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04学校行事と探偵部
おみくじの地図事件03
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俺と運転手が同時に驚愕した。シートベルトがなければ腰を浮かしていたところだ。
「ええっ?」
純架は嘘をついているわけではない。その真剣な瞳を見れば――
純架は白目を剥いていた。
こんなときに奇行はいらん。
「今思えば、おみくじはそのままにしておくべきだったかもしれない。もう遅いけどね」
「解説しろよ、解説。さっぱり分からんぞ」
純架は背もたれに身を預け、空中を睨みすえた。
「大男はいつ頃かは不明だが、人質をさらってある場所に隠した。そして小さな紙切れに、そこの位置をボールペンで書き込んだ。そうして出来上がった地図を、買ったおみくじでくるんで、赤い印をつけ、境内のロープに結びつけた。その後、人質の家族に身代金を電話で要求し、それを受け取ったかどうかはまだ分からないけど、その直後に告げる気なんだ。『六祥寺神社の五本ロープの最下段左端の赤いおみくじに、人質を隠した場所の地図が隠されている』とね」
俺は突拍子もない事件の転がり方に、まだ驚きの沼から這い出られない。
「おいおい、まじかよ! ……しかし、それこそ電話で直接告げた方が早くないか?」
「いや、口で説明するには、人質の隠された場所は複雑過ぎるんだ。大男は、人質の家族が警察に連絡していることは間違いない、と考えている。そこへ電話をかけたら逆探知されて、自分の居場所を教えてしまうことになるだろう。そこで地図の指定という形で通話時間を圧縮し、逆探知の時間を出来る限り減らそうと考えたんだろう」
俺は純架の推理を噛み砕き、咀嚼して、何とか飲み込んだ。なるほどそうだろう、確かにつじつまは合う。だが……
「純架、憶測にもほどがあるぞ。もし単なるジョークやお遊びの類だったらどうするんだ? 誘拐なんぞなく、ただ仲間内で悪ふざけしただけ、という可能性もあるじゃないか」
純架は両手の指を組み合わせて、にこやかに笑った。
「そのときは僕が高いタクシー代金で散財するだけさ。せっかくのお年玉もパア、ってね」
俺は改めて、『探偵部』は色々大変だなあと思った。
純架が去年スマホで撮影した、『奈緒に振られたばかりの俺』の画像を再生して爆笑している。
なぜ今?
「何にしても今の問題は、地図の場所に人質がいるかどうかだね」
俺は何を今更と、笑おうとして失敗した。
「いるから向かってるんじゃないのか?」
「いや、まださっきの大男の部屋に囚われていて、これから連れて行かれるのかもしれない。可能性は30パーセントぐらいかな。まあでも白昼堂々それはないだろうし、恐らく既に連行された後と見るのが妥当だ。おみくじを結んでしまっていることを考えてもね」
純架はこれ以上ないくらい真剣だ。ちょっと近寄りがたい雰囲気を感じる。
「想像を一段階進めると、男は『六祥寺神社』に徒歩でやってきた。帰りはタクシーだ。自分の車――誘拐に使った車――はレンタカーだったと推測できる」
後は順番の問題だ、と純架は語った。
「まずレンタカーを借りる。人質――どんな人物かは知らないが――を刃物か何かで脅して車に乗せ、地図の場所の一軒家に閉じ込める。その後レンタカーを返し、人質の家に最初の脅迫電話をかける。まずは誘拐の事実を告げ、身代金を用意させるためだね。そして地図を描き、おみくじに含ませてロープに縛り付ける。その後は身代金の受け渡しだ。それが成功に終わったら、人質の実家に電話をかけ、地図のありかを教えてすぐ切る。警察はおみくじの地図を手にして捜索、無事人質を取り戻す……」
「なるほど、絵に描いたような筋書きだな。でも犯人は身代金をどうやって手に入れるつもりなんだ? 一番難しい局面だと思うんだが」
「さあ、それは分からない。それこそ犯人に聞いてみなければね。ただ、あの男にそれほど高い知性は感じなかったから、ずさんな計画を立ててるんじゃないかな」
純架は意地悪く俺を見た。
「まあでも、楼路君のご指摘どおり、単なる中年ヤンキーの悪ふざけかもしれない。その線はまだ消せないよ。警察に連絡したいところだけど、今はその段階じゃないってところだね。だから……」
運転手にはっぱをかけた。
「地図の場所、とにもかくにも行ってみよう。お願いします。出来る限りの全速力で!」
「あいよっ!」
ドライバーもすっかり乗り気だった。
30分ほど走行して辿り着いたのは、郊外の森の中だった。何だか『能面の男事件』を思い出して薄ら寒い。あのときは英二ともども殺されかけたっけ。俺たちは舗装された道路の最終地点で車を降り、タクシーを待たせて地図の場所に向かった。
昼なお薄暗い森の中、携帯の電波受信状況は1や0を指している。怪鳥の鳴き声のようなものが遠くから聞こえ、風が梢をざわつかせた。人一人がやっと通れるほど狭い獣道を、俺たちは言葉もなく黙り込んだまま先へ先へと進む。今この場には俺たち以外いないという恐怖に背中を押されながら……
俺は沈黙に耐えられなくなって、先を進む純架の後姿に愚痴をこぼした。
「全く、正月早々何て目に遭うんだ……」
純架は気にせず、草を掻き分けつつ足を運ぶ。
「楼路君、これも『探偵部』の大切な任務だよ。我慢、我慢」
「バイト代が欲しいぐらいだ」
純架はスマホのコンパスと地図とを見比べながら急ぎ足で進行する。
「もう一軒家が見えてもいい頃だけど……。あ、あれだ!」
10分ほどの苦難の道の果て、朽ち果てたあばら屋が眼球で捉えられた。錆びて使い物にならなくなったであろうチェーンソー、2、3個転がるドラム缶、トタン屋根に剥離した外壁など、恐ろしくオンボロだ。かつては森林伐採で生計を立てていた人々の拠点として使われていたらしく、薪割り用の切り株と刃の欠けた手斧が脇に見える。無人なのだろうか、物音一つしない……
そのときだった。
「だ、誰ですか?」
内部からうら若い女の、震えて怯えきった声が聞こえてきた。俺と純架は顔を見合わせると、崩れ落ちたドアのぽっかり開いた穴から急いで中に入った。
そこには異様な光景が展開していた。
ベージュのハイカットブーツに長めのデニムジャケットという衣装の女子高生らしき女が、赤茶けたドラム缶の上に危なっかしく立っている。その首には紐が回され、天井に程近い梁から垂れ下がるロープと繋がっていた。両手は後ろで縛られ、顔には目隠しさえされている。もし屈んだり足を踏み外したりすれば、即座に首が絞まるようになっていた。
酷いことをしやがる。俺は大男に無性に腹が立った。
もう何時間もこうしていたのだろう、彼女の両足は疲労のためか引きつり、呼吸は喘ぐようだ。それでも、近づいてきた俺たちの足音をおみくじの大男――誘拐犯人のそれと勘違いしたのか、かすれた声で気丈に挑発してきた。
「いい加減あたしを放す気になりましたか? それなら結構、最善です」
純架は優しく応じた。
「いや、僕らは誘拐犯ではありません。あなたを助けに来ました。今までよく孤独に頑張りましたね。すぐ解放して差し上げます」
女は数秒固まった後、安堵からか深い溜め息をついた。
「本当ですね? 嘘じゃありませんね?」
「はい。おっと、動かないでください。下手に動くとドラム缶から離れ、本当に首吊りが完成してしまいます」
女は緩みかけた緊張を引き締めた。
「はい、気をつけます。それにしても助かりました。私は台真菜。あなたは?」
「桐木純架。もう一人は日本カバディ界の若きエース、朱雀楼路君です」
カバディなんてやったことすらないわ。
純架は俺にパントマイムで指示した。
いや、普通に喋れよ。
「ドラム缶を押さえていてくれたまえ。その隙に僕が上に登って、十徳ナイフでロープを切断する」
「おいおい、お前いつもそんなもの持ち歩いているのか。銃刀法所持違反だろ」
「いつ野生の熊に出くわしても戦えるように準備しているのさ」
そんな機会はないし、もし遭遇したとしても十徳ナイフで撃退できるような相手でもなかろう。
俺と純架は注意して行動を起こした。一歩まかり間違えば、目の前の少女が死ぬかもしれないのだ。ドラム缶を抱え込んだ両手は汗ばみ、純架が上に飛び乗るとそれは一層激しくなった。
ロープが固いのかアーミーナイフの切れ味が悪いのか、緊張の時間は2分ほど持続した。だがそれも、紐がぷつりと切れる音で終わりを告げる。
真菜は死のあぎとから生還したのだ。
純架が目隠しを外すと、彼女の真珠のような凛々しく黒い瞳が露出した。真菜は褐色の肌に片側で縛った赤茶色の髪を擁し、小振りな鼻と大きな口とで見るものに深い印象を与える。少し猫っぽく、野性味溢れる雰囲気だ。
「降りられますか?」
「任せてください」
そのしなやかな体躯が、滑らかな動作でドラム缶から飛び降りる。運動神経の高さを感じた。
「楼路君、彼女の両手を縛り付けている綱を外してくれたまえ」
純架も着地する。やがて腕の拘束を解かれた真菜は、両手を広げて、純架に目一杯抱きついた。
「ありがとうございます! 大好きです!」
その勢いたるや凄まじく、純架は彼女に押し倒された。
「ちょ、ちょっと台さん……」
さすがに戸惑う純架の頬っぺたに、真菜は自分のそれを擦り合わせる。まるで小動物のような、原始的な愛情表現だった。
「純架様……」
顔を離した少女は、こんどは純架の唇に接吻しようとした。純架は平手で口元を覆うことで未然に防いだ。
「ええっ?」
純架は嘘をついているわけではない。その真剣な瞳を見れば――
純架は白目を剥いていた。
こんなときに奇行はいらん。
「今思えば、おみくじはそのままにしておくべきだったかもしれない。もう遅いけどね」
「解説しろよ、解説。さっぱり分からんぞ」
純架は背もたれに身を預け、空中を睨みすえた。
「大男はいつ頃かは不明だが、人質をさらってある場所に隠した。そして小さな紙切れに、そこの位置をボールペンで書き込んだ。そうして出来上がった地図を、買ったおみくじでくるんで、赤い印をつけ、境内のロープに結びつけた。その後、人質の家族に身代金を電話で要求し、それを受け取ったかどうかはまだ分からないけど、その直後に告げる気なんだ。『六祥寺神社の五本ロープの最下段左端の赤いおみくじに、人質を隠した場所の地図が隠されている』とね」
俺は突拍子もない事件の転がり方に、まだ驚きの沼から這い出られない。
「おいおい、まじかよ! ……しかし、それこそ電話で直接告げた方が早くないか?」
「いや、口で説明するには、人質の隠された場所は複雑過ぎるんだ。大男は、人質の家族が警察に連絡していることは間違いない、と考えている。そこへ電話をかけたら逆探知されて、自分の居場所を教えてしまうことになるだろう。そこで地図の指定という形で通話時間を圧縮し、逆探知の時間を出来る限り減らそうと考えたんだろう」
俺は純架の推理を噛み砕き、咀嚼して、何とか飲み込んだ。なるほどそうだろう、確かにつじつまは合う。だが……
「純架、憶測にもほどがあるぞ。もし単なるジョークやお遊びの類だったらどうするんだ? 誘拐なんぞなく、ただ仲間内で悪ふざけしただけ、という可能性もあるじゃないか」
純架は両手の指を組み合わせて、にこやかに笑った。
「そのときは僕が高いタクシー代金で散財するだけさ。せっかくのお年玉もパア、ってね」
俺は改めて、『探偵部』は色々大変だなあと思った。
純架が去年スマホで撮影した、『奈緒に振られたばかりの俺』の画像を再生して爆笑している。
なぜ今?
「何にしても今の問題は、地図の場所に人質がいるかどうかだね」
俺は何を今更と、笑おうとして失敗した。
「いるから向かってるんじゃないのか?」
「いや、まださっきの大男の部屋に囚われていて、これから連れて行かれるのかもしれない。可能性は30パーセントぐらいかな。まあでも白昼堂々それはないだろうし、恐らく既に連行された後と見るのが妥当だ。おみくじを結んでしまっていることを考えてもね」
純架はこれ以上ないくらい真剣だ。ちょっと近寄りがたい雰囲気を感じる。
「想像を一段階進めると、男は『六祥寺神社』に徒歩でやってきた。帰りはタクシーだ。自分の車――誘拐に使った車――はレンタカーだったと推測できる」
後は順番の問題だ、と純架は語った。
「まずレンタカーを借りる。人質――どんな人物かは知らないが――を刃物か何かで脅して車に乗せ、地図の場所の一軒家に閉じ込める。その後レンタカーを返し、人質の家に最初の脅迫電話をかける。まずは誘拐の事実を告げ、身代金を用意させるためだね。そして地図を描き、おみくじに含ませてロープに縛り付ける。その後は身代金の受け渡しだ。それが成功に終わったら、人質の実家に電話をかけ、地図のありかを教えてすぐ切る。警察はおみくじの地図を手にして捜索、無事人質を取り戻す……」
「なるほど、絵に描いたような筋書きだな。でも犯人は身代金をどうやって手に入れるつもりなんだ? 一番難しい局面だと思うんだが」
「さあ、それは分からない。それこそ犯人に聞いてみなければね。ただ、あの男にそれほど高い知性は感じなかったから、ずさんな計画を立ててるんじゃないかな」
純架は意地悪く俺を見た。
「まあでも、楼路君のご指摘どおり、単なる中年ヤンキーの悪ふざけかもしれない。その線はまだ消せないよ。警察に連絡したいところだけど、今はその段階じゃないってところだね。だから……」
運転手にはっぱをかけた。
「地図の場所、とにもかくにも行ってみよう。お願いします。出来る限りの全速力で!」
「あいよっ!」
ドライバーもすっかり乗り気だった。
30分ほど走行して辿り着いたのは、郊外の森の中だった。何だか『能面の男事件』を思い出して薄ら寒い。あのときは英二ともども殺されかけたっけ。俺たちは舗装された道路の最終地点で車を降り、タクシーを待たせて地図の場所に向かった。
昼なお薄暗い森の中、携帯の電波受信状況は1や0を指している。怪鳥の鳴き声のようなものが遠くから聞こえ、風が梢をざわつかせた。人一人がやっと通れるほど狭い獣道を、俺たちは言葉もなく黙り込んだまま先へ先へと進む。今この場には俺たち以外いないという恐怖に背中を押されながら……
俺は沈黙に耐えられなくなって、先を進む純架の後姿に愚痴をこぼした。
「全く、正月早々何て目に遭うんだ……」
純架は気にせず、草を掻き分けつつ足を運ぶ。
「楼路君、これも『探偵部』の大切な任務だよ。我慢、我慢」
「バイト代が欲しいぐらいだ」
純架はスマホのコンパスと地図とを見比べながら急ぎ足で進行する。
「もう一軒家が見えてもいい頃だけど……。あ、あれだ!」
10分ほどの苦難の道の果て、朽ち果てたあばら屋が眼球で捉えられた。錆びて使い物にならなくなったであろうチェーンソー、2、3個転がるドラム缶、トタン屋根に剥離した外壁など、恐ろしくオンボロだ。かつては森林伐採で生計を立てていた人々の拠点として使われていたらしく、薪割り用の切り株と刃の欠けた手斧が脇に見える。無人なのだろうか、物音一つしない……
そのときだった。
「だ、誰ですか?」
内部からうら若い女の、震えて怯えきった声が聞こえてきた。俺と純架は顔を見合わせると、崩れ落ちたドアのぽっかり開いた穴から急いで中に入った。
そこには異様な光景が展開していた。
ベージュのハイカットブーツに長めのデニムジャケットという衣装の女子高生らしき女が、赤茶けたドラム缶の上に危なっかしく立っている。その首には紐が回され、天井に程近い梁から垂れ下がるロープと繋がっていた。両手は後ろで縛られ、顔には目隠しさえされている。もし屈んだり足を踏み外したりすれば、即座に首が絞まるようになっていた。
酷いことをしやがる。俺は大男に無性に腹が立った。
もう何時間もこうしていたのだろう、彼女の両足は疲労のためか引きつり、呼吸は喘ぐようだ。それでも、近づいてきた俺たちの足音をおみくじの大男――誘拐犯人のそれと勘違いしたのか、かすれた声で気丈に挑発してきた。
「いい加減あたしを放す気になりましたか? それなら結構、最善です」
純架は優しく応じた。
「いや、僕らは誘拐犯ではありません。あなたを助けに来ました。今までよく孤独に頑張りましたね。すぐ解放して差し上げます」
女は数秒固まった後、安堵からか深い溜め息をついた。
「本当ですね? 嘘じゃありませんね?」
「はい。おっと、動かないでください。下手に動くとドラム缶から離れ、本当に首吊りが完成してしまいます」
女は緩みかけた緊張を引き締めた。
「はい、気をつけます。それにしても助かりました。私は台真菜。あなたは?」
「桐木純架。もう一人は日本カバディ界の若きエース、朱雀楼路君です」
カバディなんてやったことすらないわ。
純架は俺にパントマイムで指示した。
いや、普通に喋れよ。
「ドラム缶を押さえていてくれたまえ。その隙に僕が上に登って、十徳ナイフでロープを切断する」
「おいおい、お前いつもそんなもの持ち歩いているのか。銃刀法所持違反だろ」
「いつ野生の熊に出くわしても戦えるように準備しているのさ」
そんな機会はないし、もし遭遇したとしても十徳ナイフで撃退できるような相手でもなかろう。
俺と純架は注意して行動を起こした。一歩まかり間違えば、目の前の少女が死ぬかもしれないのだ。ドラム缶を抱え込んだ両手は汗ばみ、純架が上に飛び乗るとそれは一層激しくなった。
ロープが固いのかアーミーナイフの切れ味が悪いのか、緊張の時間は2分ほど持続した。だがそれも、紐がぷつりと切れる音で終わりを告げる。
真菜は死のあぎとから生還したのだ。
純架が目隠しを外すと、彼女の真珠のような凛々しく黒い瞳が露出した。真菜は褐色の肌に片側で縛った赤茶色の髪を擁し、小振りな鼻と大きな口とで見るものに深い印象を与える。少し猫っぽく、野性味溢れる雰囲気だ。
「降りられますか?」
「任せてください」
そのしなやかな体躯が、滑らかな動作でドラム缶から飛び降りる。運動神経の高さを感じた。
「楼路君、彼女の両手を縛り付けている綱を外してくれたまえ」
純架も着地する。やがて腕の拘束を解かれた真菜は、両手を広げて、純架に目一杯抱きついた。
「ありがとうございます! 大好きです!」
その勢いたるや凄まじく、純架は彼女に押し倒された。
「ちょ、ちょっと台さん……」
さすがに戸惑う純架の頬っぺたに、真菜は自分のそれを擦り合わせる。まるで小動物のような、原始的な愛情表現だった。
「純架様……」
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