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薄氷の上でワルツを
七十二.※ちょっとグロ注意。
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手を取られながらルイスは見た事が無い、揃いの真っ白な装束に身を包んだ武装集団────それはのモディーリアの聖堂騎士達だ────の列の間をカルロと歩いた。
粛々と進められる空気の中、銅製の水盆を掲げる様にしてエリカが静かな足取りで歩いてきた。
そしてカルロとルイス、エリカが鉢合わせになろうとしたその時────。
「・・・・・・アッ!」
エリカの口から小さく鋭い声が漏れた。彼女は、自分が着ていた修道服の裾を踏んでしまったのである。
そしてそのまま前のめりになって持っていた水盆はその手を離れ宙を舞った。
ふたりに水盆が当たる事は無かったが、聖水はまともに被ってしまったらしく激しい水音と共にカルロとルイスからほぼ同時に悲鳴が上がった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」
冷たい水を浴びて驚くカルロの声と、しかしそれを搔き消すかの様なルイスから漏れたのは断末魔の如き絶叫であった。
想定していない出来事に周囲が騒然とする中、ルイスはもうもうと白い煙をあげながらのたうち回る。
「ぎゃあああッ! 熱いッ! 痛い────ッ!!」
痛みにのたうち回るルイスに恐ろしい変化が現れた。ボコボコと肉体が激しく脈打つように蠢き、中で抑え込んでいたモノが抑えきれなくなった少女の皮膚が限界まで膨れ上がり、破裂した────。
「うわあっ!」
「きゃあ────ッ!」
辺りが更に騒がしくなる。破裂したルイスの中から真っ白な何かが溢れ出した様に見えたからだ。実際はルイスと言う少女の皮を被っていた魔女が転び出ただけであるのだが、しかしほっそりした少女の皮に対してどうすればそれ程の脂肪を納めていたのか、と言う程の量が溢れ出す様はまるで真っ白な液体状のものがどっ、と溢れ出したかのようであった。
辺り一面、まるで溶かした石膏で池を作ったかのような光景が広がる。そしてその中心に魔女が胸の辺りまで浸かっている様であった。
「あ、ああ・・・・・・で、殿下が・・・大変だっ! 殿下が大怪我を────ッ」
誰かそう叫ぶ。辺りが蜂の巣を突いたかの様に大騒ぎをする中、カルロは唖然と己の手を見ていた。
「え、ァ・・・・・・? 手が・・・・・・」
痛みは、無い。しかし白い肌色がまるでドーランを落としたかのようにドロドロに落ちてその下の、まるで枯れ掛けた木の葉の様な緑色に変色した皮膚が現れた。
「うわ、うわあ・・・・・・っ」
焦った様にカルロは己の手を礼服に擦り付け、何とか緑色の部分を落とそうと必死になった。
周囲に居る人間達は魔女が側に居る事もあってか、おろおろするばかりで中々近付けずにいた。その光景を、少し離れた場所で見ていたグィードは、その紫眼を見開いていた。
「なっ、殿下・・・・・・一体何が・・・・・・」
魔女の事は想定内だが、カルロの事は全くの思考の範囲外であった。
見学側も大騒ぎする中、グィードが唖然と呟くと、隣に居たルシフェールも同じく驚いた様に目を見開いていた。
「此れは流石の我も想定外だぞ」
「・・・・・・此れは・・・"成り代わり”ですな」
ベルゼビュートが苦虫を嚙み潰したような顔でそう言った。
するとルシフェールも灼熱した紅玉の如き赤い瞳を細め、皮肉気に唇を歪める。
「しかも赤ん坊の頃に成り済まされては、我も気付こう筈も無いわ」
してやられたような気分になったルシフェールは少々不機嫌にそう言った。
粛々と進められる空気の中、銅製の水盆を掲げる様にしてエリカが静かな足取りで歩いてきた。
そしてカルロとルイス、エリカが鉢合わせになろうとしたその時────。
「・・・・・・アッ!」
エリカの口から小さく鋭い声が漏れた。彼女は、自分が着ていた修道服の裾を踏んでしまったのである。
そしてそのまま前のめりになって持っていた水盆はその手を離れ宙を舞った。
ふたりに水盆が当たる事は無かったが、聖水はまともに被ってしまったらしく激しい水音と共にカルロとルイスからほぼ同時に悲鳴が上がった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」
冷たい水を浴びて驚くカルロの声と、しかしそれを搔き消すかの様なルイスから漏れたのは断末魔の如き絶叫であった。
想定していない出来事に周囲が騒然とする中、ルイスはもうもうと白い煙をあげながらのたうち回る。
「ぎゃあああッ! 熱いッ! 痛い────ッ!!」
痛みにのたうち回るルイスに恐ろしい変化が現れた。ボコボコと肉体が激しく脈打つように蠢き、中で抑え込んでいたモノが抑えきれなくなった少女の皮膚が限界まで膨れ上がり、破裂した────。
「うわあっ!」
「きゃあ────ッ!」
辺りが更に騒がしくなる。破裂したルイスの中から真っ白な何かが溢れ出した様に見えたからだ。実際はルイスと言う少女の皮を被っていた魔女が転び出ただけであるのだが、しかしほっそりした少女の皮に対してどうすればそれ程の脂肪を納めていたのか、と言う程の量が溢れ出す様はまるで真っ白な液体状のものがどっ、と溢れ出したかのようであった。
辺り一面、まるで溶かした石膏で池を作ったかのような光景が広がる。そしてその中心に魔女が胸の辺りまで浸かっている様であった。
「あ、ああ・・・・・・で、殿下が・・・大変だっ! 殿下が大怪我を────ッ」
誰かそう叫ぶ。辺りが蜂の巣を突いたかの様に大騒ぎをする中、カルロは唖然と己の手を見ていた。
「え、ァ・・・・・・? 手が・・・・・・」
痛みは、無い。しかし白い肌色がまるでドーランを落としたかのようにドロドロに落ちてその下の、まるで枯れ掛けた木の葉の様な緑色に変色した皮膚が現れた。
「うわ、うわあ・・・・・・っ」
焦った様にカルロは己の手を礼服に擦り付け、何とか緑色の部分を落とそうと必死になった。
周囲に居る人間達は魔女が側に居る事もあってか、おろおろするばかりで中々近付けずにいた。その光景を、少し離れた場所で見ていたグィードは、その紫眼を見開いていた。
「なっ、殿下・・・・・・一体何が・・・・・・」
魔女の事は想定内だが、カルロの事は全くの思考の範囲外であった。
見学側も大騒ぎする中、グィードが唖然と呟くと、隣に居たルシフェールも同じく驚いた様に目を見開いていた。
「此れは流石の我も想定外だぞ」
「・・・・・・此れは・・・"成り代わり”ですな」
ベルゼビュートが苦虫を嚙み潰したような顔でそう言った。
するとルシフェールも灼熱した紅玉の如き赤い瞳を細め、皮肉気に唇を歪める。
「しかも赤ん坊の頃に成り済まされては、我も気付こう筈も無いわ」
してやられたような気分になったルシフェールは少々不機嫌にそう言った。
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