復讐はショコラよりも甘い

璃々丸

文字の大きさ
上 下
15 / 83
復讐するは我にあり

十三.※ちょっとグロ注意。

しおりを挟む
 『うむ、先ずは貴様はシエナ学園に入学してカルロをどんなテを使ってでも良いから誘惑して、結婚まで漕ぎ着けるんだ』
『・・・・・・なるほどねえ、でも王子サマのお相手は聖女サマじゃないといけないんじゃないのかい?』
 魔女の言葉にアルバーノはニヤリと笑った。
『それなら心配いらん、儂が買収した教会で判定を受ければ良い』
 其処は抜かりない、と言いたいらしい。入学も儂がどうにかする、と内容は兎も角頼もしい言葉を言い放つ。
『まあ、何だっけ?鉄道の経営権?だっけ、そんなモノ欲しさに此処までするもんかねえ』
 面倒な事が嫌いな魔女は呆れたように肩を竦めた。でも、面白そうな事や誰かを不幸にするのが何よりも大好きな彼女はアルバーノの依頼を引き受けた。
?』
 魔女はそう聞いた。
『構わん、バルディーニを潰してカルロを操り人形に出来るならどんなことでもしろ、その為なら助力を惜しまん』
 アルバーノの言葉に、魔女はそのどす黒い赤に彩られた唇を吊り上げた。
 それを見ていたベリアドは顔を思いきり顰めていた。
「馬鹿め、魔女にそんな物の言い方をしたらどうなるか・・・・・・」
 魔女は言質を取ったと見做してどんな事をやらかすやら、とベリアドはゆるゆると首を横に振った。
「そう言えば実際、学園は重篤な後遺症が残ってもおかしくない程の瘴気に包まれておりましたな」
「えっ・・・・・・」
 ベルゼビュートの言葉にグィードは顔色を変えた。
「魔女は学園中に魔晶石を配し、己の魔力を増幅させて学園全体を己の領域として猛威を振るっておったようですな。まあ、魔力の無いグィード様達が気付かぬのも無理からぬ事」
 魔法や魔導に通じる者が居れば何か分かったかもしれないが、貴族であれ、平民であれ魔力が何たるかが分からねば気付きようもない。瘴気のような邪悪なモノに敏感であれば体調を崩したりして、何故なのか分からないまま、学園に行きたくないと思ったかもしれないが。
「それでも、今にして思えば妙だと思う事はあっただろう?」
「・・・・・・」
 そう言われて思い出そうとして、グィードは愕然とした。今学園での思い出を語ってみろ、と言われればまるで夢の中に居たかのように曖昧で朧気で、とてもじゃないが思い出すなんて無理だった。
 常に水の中い居る様に動きが鈍り、頭も正常に働いていたとはとても言い難い状態だった気がする。
「・・・・・・まるで夢の中にいたようで、今何か語れと言われても殆ど思い出せません・・・・・・」
「思考を鈍らせ、まともに行動させないようにしていたのだな」
 背筋をゾッと冷たいモノが走る。そんな恐ろしい状態で日常を過ごしていたのか、と。
「しかしそんな事になっていたのなら、王国側が何も気づかないなんて・・・・・・」
「それらを隠蔽する魔法を掛けていたのでしょう・・・・・・まあ、それも二年から三年が限度でしょうが」
 シエナ学園は三年制である。
「なるほど、それだけの時間を隠蔽出来るなら十分、ですね・・・・・・」
 魔女はかなり邪悪だが、優秀だったようだ。
「ふむ、此処からはそれ程重要では無い。時間を少し進めよう」
 パチン、と指を鳴らすとまた鏡の画がぼやけて画面が切り替わる。
「わっ・・・・・・!」
 グィードが驚いて声を上げた。鏡の向こう側でいきなり画面いっぱいに血が飛び散り、年若い女の悲鳴が響いたからだ。
 先程の魔女が全裸で誰かにナイフを突き立てていた。ギチ、ギチ・・・・・・と相手を押さえ付け、ゆっくりと切り裂いていく。時間を掛け、丁寧に切り取った部位────相手の顔面の皮膚を剥がすと魔女はそれを自身の顔に乗せた。
『ン、ふふふふ・・・・・・』
 剥がしたばかりの、血の滴る皮膚を顔に乗せ、魔女は不気味に笑った。
「な、何を・・・・・・」
「ルイス・アントーニに化けるために、を殺し、その皮を被っているのですよ」
 グィードの疑問にベルゼビュートが答えるが、肝心の答えにはなっていない。
「いや、こんな方法しか無いのですか?」
「まさか、安全で穏便な方法は幾らでもありますとも」
 矢張りそうか、と鏡の向こうの魔女の、邪悪で悪趣味な方法に吐き気を覚えた。しかし、ルイス・アントーニは実在していた人間だった事にも驚きを隠せない。
 先程まで、ルイスは魔女が成り済ます為に作り上げた架空の人物だと思っていたからだ。
 本来なら、架空の人物で十分な筈なのにこんな事をしているのは、矢張りこの魔女の悪趣味から来ているであろう事は明白であった。
「おぞましい・・・・・・」
 グィードは吐き捨てる様に呟いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

奴隷勇者の転生物語

KeyBow
ファンタジー
 主人公は異世界召喚直後に奴隷にされた後に命じられて魔王を討伐した。 その時に奴隷から逃れる為に転生術を発動するも、不完全で記憶を無くしての転生になった。  本来ありえない2つのギフトを得られており、同郷の者と冒険者をするも、リーダーがその可能性に気が付き、嫉妬により腐らせた挙げ句に暗殺に失敗する。  そして追放された。  絶望の最中一人の女性と出会い、その後多くの仲間を得る。しかし、初めて彼女ができるも、他の少女を救った事から慕われ、思い悩む事になる。  だが、転生前と違い、追放後はハッピーに生きようとするが、そうは問屋が・・・  次から次に襲ってくる女難?と悪意から乗り切れるか?

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

異世界召喚された俺は余分な子でした

KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。 サブタイトル 〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!

ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて 素の性格がリスナー全員にバレてしまう しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて… ■ □ ■ 歌い手配信者(中身は腹黒) × 晒し系配信者(中身は不憫系男子) 保険でR15付けてます

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

処理中です...