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冒険のフラグ

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周りの口の動かし方を参考に、遅れないように食事を取る。
ここで食いっぱぐれると、次はいつ食えるかわかんねえからな。


パンの次は乾物の中では柔らかい方の果物から食べて、口にガムみたいに放り込める貝柱は最後にして、魚をガジガジ齧る。
良い味してるな。美味いわ。この干物。


きっとおやっさんが吟味した逸品だな。
限られた食事だからこそ、美味いもんが嬉しいよな。


とと、味わってるヒマはねえな。
喉につかえない程度に噛み砕いた魚を飲み込み、貝柱を口に放りこんだ所で食事休憩は終了になった。


「ここの先が終点だ。地図にも別れ道は無いようだから、奥まで行って何もなけりゃ終わりだな。」


船長が例の石の地図を見ながら奥の入口を指さす。
入口っつっても、かなり細い。


入って来た方みたいに本格的な入口じゃないな。
たぶん試掘の後だと思う。淵もぼこぼこだし。


不死身の壁のことを考えると、ここの状況は当時のままのはずだ。
だから、この予想は当たってるだろうな。たぶん。


船長が不機嫌そうなのも、もうめぼしいものは無さそうだからだろう。
もしかしたら、試掘して止めてしまった理由を考えてるのかもしれない。


不死身の壁にしてまで作った採掘場。
チートなアサイー帝が作ったもの。


「ヤジス。サイに行かせろ。ひとりでだ。」
「船長。またですか?そりゃ、サイはいろいろ見っけるけど、せめて最初は…。」
「道が小さすぎる。さっきの横道の奥くらいだ。もっと細くなるかもしれねえ。」


船長の指摘にヤジスさんも黙り込む。
そう、細すぎるんだよな。だから、試掘の後じゃねえかって思ったんだ。


「サイ。いけるとこまで見てこい。掘ったくせに中途半端なのは途中で崩れてるからかもしれねえ。危ないと思ったら戻れ。無理はするな。」


いつものからかい口調じゃない、『船長』の命令だ。
今度はひとり。それも行ったことのない場所だ。


ごくりと喉がなる。
膝が軽く震えてるのがわかる。


船長の予想と俺の予想はほぼ同じだと思う。
不死身の壁はこの広場までなんじゃないかって。


復活する壁なんてものが何で必要だったのか。
当時だって、大陸があったんだ。他の国だって掘ってただろ?


採掘技術があるのに、チート駆使した頑丈な壁。
わざわざ採掘しにくくしなくてもと思ったんだ。


だって、坑道って後から後からつなげて広げていくもんだろ?
なのに、掘っても掘っても復活する壁なんて。


たぶん、逆なんだ。
チート技で固定しないといけないくらい岩盤が脆かったんだ。


だから、アサイー帝はここまでで後は広げなかった。
取れる範囲を取ったら放棄したんだ。


もしかしたら慌ててたのかもしれない。
だから、石のランドセルなんてものが残ってたんじゃないか?


その理由があの先にある。
うわあ。気づきたくなかった。死亡フラグたっちまったよ。
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