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動く卵

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周りの注目が集まる中、遠くから歓声が近づいてきた。
俺たちの目の前で止まったそれは、優美な青と白て装飾された、先の尖った丸い…。


「卵?」


「エッグキャリッジでお迎えたあ、豪勢だな。」


どうやら、船長は目の前の動く卵を知ってるらしい。
俺には横に置いた巨大な卵にしか見えねえが、お迎えってことは、これでレッドキャッスルに行くのか。


「まあ、今回は物が物だし、助かるね。」


オルが船長に言う。
そういや、今回のお宝には、アサイー帝の時代のレア物があるもんな。


シチューのレシピが含まれてるとは、とても言えねえけど。
貴重なアンティークには違いないよな。


海賊都市で、そんなお宝抱えてたら、襲って下さいって言ってるようなもんだもんな。
安全に移動出来るなら、その方が良い。


「乗るか。」


船長の号令で全員がエッグキャリッジに乗り込む。
中は案外広く、意外にも全員乗れた。


席は長椅子が5列あって、真ん中が一番広いので、体格の良い船長達は真ん中に。
後は、船長を中心に両端に俺とオル、後ろにお宝持った副船長とヤジスさん、イージスさんとおやっさんは入り口に近い方に前後に分かれて座った。


前の方には誰もおらず、ただ白い壁に「ようこそ!海賊都市レッドキャッスルへ!」と光る文字でメッセージが書かれていた。
俺たちが座ったのを感知したのか、「では、これよりレッドキャッスルへ向かいます。」とメッセージが変化する。


どうやら、完全自動運転らしい。
ふわりと動いたと思ったら、前に向かって進み始めた。


乗る時にまじまじと見たが、タイヤも見当たらないし、どうやって動いてるんだろうな。
振動なんてほとんどないし、感覚としてはモノレールに乗った時が一番近い感じかなあ。


「近未来かよ。」


「なんか言ったか?サイ。」


「いえ。ちょっと驚いて。」


「ふふ。すごいでしょ?レッドキャッスルの魔道具は世界一って言われてるのよ。」


副船長が後ろからこの卵について教えてくれる。
なるほど、魔法の道具か。


それなら、この中世っぽい世界に、近未来っぽい不思議な乗り物があっても納得出来る。
ヴァルヴァンク号もガレオン船なのに、中の作りが変わってるもんな。
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