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Ⅲ.貴方様と私の計略 ~ 婚約者 ~
141.落ちた令嬢の来訪③(ユミナ視点)
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だよな・・・うん。諦めよう。
揺らぎから現れた二つの影。
一つは、床まで着くローブをしっかりと着込み、顔が隠れるほど目深にフードを被っている。
ただ、頭を覆うフードの形から、魔族であろう事は予想がつく。
そして、もう一つは女性。しかも、人であろうと思う。
目が落ちくぼみ、頬が欠けているものの、元は整った顔立ちだろう。
ただ、この女性は異質だった。
痩せ細った顔とは違い、身体のはりは衰えていないと思われたからだ。
そして、纏う衣装もその異質さを際立たせていた。
きちんとした布地は、胸の頂と腰回りだけ。あとは、肌の色はわからぬが、身体が透けている。
豊満であると思われる乳房が、惜しげも無く見え隠れしていた。
「だれだ?」
油断なく相手を見つめれば、問いかければフードの男が女性の腰を抱き、スカートの中へと手が伸びていることがわかった。
───なんなんだ?なにがしたい・・・
「ふふ。領主様は私のことが分かりませんの?共に過ごしたこともありますのに?」
その言葉に、顔をしかめれば、背後でうろたえる気配を感じる。
どうやら、ミリィを動揺させてしまったらしい。
そっと、手を握り混めば、少しは落ち着いたようだった。
その間に女性の容姿と声で記憶を漁る。
そうすれば、髪の色や声の雰囲気である女性を思い出す。
───しかし・・・面影はないに等しいが・・・
「・・・───その声は、マグノリアか?」
半信半疑に問えば、肯定が返される。
そして、スカートの中で動いているであろう動きに合わせるように、フードの人影へと身を預けた。
───私は何を見せられているのだろうな?
微かな水音が漏れるほど、マグノリアは虜にされていると言うことなのだろう。
盛大に顔をしかめながらも、注視していれば、背後からミリィが何かに興味を持ったような動きをする。
それに、慌てながら背にすっぽりと彼女を隠す。
───あれは、見せられない。そもそも、まだ知って欲しくない
そんな、私のわがままと言える思いのままに
「見なくていいし、理解もしなくていい」
そう告げれば、彼女は渋々ながらも背に隠れてくれた。
「なんだ。君の婚約者殿にも見せてあげればいいのに」
そんな声が響いてきた。最初、フードの人影が発したものだと理解するのに、時間がかかった。
低く・・・しわがれた声。しかし、重低音を思わせるそれは、張りを感じる。そんな、不思議な声であったからだ。
注意深く会話を進めていれば、胸くそ悪い理由を聞かされる。
人をモルモットか何かだと思っているような話だった。
───いや。実際にそう思っているのだろうな・・・
その矛先が、ミリィへと延びかけたのを感じ、できうる限りの殺気をぶつける。何とか、男を黙らし、撃退することが出来た。
ミリィへと向き直れば、先ほどの光景がちらちらと頭をかすめ、精神を蝕んでくる。
無意識に彼女を抱き寄せ、肩口へと顔を埋める。
そして、吐息を吐く事を言い訳に、彼女の香りをめいっぱいに吸い込む。
彼女の香りになだめてもらい、何事も無かったかのように離れる。
「あんなものを見せつけるのだから、悪趣味な輩なのはたしかだな」
そう口に出してしまい、失言に気づく。
彼女が疑問に思っていることを認識しながらも、知らなくて良いと釘を刺し、話題を変える。
そうすれば、ミリィ自身も気になっていたからなのか、素直に話題に乗ってくれた。
───よかった・・・失言に気を付けねば・・・
ミリィと共にフードの人影への考察を進めていれば、先ほどの光景が頭を過る。
そして、何故かマグノリアが着ていたドレスをミリィが身につけたら・・・と考えてしまい・・・
「さっきマグノリアが纏っていたドレスをどう思った?」
と無意識に聞いてしまっていた。
私は、内心焦りながら、どうすべきかを世話しなく考えていれば、律儀にミリィが返事をしてくれた。
「だよね」
私はと言うと、そう返すのがやっとだった。
───疲れているからだ。絶対そうだ・・・それ以外なわけ・・・
失言の連続に、内心項垂れながらも、必死に自分自身に言い訳をしていた。普段と私は、そんなのとないはずだと。
それなのに、頭の片隅では、ミリィにあのようなドレスを着せるのは諦めるか。そう、考えてしまっている自分に少しばかりの絶望を感じたのだった・・・
揺らぎから現れた二つの影。
一つは、床まで着くローブをしっかりと着込み、顔が隠れるほど目深にフードを被っている。
ただ、頭を覆うフードの形から、魔族であろう事は予想がつく。
そして、もう一つは女性。しかも、人であろうと思う。
目が落ちくぼみ、頬が欠けているものの、元は整った顔立ちだろう。
ただ、この女性は異質だった。
痩せ細った顔とは違い、身体のはりは衰えていないと思われたからだ。
そして、纏う衣装もその異質さを際立たせていた。
きちんとした布地は、胸の頂と腰回りだけ。あとは、肌の色はわからぬが、身体が透けている。
豊満であると思われる乳房が、惜しげも無く見え隠れしていた。
「だれだ?」
油断なく相手を見つめれば、問いかければフードの男が女性の腰を抱き、スカートの中へと手が伸びていることがわかった。
───なんなんだ?なにがしたい・・・
「ふふ。領主様は私のことが分かりませんの?共に過ごしたこともありますのに?」
その言葉に、顔をしかめれば、背後でうろたえる気配を感じる。
どうやら、ミリィを動揺させてしまったらしい。
そっと、手を握り混めば、少しは落ち着いたようだった。
その間に女性の容姿と声で記憶を漁る。
そうすれば、髪の色や声の雰囲気である女性を思い出す。
───しかし・・・面影はないに等しいが・・・
「・・・───その声は、マグノリアか?」
半信半疑に問えば、肯定が返される。
そして、スカートの中で動いているであろう動きに合わせるように、フードの人影へと身を預けた。
───私は何を見せられているのだろうな?
微かな水音が漏れるほど、マグノリアは虜にされていると言うことなのだろう。
盛大に顔をしかめながらも、注視していれば、背後からミリィが何かに興味を持ったような動きをする。
それに、慌てながら背にすっぽりと彼女を隠す。
───あれは、見せられない。そもそも、まだ知って欲しくない
そんな、私のわがままと言える思いのままに
「見なくていいし、理解もしなくていい」
そう告げれば、彼女は渋々ながらも背に隠れてくれた。
「なんだ。君の婚約者殿にも見せてあげればいいのに」
そんな声が響いてきた。最初、フードの人影が発したものだと理解するのに、時間がかかった。
低く・・・しわがれた声。しかし、重低音を思わせるそれは、張りを感じる。そんな、不思議な声であったからだ。
注意深く会話を進めていれば、胸くそ悪い理由を聞かされる。
人をモルモットか何かだと思っているような話だった。
───いや。実際にそう思っているのだろうな・・・
その矛先が、ミリィへと延びかけたのを感じ、できうる限りの殺気をぶつける。何とか、男を黙らし、撃退することが出来た。
ミリィへと向き直れば、先ほどの光景がちらちらと頭をかすめ、精神を蝕んでくる。
無意識に彼女を抱き寄せ、肩口へと顔を埋める。
そして、吐息を吐く事を言い訳に、彼女の香りをめいっぱいに吸い込む。
彼女の香りになだめてもらい、何事も無かったかのように離れる。
「あんなものを見せつけるのだから、悪趣味な輩なのはたしかだな」
そう口に出してしまい、失言に気づく。
彼女が疑問に思っていることを認識しながらも、知らなくて良いと釘を刺し、話題を変える。
そうすれば、ミリィ自身も気になっていたからなのか、素直に話題に乗ってくれた。
───よかった・・・失言に気を付けねば・・・
ミリィと共にフードの人影への考察を進めていれば、先ほどの光景が頭を過る。
そして、何故かマグノリアが着ていたドレスをミリィが身につけたら・・・と考えてしまい・・・
「さっきマグノリアが纏っていたドレスをどう思った?」
と無意識に聞いてしまっていた。
私は、内心焦りながら、どうすべきかを世話しなく考えていれば、律儀にミリィが返事をしてくれた。
「だよね」
私はと言うと、そう返すのがやっとだった。
───疲れているからだ。絶対そうだ・・・それ以外なわけ・・・
失言の連続に、内心項垂れながらも、必死に自分自身に言い訳をしていた。普段と私は、そんなのとないはずだと。
それなのに、頭の片隅では、ミリィにあのようなドレスを着せるのは諦めるか。そう、考えてしまっている自分に少しばかりの絶望を感じたのだった・・・
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