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山田健太は恐怖に震えていた。彼は何か恐ろしい体験をしたのだろうか?私の質問に彼は言葉を詰まらせながら口を開いた。
「やつは専務のボディガードか……あるいは」
「え、ボディガード?専務が個人的に雇ってるってことですか?」
「実はやつに監視されていたんだ。何度も後をつけられて、自宅まで付きまとわれたことがある」
「つまり、専務の携帯やPCを狙ってることがバレていた?」
「そうかもしれない。やつは笑いながら追いかけてきたんだ。まともじゃない奴だった。それに──」
しかし『黒づくめの男』と聞いて、松本絵梨も異常な反応を示している姿を見逃さなかった。彼女も何か心当たりがあるようだ。専務のボディガードなんて信じられない。もし松本がその男を知ってるのなら、それはダイアリーに関係する人物だ。私は嫌な予感が襲ってきた。
「山田係長、その人物はどこへ向かわれました?」
「エレベーターに乗った。きっと8階へ行ったんだ」
「……っ、直人が危ない!」

思考がまとまらないけど、危険な人物であることは間違いない。私は即座にエレベーターに向かい、上の階から降りてくるのを待ち構えていた。扉が開くと、そこには橘太郎と彼の運転手が立っていた。
──うわっ、専務だ!
慌てて前を開けた。橘太郎はむっとした表情で私をちらっと見て去っていく。そのエレベーターに乗り込んで、直人にメールしながら8階に向かった。

フロアには人の気配はなく、トイレから携帯を手にして出てくる直人の姿を目にする。
「高橋さん!」
彼は私にうなずいてこちらに走ってきた。長居は無用だ。早く逃げたい。エレベーターのボタンを押して周囲を警戒した。
「上手くいきました。でも、危険ってメールに書かれていたけど、何かあったんですか?」
「不審な人物の目撃情報があり、その人物が8階へ向かったと聞いたので……」
「不審人物?」
そして警戒してると、トイレから黒ずくめの男が現れたのだ。黒いフードを深く被り、サングラスにブラックレインコートと不審極まりない。
「ひぃっ!」
「どうしました?高野さん?」
「あ、あの人……」
震える手で指を差した。しかし、直人は気づいていない。
「え、どこですか?」
「見えないの?私だけが見えてるの!?」
と、まばたきしてる間に彼はふっと姿を消した。混乱の中、私たちは逃げるようにエレベーターに乗り込み、サテライトオフィスに戻った。バクバクした心臓が止まらない。しかし、今はやるべきことがある。
「佐藤くん、解析をお願い!」
「了解!任せて!」
「信じられない。どうやって手に入れたんだ?」
「あれ山田さん、どうしてここにいるんですか?」
直人は山田係長の存在に驚いてたが、状況を説明し、とにかく佐藤拓也に解析を急がせた──




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