、どうぞ。オスカー。召し上がって下さい。」
船長が頷いて、コーネルさんが取り分けたケーキを受け取ると、他のメンバーも各々お菓子を取り始める。
俺には、コーネルさんが取り分けてくれた。
ちらっと船長を見ると、頷いてたから、もらって良いみたいだ。
ナプキンを膝にかけてもらって、完全ガキ扱いだが、構うもんか。
俺は腹減ってんだ。
それでも、船長が食べてからケーキをフォークで切り分けて食べる。
下っ端が船長より先にがっつくのは無しだろうからな。
一口食べると、口の中で溶けるように無くなった。
これ、スポンジケーキじゃねえの?
味はスポンジケーキだけど、口当たりがめちゃくちゃ良い。
少し大きな塊を口に入れても綺麗に崩れて飲み込める。
こんなケーキもあるんだな。
すげえ、美味え。
あっという間に食べちまった。
お茶も一口飲むと、柑橘系の香りが口に広がって、さっぱりした後口の緑茶だった。
異世界にも緑茶ってあるんだな。
俺、このお茶好きだなあ。
どこで買えんだろうな。
ん?
いつの間にか、チョコレートケーキが置かれてる。
うん。こいつも美味い。
濃厚なショコラの香りが口に広がって、砕かれたくるみみたいな木の実が食感にアクセントを加え、少しの苦味が残る。
大人向けのチョコレートケーキだな。
これなら、船長もいけんじゃね?
「風が凪いでしまって、大変だったのでは?」
「ああ。思うように進まなくてイライラした。」
「でも、島が見つかってからは早かったのよ。」
「サイがいたからね。」
俺は知らなかったが、お菓子に夢中な俺を眺めながら、和やかに宝探しの顛末が話されていた。
ん?呼ばれたか?
「サイがすごかったねって話だよ。」
「何が?」
俺の話って、何かあったか?
首を傾げていると、オルは側に置いてた袋から、石のランドセルを出して、近くにある小さなテーブルに置いた。
「すっごく珍しいもの見つけてくれたじゃないか。ほら、これ。」
あ、俺が偶然取っ掛かりを見つけたって話ね。
アサイー帝は日本人だったみたいだからな。
「おや、それはもしや。」
コーネルさんが、慌てて石のランドセルを調べ始める。
やっぱ、珍しいもんなんだな。あれ。
さすがに、このままじゃゆっくり飲み食い出来ないと、席を代わって欲しいと船長を見ると、軽く首を振って却下された。
俺、まだ何も言ってねえんだけど。
「ごめんね。サイちゃん。コーネルの顔に負けない子でないと、コーネルの近くには座れないのよ。」
「サイの他にいないんだよ。頼むわ。」
「僕でも良いんだけど、気に入られてるから、サイ。」
疑問で一杯の俺に、副船長とヤジスさんが苦笑しながら、オルが良い顔で教えてくれる。
オルは明らかに面白がってんな。
まあ、わかるけどさ。
この隣の超絶美形を視界に入れながら、平然とお宝の話が出来るのは、たぶん、向こう側にいる3人だけなんだろう。
本当なら、オルも向こう側に入るか、今、俺がいる場所に座ってるんだろう。
何故か俺がここに座ってるから、オルが隣でフォロー役になってるけどな。
納得はいかないものの、騒いでもどうにもならなそうだと悟り、頷いて、諦めて席に着く。
俺が席に着いたのを見計らったように、黒服の人がお茶を出してくれる。
この人も部屋に入ってたんだな。
全然気がつかなかった。
青い波模様の描かれた白い磁器のカップだ。
中のお茶が青い。これ、緑茶か?
いや、レモンみたいな柑橘系の香りがするから、ハーブティーみたいなもんかな。
焼き菓子に合いそうだ。
「ふふ。さあ、どうぞ。オスカー。召し上がって下さい。」
船長が頷いて、コーネルさんが取り分けたケーキを受け取ると、他のメンバーも各々お菓子を取り始める。
俺には、コーネルさんが取り分けてくれた。
ちらっと船長を見ると、頷いてたから、もらって良いみたいだ。
ナプキンを膝にかけてもらって、完全ガキ扱いだが、構うもんか。
俺は腹減ってんだ。
それでも、船長が食べてからケーキをフォークで切り分けて食べる。
下っ端が船長より先にがっつくのは無しだろうからな。
一口食べると、口の中で溶けるように無くなった。
これ、スポンジケーキじゃねえの?
味はスポンジケーキだけど、口当たりがめちゃくちゃ良い。
少し大きな塊を口に入れても綺麗に崩れて飲み込める。
こんなケーキもあるんだな。
すげえ、美味え。
あっという間に食べちまった。
お茶も一口飲むと、柑橘系の香りが口に広がって、さっぱりした後口の緑茶だった。
異世界にも緑茶ってあるんだな。
俺、このお茶好きだなあ。
どこで買えんだろうな。
ん?
いつの間にか、チョコレートケーキが置かれてる。
うん。こいつも美味い。
濃厚なショコラの香りが口に広がって、砕かれたくるみみたいな木の実が食感にアクセントを加え、少しの苦味が残る。
大人向けのチョコレートケーキだな。
これなら、船長もいけんじゃね?
「風が凪いでしまって、大変だったのでは?」
「ああ。思うように進まなくてイライラした。」
「でも、島が見つかってからは早かったのよ。」
「サイがいたからね。」
俺は知らなかったが、お菓子に夢中な俺を眺めながら、和やかに宝探しの顛末が話されていた。
ん?呼ばれたか?
「サイがすごかったねって話だよ。」
「何が?」
俺の話って、何かあったか?
首を傾げていると、オルは側に置いてた袋から、石のランドセルを出して、近くにある小さなテーブルに置いた。
「すっごく珍しいもの見つけてくれたじゃないか。ほら、これ。」
あ、俺が偶然取っ掛かりを見つけたって話ね。
アサイー帝は日本人だったみたいだからな。
「おや、それはもしや。」
コーネルさんが、慌てて石のランドセルを調べ始める。
やっぱ、珍しいもんなんだな。あれ。
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