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68.王位継承
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※ジェラール視点
あ、兄が…ケヴィン王太子が死んだ…。
そして、この議会は混乱を極めている。コントロール不能だ。どうする…?
私は未だ、警護の者に取り押さえられていた。今、この場を抑えることができるのは誰だ?誰なんだ?
「その御方を解放して頂こう!!」
どこからともなく大きな声が聞こえてくる。
「お、お前は…ビソンか?」
いつの間にか彼は登壇に立っていた。そして演説を行う。
「各々方、ケヴィン王太子は狂人の手により残念ながら薨御されたのだ。今、正統なる王位継承はジェラール様にある。拘束するなど無礼ではないのか?その手を離しなさい!!」
な、何を言ってるんだ?私が…?
「お、おおーーっ!そうだ、その通りだ!ジェラール様こそ、新たな王太子だ!」
「ジェラール王太子に無礼は許さんぞ!」
「王太子、この場を収めるのは貴方しかいない!」
「陛下は断罪すべきだ!」
「賛成!賛成!人殺しの陛下など断罪だ!」
い、いや…急過ぎるだろ?
「待て!王位継承を決めるのは私だ!国王だ!お前らが勝手に決めるんじゃない!」
陛下は自分の権限を使って、反乱寸前の貴族を抑えつけようとしている。
「最早、貴方にはついて来れないでしょう。ここはジェラール様を正式な王太子と認めるべきです」
「だから、さっきからお前は誰なんだ?」
「私はペチェア島の次官ですよ」
「次官ごときが何を偉そうに!」
「私のことはどうでも宜しい。問題はこの状況です。どうしますか?暴動に発展しますよ?」
陛下に詰め寄る貴族は殺気だっていた。数々の暗殺指令の疑惑はそう簡単には誤魔化せないのだ。何故なら明日は我が身と…皆が思っているから。
「わ、分かった。ジェラール、お前を王太子として認める。だから私を助けろ!」
その言葉を受けて警護の者が一斉に手を離し、一礼した。
「し、失礼致しました!」
「お怪我はございませんでしょうか!」
おいおい…何なんだ、この展開は。困るだろ。
「王太子!ご采配を!」
「王太子!我らにご指示を!」
会場の皆が私に注目する。“王太子”と言うのは全く持って自覚はないが、私も王族の端くれ。この場を収拾しなければならない責任がある。
冷静になれ!よく考えるんだ!
「あー、……」
「あー?」
「おい、静かにしろ!王太子がお話になるぞ」
私は深呼吸して静かに会場を見渡した。もうやるしかない。
「諸君、先ずは我が兄ケヴィンを丁重に葬るのだ。それからブリス監視官の身柄を確保せよ。殺してはならん。いいな、ビソン?」
「はっ、既に我が手の者が捜索しております」
「うむ、それと…」
チラッと陛下の方を向く。期待に満ちたご尊顔を拝見してしまった。だが──、
「国王陛下に至っては、疑惑を追求せねば議員が納得しないでしょう。よって暫くの間、御公務を退いて頂きたく…」
「お、おいいいっ!私に隠居せよと申すか!」
「疑惑が晴れるまででございます」
「こ、この恩知らずが!王位継承を撤回するぞ!」
「…皆が証人です。それは今更ないでしょう?」
「ふん!お前にこの国の采配が務まるのか!?」
「陛下、国王代理を務めて頂く御方をお呼び致しますので、ご安心ください」
「な、な…ま、まさか?」
「ビソン。大至急、島へ戻ってルーク様をお呼びするのだ。必ず、説得しろ!」
「お任せくださいっ!」
おおーーっと歓喜の声が会場を埋め尽くした。
あ、兄が…ケヴィン王太子が死んだ…。
そして、この議会は混乱を極めている。コントロール不能だ。どうする…?
私は未だ、警護の者に取り押さえられていた。今、この場を抑えることができるのは誰だ?誰なんだ?
「その御方を解放して頂こう!!」
どこからともなく大きな声が聞こえてくる。
「お、お前は…ビソンか?」
いつの間にか彼は登壇に立っていた。そして演説を行う。
「各々方、ケヴィン王太子は狂人の手により残念ながら薨御されたのだ。今、正統なる王位継承はジェラール様にある。拘束するなど無礼ではないのか?その手を離しなさい!!」
な、何を言ってるんだ?私が…?
「お、おおーーっ!そうだ、その通りだ!ジェラール様こそ、新たな王太子だ!」
「ジェラール王太子に無礼は許さんぞ!」
「王太子、この場を収めるのは貴方しかいない!」
「陛下は断罪すべきだ!」
「賛成!賛成!人殺しの陛下など断罪だ!」
い、いや…急過ぎるだろ?
「待て!王位継承を決めるのは私だ!国王だ!お前らが勝手に決めるんじゃない!」
陛下は自分の権限を使って、反乱寸前の貴族を抑えつけようとしている。
「最早、貴方にはついて来れないでしょう。ここはジェラール様を正式な王太子と認めるべきです」
「だから、さっきからお前は誰なんだ?」
「私はペチェア島の次官ですよ」
「次官ごときが何を偉そうに!」
「私のことはどうでも宜しい。問題はこの状況です。どうしますか?暴動に発展しますよ?」
陛下に詰め寄る貴族は殺気だっていた。数々の暗殺指令の疑惑はそう簡単には誤魔化せないのだ。何故なら明日は我が身と…皆が思っているから。
「わ、分かった。ジェラール、お前を王太子として認める。だから私を助けろ!」
その言葉を受けて警護の者が一斉に手を離し、一礼した。
「し、失礼致しました!」
「お怪我はございませんでしょうか!」
おいおい…何なんだ、この展開は。困るだろ。
「王太子!ご采配を!」
「王太子!我らにご指示を!」
会場の皆が私に注目する。“王太子”と言うのは全く持って自覚はないが、私も王族の端くれ。この場を収拾しなければならない責任がある。
冷静になれ!よく考えるんだ!
「あー、……」
「あー?」
「おい、静かにしろ!王太子がお話になるぞ」
私は深呼吸して静かに会場を見渡した。もうやるしかない。
「諸君、先ずは我が兄ケヴィンを丁重に葬るのだ。それからブリス監視官の身柄を確保せよ。殺してはならん。いいな、ビソン?」
「はっ、既に我が手の者が捜索しております」
「うむ、それと…」
チラッと陛下の方を向く。期待に満ちたご尊顔を拝見してしまった。だが──、
「国王陛下に至っては、疑惑を追求せねば議員が納得しないでしょう。よって暫くの間、御公務を退いて頂きたく…」
「お、おいいいっ!私に隠居せよと申すか!」
「疑惑が晴れるまででございます」
「こ、この恩知らずが!王位継承を撤回するぞ!」
「…皆が証人です。それは今更ないでしょう?」
「ふん!お前にこの国の采配が務まるのか!?」
「陛下、国王代理を務めて頂く御方をお呼び致しますので、ご安心ください」
「な、な…ま、まさか?」
「ビソン。大至急、島へ戻ってルーク様をお呼びするのだ。必ず、説得しろ!」
「お任せくださいっ!」
おおーーっと歓喜の声が会場を埋め尽くした。
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