20 / 23
ライクス王国編
Episode20
しおりを挟む
リュメルは不安そうに私の顔を見ています。自国の危機に対して、何故かライクス側にいる元正妻に助けを求めているのでしょうか?
……確かに私はカアラプシャン国出身で、しかも公爵家の者です。でも今は助けたくありません。リュメルが嫌いだからではなく、カアラプシャン国は根本から変わらなければならないのです。一度崩壊させて再生するしか手はございません。それが民衆のためだと信じております。
「フロリアンも閣下に言いたい事があるのではないか?……僕は席を外そう」
「えっ?」
「あとは君に任せる」
そう言って殿下は会談の途中で退出するという驚きの行動を取られました。なので今ここに残っているのはモニカとリュメル、スカーゲンにライクス王国の護衛が数人だけです。
もしかしたら殿下は私に復讐の機会を与えてくれたのでしょうか。でも国家を語る場で個人的な恨みを晴らすのはどうでしょう?……いえ、物は言いようです。
「リュメル……様、国家の一大事です。観光などなさらず、そこの政治秘書とお戻りください。そして陛下にご報告と進言なさって頂けませんか?」
「フロリアン、一体何を進言するのだ?」
「ライクス王国は本気です。このままでは国は崩壊します。悪あがきして戦争などなさっても全く勝ち目はございませんので、ライクス王国に降伏すると仰ってください」
「こ、降伏だと!?」
「カアラプシャン国はライクス王国の属国として再生するのです」
「そ、そ、そんな事言えるか!」
「現体制では国を豊かにする事は出来ません。民衆はいつまで経っても苦しむだけです。だから密入国を繰り返すのです。そんな事も分からない呑気な皇族に国の政治をお任せする訳には参りません」
「ち、ちょっと待て、では我々はどうなる!?」
「……追放します。何処ぞのお国で野垂れ死んでください」
「追放……!?野垂れ死!?あ、いや、僕は皇族ではあるが、今はベリューム家を継いでいる。厳密に言えば公爵家の者だ。だから僕はこのままで助かるんだよな?」
「貴方も外交主宰ですから追放の対象かと」
「そ、それはないだろう。なあ、フロリアン、僕らは別れたとは言え、一度は結婚した仲じゃないか。君から殿下にお願いしてくれよ」
──はあ!?どのお口からそんな事が言えるのですか!ふざけないでください!
「リュメル様、私は貴方を絶対に許しません!ベリューム家と縁をお断ちになって、あのお屋敷からとっとと出ていきなさいっ!」
私は感情を抑えきれませんでした。リュメルは口をパクパク開けて驚いています。
「……フロリアン。……ゆ、許してくれ、僕が悪かった。だから……」
リュメルが頭を下げていたその時、モニカが私の手を握り、リュメルに向かって顎をしゃくりました。
ああ、そう言う事ですか……はしたないですけど私もこのままでは気が済みません。元正妻として殴らせて頂きます。
──パシーーン!
「男らしくしなさい!リュメル!」
「ひっ……!フロリ……」
「ついでにお前も!よくも騙したな、スカーゲン!」
──パシーーン!
「ううっ……た、助けてください、フロリアン様」
「いいえ、許さない!お前らは即刻お帰り!そして一ヶ月以内に降伏宣言するのよ!それまではお前の愛する公妾らを人質に取ります!」
……確かに私はカアラプシャン国出身で、しかも公爵家の者です。でも今は助けたくありません。リュメルが嫌いだからではなく、カアラプシャン国は根本から変わらなければならないのです。一度崩壊させて再生するしか手はございません。それが民衆のためだと信じております。
「フロリアンも閣下に言いたい事があるのではないか?……僕は席を外そう」
「えっ?」
「あとは君に任せる」
そう言って殿下は会談の途中で退出するという驚きの行動を取られました。なので今ここに残っているのはモニカとリュメル、スカーゲンにライクス王国の護衛が数人だけです。
もしかしたら殿下は私に復讐の機会を与えてくれたのでしょうか。でも国家を語る場で個人的な恨みを晴らすのはどうでしょう?……いえ、物は言いようです。
「リュメル……様、国家の一大事です。観光などなさらず、そこの政治秘書とお戻りください。そして陛下にご報告と進言なさって頂けませんか?」
「フロリアン、一体何を進言するのだ?」
「ライクス王国は本気です。このままでは国は崩壊します。悪あがきして戦争などなさっても全く勝ち目はございませんので、ライクス王国に降伏すると仰ってください」
「こ、降伏だと!?」
「カアラプシャン国はライクス王国の属国として再生するのです」
「そ、そ、そんな事言えるか!」
「現体制では国を豊かにする事は出来ません。民衆はいつまで経っても苦しむだけです。だから密入国を繰り返すのです。そんな事も分からない呑気な皇族に国の政治をお任せする訳には参りません」
「ち、ちょっと待て、では我々はどうなる!?」
「……追放します。何処ぞのお国で野垂れ死んでください」
「追放……!?野垂れ死!?あ、いや、僕は皇族ではあるが、今はベリューム家を継いでいる。厳密に言えば公爵家の者だ。だから僕はこのままで助かるんだよな?」
「貴方も外交主宰ですから追放の対象かと」
「そ、それはないだろう。なあ、フロリアン、僕らは別れたとは言え、一度は結婚した仲じゃないか。君から殿下にお願いしてくれよ」
──はあ!?どのお口からそんな事が言えるのですか!ふざけないでください!
「リュメル様、私は貴方を絶対に許しません!ベリューム家と縁をお断ちになって、あのお屋敷からとっとと出ていきなさいっ!」
私は感情を抑えきれませんでした。リュメルは口をパクパク開けて驚いています。
「……フロリアン。……ゆ、許してくれ、僕が悪かった。だから……」
リュメルが頭を下げていたその時、モニカが私の手を握り、リュメルに向かって顎をしゃくりました。
ああ、そう言う事ですか……はしたないですけど私もこのままでは気が済みません。元正妻として殴らせて頂きます。
──パシーーン!
「男らしくしなさい!リュメル!」
「ひっ……!フロリ……」
「ついでにお前も!よくも騙したな、スカーゲン!」
──パシーーン!
「ううっ……た、助けてください、フロリアン様」
「いいえ、許さない!お前らは即刻お帰り!そして一ヶ月以内に降伏宣言するのよ!それまではお前の愛する公妾らを人質に取ります!」
0
お気に入りに追加
157
あなたにおすすめの小説
姉に全てを奪われるはずの悪役令嬢ですが、婚約破棄されたら騎士団長の溺愛が始まりました
可児 うさこ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、婚約者の侯爵と聖女である姉の浮気現場に遭遇した。婚約破棄され、実家で贅沢三昧をしていたら、(強制的に)婚活を始めさせられた。「君が今まで婚約していたから、手が出せなかったんだ!」と、王子達からモテ期が到来する。でも私は全員分のルートを把握済み。悪役令嬢である妹には、必ずバッドエンドになる。婚活を無双しつつ、フラグを折り続けていたら、騎士団長に声を掛けられた。幼なじみのローラン、どのルートにもない男性だった。優しい彼は私を溺愛してくれて、やがて幸せな結婚をつかむことになる。
当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。
可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?
元令嬢は有能メイド ~今さら帰って来いと言われても困ります~
ハナミツキ
恋愛
自分などでよいのかと不安を抱えながら有力貴族であるレイドに仕えていたスターチス。
そんな不安はある日、悪い形で現実のものとなってしまう。
突然婚約破棄を告げられ、以前勤めていた使用人稼業の再開を余儀なくされたスターチスが出会ったのは、冷酷で有名なアルス警備隊長の使用人募集だった……
姉様の身代わりになります。砂の国へ嫁ぐ日、私は復讐を決意した…なのに溺愛されてます。
紫陽花
恋愛
灼熱の砂漠の中に建つ宮殿の主、ギムレット殿下は厳かに現れた。
輝く民族衣装を着た長身のその姿は、シルエットだけでも人々を魅了するであろう。
思わず魅入られてしまい声を失ったメイファは、気を引き締めて挨拶をしたのであった。
「はじめまして、ギムレット様。ケイトと申します。」
私は、姉のケイトとして嫁ぎ、祖国を陥れた王子への復讐を決意する。
婚約破棄は幸せな溺愛生活の始まりでした!?〜冷遇された令嬢は、隣国の王子に見初められて幸せを取り戻します〜
朱宮あめ
恋愛
とあるパーティーの席でのこと。
『アナスタシア・フレア。この場を借りて、グルー・マルクは貴方への婚約破棄を申し入れる!』
公衆の面前で、アナスタシアは婚約者であるグルーに婚約破棄を突きつけられ……!?
婚約者に搾取され続ける日々を過ごしていた没落貴族令嬢のアナスタシア・フレアの悲劇からの逆転劇!
悪役令嬢に転生したので、推しキャラの婚約者の立場を思う存分楽しみます
下菊みこと
恋愛
タイトルまんま。
悪役令嬢に転生した女の子が推しキャラに猛烈にアタックするけど聖女候補であるヒロインが出てきて余計なことをしてくれるお話。
悪役令嬢は諦めも早かった。
ちらっとヒロインへのざまぁがありますが、そんなにそこに触れない。
ご都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
鼻血の親分
恋愛
罪を着せられ島流しされたアニエスは、幼馴染で初恋の相手である島の領主、ジェラール王子とすれ違いの日々を過ごす。しかし思ったよりも緩い監視と特別待遇、そしてあたたかい島民に囲まれて、囚人島でも自由気ままに生きていく。
王都よりよっぽどいいっ!
アニエスはそう感じていた。…が、やがて運命が動き出す。
悪役令嬢と攻略対象(推し)の娘に転生しました。~前世の記憶で夫婦円満に導きたいと思います~
木山楽斗
恋愛
頭を打った私は、自分がかつてプレイした乙女ゲームの悪役令嬢であるアルティリアと攻略対象の一人で私の推しだったファルクスの子供に転生したことを理解した。
少し驚いたが、私は自分の境遇を受け入れた。例え前世の記憶が蘇っても、お父様とお母様のことが大好きだったからだ。
二人は、娘である私のことを愛してくれている。それを改めて理解しながらも、私はとある問題を考えることになった。
お父様とお母様の関係は、良好とは言い難い。政略結婚だった二人は、どこかぎこちない関係を築いていたのである。
仕方ない部分もあるとは思ったが、それでも私は二人に笑い合って欲しいと思った。
それは私のわがままだ。でも、私になら許されると思っている。だって、私は二人の娘なのだから。
こうして、私は二人になんとか仲良くなってもらうことを決意した。
幸いにも私には前世の記憶がある。乙女ゲームで描かれた二人の知識はきっと私を助けてくれるはずだ。
※2022/10/18 改題しました。(旧題:乙女ゲームの推しと悪役令嬢の娘に転生しました。)
※2022/10/20 改題しました。(旧題:悪役令嬢と推しの娘に転生しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる