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地獄への道は美しく舗装されている
二十.
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今日は図書館で閉館時間近くまでガブリエーレと話し込んでいたら、この図書館の職員の一人がグィード達が座る席の側迄やって来た。
ああ、もう閉めるから帰れと言われるかな、と思いグィードは立ち上がろうとしたら、職員がもじもじしながらガブリエーレに話しかけた。
「アルボルゲッティ様、実は今日、恋人との記念日なんですよ・・・それであの~、早く帰りたいので後をお願いしてもよろしいですかね・・・?」
「ああ、そんな事。お安い御用さ、此方こそ何時も済まない」
そんな気やすい会話を繰り広げて、ガブリエーレは男から鍵を受け取った。お互いに軽く挨拶を交わしていそいそと職員が去っていくのを見送るガブリエーレを、グィードは少し呆気に取られて見ていた。
「ああ、申し訳ありませんバルディーニ様。実は先程の彼とは友人でしてね」
少しでも長く本を読みたい時は、彼が閉館業務の当番をしている時にこっそり長居させてもらっているのだと言う。
友人ねえ・・・・・・。
どんな友人関係何だか、と思ったが深くは聞かないでおく事にした。
「ふふ、誰も居ない図書館なんて初めてです」
グィードは目を細め、悪戯っぽく笑った。
もう既に誰も居ない、薄暗い図書館。此処にはふたりきりだ。グィードはもう声を潜める必要は無いと言うのに、ガブリエーレに顔を寄せ、吐息が掛かる程の距離で甘い声で囁きかけた。
ガブリエーレの頬を擽る吐息が甘く、熱い。
横に少し顔を動かすだけでキスが出来そうな距離だ。
「アルボルゲッティ殿?」
少し幼げな表情で、小首を傾げる無邪気なグィードが憎いと思った。此方の思いなぞ気付きもしない癖に、とガブリエーレは懊悩した。
グィードが寧ろ態と誘惑していると、思いもしないガブリエーレはふたりきりになった事を半ば後悔していた。
「バルディーニ様・・・いえ、グィード様っ!」
我慢できなくなったガブリエーレはグィードの両肩を掴み、顔を近づけた。
「あ・・・・・・っ」
驚いたグィードが抵抗し、少し揉み合う様に暴れると、どさりとふたりは床に崩れ落ちた。
「グィード様、グィード様・・・お願いです、私を・・・私を受け入れて下さい・・・・・・」
切なげな表情でガブリエーレが覆い被さってくる。
グィードの柔らかな唇に己のを押し付け、吐息を奪う。まるで初めて口付ける様な目茶苦茶で、自分勝手なキスだったが、今のガブリエーレに相手を気遣う余裕は無い。
「んッ、ンン────ッ!」
暴れるグィードの抵抗なぞ何ともないかのように押さえ付け、ガブリエーレはグィードの口腔を蹂躙し、犯していく。
嫌だッ!気持ち悪い────ッ!!
それ自体がまるで別の生き物の如く、うねうねと蠢く軟体動物かのように口腔内を這い回る感覚はグィードの肌を粟立たせた。
嚙み切ってやろうにも、半ば恐怖で動かず上手くいかない。その内舌が漸くグィードの中から離れて頬から顎、首筋へと滑り落ちて行った。
何時の間にかシャツのボタンを外され、露にされていた胸元。月明かりにうっすらと照らされて、青白くも肌理の細かい肌がガブリエーレの目の前に晒されていた。
「ああ、なんて美しい・・・・・・グィード様・・・・・・」
譫言の様に呟き、ガブリエーレは夢中になって胸元に顔を埋めた。
「や、助け・・・・・・ッ」
あまりにも悍ましい感覚に、思わず助けを呼んでいた。次に、どの様な悍ましい目に合わされるのかと身を固くしていたが、這い回る感覚が止まった事に少しして気付いた。
「・・・・・・?」
そ、っと目を開け、ガブリエーレを見る。腹の辺りで顔を埋めたまま、ガブリエーレは止まっていた。
どうしたのかと思うより早く、ガブリエーレの襟首が掴まれ引き剝がされた。
「あ・・・・・・」
ガブリエーレの襟首を掴んで放り投げたのはダエーワであった。グィードは驚いてダエーワをただ唖然と見上げていた。
するとダエーワはグィードの前に屈み、彼を抱き上げた。
「大丈夫ですかな?」
「・・・・・・はい」
グィードはそう答えて男の首筋に腕を回し、縋り付いていた。俯きながら、少し震えている。
「腹立たしい、今すぐにでもこの場で引き裂いてやりましょうか」
ダエーワが有言実行しそうなのを察知したグィードは慌てて止めた。
「だ、駄目です!俺があの男を殺します・・・・・・っ!」
ガブリエーレを誘惑して抱かれるぐらい何とも無い、などと思っていたが甘かった。しかしまあ、今なら彼等、悪魔の力で無かった事にするなぞ雑作も無い事だった。
ああ、もう閉めるから帰れと言われるかな、と思いグィードは立ち上がろうとしたら、職員がもじもじしながらガブリエーレに話しかけた。
「アルボルゲッティ様、実は今日、恋人との記念日なんですよ・・・それであの~、早く帰りたいので後をお願いしてもよろしいですかね・・・?」
「ああ、そんな事。お安い御用さ、此方こそ何時も済まない」
そんな気やすい会話を繰り広げて、ガブリエーレは男から鍵を受け取った。お互いに軽く挨拶を交わしていそいそと職員が去っていくのを見送るガブリエーレを、グィードは少し呆気に取られて見ていた。
「ああ、申し訳ありませんバルディーニ様。実は先程の彼とは友人でしてね」
少しでも長く本を読みたい時は、彼が閉館業務の当番をしている時にこっそり長居させてもらっているのだと言う。
友人ねえ・・・・・・。
どんな友人関係何だか、と思ったが深くは聞かないでおく事にした。
「ふふ、誰も居ない図書館なんて初めてです」
グィードは目を細め、悪戯っぽく笑った。
もう既に誰も居ない、薄暗い図書館。此処にはふたりきりだ。グィードはもう声を潜める必要は無いと言うのに、ガブリエーレに顔を寄せ、吐息が掛かる程の距離で甘い声で囁きかけた。
ガブリエーレの頬を擽る吐息が甘く、熱い。
横に少し顔を動かすだけでキスが出来そうな距離だ。
「アルボルゲッティ殿?」
少し幼げな表情で、小首を傾げる無邪気なグィードが憎いと思った。此方の思いなぞ気付きもしない癖に、とガブリエーレは懊悩した。
グィードが寧ろ態と誘惑していると、思いもしないガブリエーレはふたりきりになった事を半ば後悔していた。
「バルディーニ様・・・いえ、グィード様っ!」
我慢できなくなったガブリエーレはグィードの両肩を掴み、顔を近づけた。
「あ・・・・・・っ」
驚いたグィードが抵抗し、少し揉み合う様に暴れると、どさりとふたりは床に崩れ落ちた。
「グィード様、グィード様・・・お願いです、私を・・・私を受け入れて下さい・・・・・・」
切なげな表情でガブリエーレが覆い被さってくる。
グィードの柔らかな唇に己のを押し付け、吐息を奪う。まるで初めて口付ける様な目茶苦茶で、自分勝手なキスだったが、今のガブリエーレに相手を気遣う余裕は無い。
「んッ、ンン────ッ!」
暴れるグィードの抵抗なぞ何ともないかのように押さえ付け、ガブリエーレはグィードの口腔を蹂躙し、犯していく。
嫌だッ!気持ち悪い────ッ!!
それ自体がまるで別の生き物の如く、うねうねと蠢く軟体動物かのように口腔内を這い回る感覚はグィードの肌を粟立たせた。
嚙み切ってやろうにも、半ば恐怖で動かず上手くいかない。その内舌が漸くグィードの中から離れて頬から顎、首筋へと滑り落ちて行った。
何時の間にかシャツのボタンを外され、露にされていた胸元。月明かりにうっすらと照らされて、青白くも肌理の細かい肌がガブリエーレの目の前に晒されていた。
「ああ、なんて美しい・・・・・・グィード様・・・・・・」
譫言の様に呟き、ガブリエーレは夢中になって胸元に顔を埋めた。
「や、助け・・・・・・ッ」
あまりにも悍ましい感覚に、思わず助けを呼んでいた。次に、どの様な悍ましい目に合わされるのかと身を固くしていたが、這い回る感覚が止まった事に少しして気付いた。
「・・・・・・?」
そ、っと目を開け、ガブリエーレを見る。腹の辺りで顔を埋めたまま、ガブリエーレは止まっていた。
どうしたのかと思うより早く、ガブリエーレの襟首が掴まれ引き剝がされた。
「あ・・・・・・」
ガブリエーレの襟首を掴んで放り投げたのはダエーワであった。グィードは驚いてダエーワをただ唖然と見上げていた。
するとダエーワはグィードの前に屈み、彼を抱き上げた。
「大丈夫ですかな?」
「・・・・・・はい」
グィードはそう答えて男の首筋に腕を回し、縋り付いていた。俯きながら、少し震えている。
「腹立たしい、今すぐにでもこの場で引き裂いてやりましょうか」
ダエーワが有言実行しそうなのを察知したグィードは慌てて止めた。
「だ、駄目です!俺があの男を殺します・・・・・・っ!」
ガブリエーレを誘惑して抱かれるぐらい何とも無い、などと思っていたが甘かった。しかしまあ、今なら彼等、悪魔の力で無かった事にするなぞ雑作も無い事だった。
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