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「佐藤くん、正直に答えてくれない?」
「えーっと、何のことだろう……?」
「松本絵梨が失くしたものについてよ。何か知ってるんでしよう?」
「あ、あぁ。最近大切な手帳をなくしたって聞いて、俺も手伝うよって言ったんだけどね、詳しいことは教えてくれないんだ」
「恋人なのに?」
「え?いや、彼女は仲のいい友達だよ」
ん?ボンクラの恋人ではないの?
「佐藤さん、高野さんが職場でモラハラに遭ってることを知ってますよね?それに松本さんが関与してる可能性を疑っています。何か心当たりはありますか?」
おっ、ナイスだ。さすがは親衛隊長、ズバッと聞くな。
「うーん、困ったな。どう答えればいいんだろう」
こいつは自分が処罰されないか心配してるんだ。自分も虐めに加担してきたからね。
「正直にお答えください。貴方はモラハラの主導者ではなかったので、懲戒の対象になったとしても軽いもので済むでしょう。ただし、高野さんの気持ち次第ですけど」
「ち、懲戒処分だって?」
高橋直人の脅しでボンクラは相当焦ってるみたいだ。もう少し追い詰めてやろう。
「佐藤くん、もう逃げられないわ。人事も動いてくれてる。知っていることを教えてくれないと将来に大きな傷がついてしまうわよ?」
「う、うん……正直に言うよ。俺はただ松本さんに頼まれて、職場の状況を伝えていただけで──」
「それは、高野さんが不当なモラハラを受けている状況を松本さんに教えていたってことですか?」
「はい。詳細にです。それに、職場では橘さんが絶対的存在でして……分かるでしょ? 彼女に逆らえないって」
「職場の話はいいわ。つまり、貴方が松本さんに何かを指示してたわけじゃないのね?」
「う、うん」
ボンクラの辿々しい供述をまとめると、彼はダイアリーの存在を知らないようだ。だけど、松本絵梨がダイアリーに書き込んだことが現実に起こるのか確かめたいから、同じ空間にいる佐藤拓也に聞いていたのだと推測する。女に節操のないボンクラは松本にも好意を抱いていたはずだ。だから繋がっていたいという思いで情報を伝えていただけなのでしょう。
つまらない男ね。懲らしめる価値もないわ。
「あ、俺は帰った方がいいよね。あとは松本さんに聞いてください~」
佐藤拓也は逃げるように立ち去った。私も高橋直人も彼を止めることはしない。そしてしばらくして、髪の長い化粧の派手な松本絵梨が現れた。彼女は私を睨みつけているが、実際に目の前にいても、やはりピンとこない存在だ。
「あの日記を返してください!拾ってくれたことは感謝しますが、それは私のものですから!」
「あら、名前は書かれていませんでしたわよ。と言いますか、はじめまして……ではありませんよね?高野真由美です。どうぞお座りになってください」
「ふん!」
傲慢な女ね。でも、あのダイアリーを所有しているのは私だ。その力を知ってるなら、そんな態度は取らないはずだけど、お馬鹿さんなのかしら。ふふふ、最後まで追い詰めてやる。
「えーっと、何のことだろう……?」
「松本絵梨が失くしたものについてよ。何か知ってるんでしよう?」
「あ、あぁ。最近大切な手帳をなくしたって聞いて、俺も手伝うよって言ったんだけどね、詳しいことは教えてくれないんだ」
「恋人なのに?」
「え?いや、彼女は仲のいい友達だよ」
ん?ボンクラの恋人ではないの?
「佐藤さん、高野さんが職場でモラハラに遭ってることを知ってますよね?それに松本さんが関与してる可能性を疑っています。何か心当たりはありますか?」
おっ、ナイスだ。さすがは親衛隊長、ズバッと聞くな。
「うーん、困ったな。どう答えればいいんだろう」
こいつは自分が処罰されないか心配してるんだ。自分も虐めに加担してきたからね。
「正直にお答えください。貴方はモラハラの主導者ではなかったので、懲戒の対象になったとしても軽いもので済むでしょう。ただし、高野さんの気持ち次第ですけど」
「ち、懲戒処分だって?」
高橋直人の脅しでボンクラは相当焦ってるみたいだ。もう少し追い詰めてやろう。
「佐藤くん、もう逃げられないわ。人事も動いてくれてる。知っていることを教えてくれないと将来に大きな傷がついてしまうわよ?」
「う、うん……正直に言うよ。俺はただ松本さんに頼まれて、職場の状況を伝えていただけで──」
「それは、高野さんが不当なモラハラを受けている状況を松本さんに教えていたってことですか?」
「はい。詳細にです。それに、職場では橘さんが絶対的存在でして……分かるでしょ? 彼女に逆らえないって」
「職場の話はいいわ。つまり、貴方が松本さんに何かを指示してたわけじゃないのね?」
「う、うん」
ボンクラの辿々しい供述をまとめると、彼はダイアリーの存在を知らないようだ。だけど、松本絵梨がダイアリーに書き込んだことが現実に起こるのか確かめたいから、同じ空間にいる佐藤拓也に聞いていたのだと推測する。女に節操のないボンクラは松本にも好意を抱いていたはずだ。だから繋がっていたいという思いで情報を伝えていただけなのでしょう。
つまらない男ね。懲らしめる価値もないわ。
「あ、俺は帰った方がいいよね。あとは松本さんに聞いてください~」
佐藤拓也は逃げるように立ち去った。私も高橋直人も彼を止めることはしない。そしてしばらくして、髪の長い化粧の派手な松本絵梨が現れた。彼女は私を睨みつけているが、実際に目の前にいても、やはりピンとこない存在だ。
「あの日記を返してください!拾ってくれたことは感謝しますが、それは私のものですから!」
「あら、名前は書かれていませんでしたわよ。と言いますか、はじめまして……ではありませんよね?高野真由美です。どうぞお座りになってください」
「ふん!」
傲慢な女ね。でも、あのダイアリーを所有しているのは私だ。その力を知ってるなら、そんな態度は取らないはずだけど、お馬鹿さんなのかしら。ふふふ、最後まで追い詰めてやる。
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