47 / 156
02夏休みの出来事
二人の投手事件01
しおりを挟む
(三)二人の投手事件
英二は今回の『バーベキュー事件』の不手際を取り戻すべく、第二の山荘への『探偵部』招待を計画しているらしい。さすがに同じようなおっかない事件には巻き込まれないだろう、と、俺は楽観視していた。今から楽しみだ。
そんな7月下旬に俺の前に現れたのは、もうおなじみとなった隣の奇人一家――桐木家の長男である純架だ。彼はシャツ、カーディガン、パンツ、靴下を全て裏返しに着用するという奇抜な格好で、何事もおかしなことは起きてないんだぞとばかりにドアの先で俺を見上げた。中世ヨーロッパの貴族のような、耳が隠れる豊富な黒髪だ。
「僕の家のテレビは妹の愛君が占領していてね。君の部屋のそれを借りたいんだ」
衣服のタグをひらひら風に舞わせ、屈託ない笑顔を向けてくる。そう、純架は奇行の達人なのだ。誰に命じられたわけでもなく、格好がつくわけでもない、あからさまな奇態を呈し、ただそれだけでこの世は平穏ですとばかりに笑顔でたたずんでいる。息を吐くように奇行を発する。それが彼、桐木純架の負の側面であった。
俺は玄関でひとつ溜め息をつくと、今更奇行を指摘することも面倒くさかったので「上がれよ」とのみうながした。純架は彼にしか見えない赤ん坊を抱き上げて、「高い高ーい」とあやしてから靴を脱いだ。もちろん俺は反応しない。これは反応した奴が負けのゲームなのだ。
純架は階段を上り切ると、彼にしか見えない赤ちゃんを「はい高い高ーい! はい高い高ーい!」と躍りながら執拗に上下させた。その目は血走り、異様なまでの必死さがほとばしっている。
これで麻薬をやってないんだから逆に凄いな。
俺は2階の自室に純架を通した。そこでベランダに干していた洗濯物を取り込んだ、俺のお袋が現れる。
「あれ、誰か来たのね」
「おう」
「飲み物汲んであげるよ。2名でいいね?」
「悪い」
母親は階段を軽やかに下りていきつつ尋ねた。
「楼路、麦茶でいいだろ?」
「頼む」
白髪混じりの髪から目を離し、俺は室内に足を踏み入れた。純架はリモコンのスイッチを押しまくり、チャンネルを地方局に合わせた。ちょうど高校野球が始まったところだ。そこに映し出された名前に、俺は度肝を抜かれた。
「渋山台高校対星降高校……県大会決勝戦?」
渋山台高校は俺や純架の通う学び舎だ。そこが決勝戦に進出? これで勝てば甲子園確定ってことか?
「信じられん。いつの間にここまで勝ち上がってきたんだ?」
純架は肩をすくめて苦笑した。
「君は新聞を読まないのかい? それとも野球部の友達がいないんじゃないのかね? 夏休みに入ってから、僕は渋山台高校野球部の活躍をつぶさに拾い上げてきたんだ。今日は見ものだよ。何しろ弱小野球部に現れた救世主、三上譲治君が凄いんだ。きっとこの一戦も快刀乱麻の投球で、星降に凡退の山を築かせるだろうよ」
「へえ、三上ねえ。1年でエースか……」
「宇治川武蔵外部顧問を招いた甲斐があったというものだよ。やっぱり元プロ野球選手は教え方が違うんだね。三上君を先発起用してきたのも宇治川顧問の手腕によるというからね」
「ほう……。相手チームはどうなんだ? 強いのか?」
純架はうなじでばっさり水平に切られている後ろ髪を撫でた。
「ここまで来たんだから相当だろうね。強豪だろうけど、大丈夫、きっといける」
そこへお袋が盆を持って現れた。汗をかいたコップに美味そうな茶色の液体が入っている。氷のぶつかり合う音が涼しさを感じさせた。チップスが盛られた深皿もあって、気が利いている。
「何だ、隣の桐木君じゃない。ほら、麦茶注いだわよ、お二人さん」
「ありがとうございます」
純架は素朴に一礼した。俺は手刀を切ると、早速純架に杯を手渡した。自分の分も取り上げる。お袋はテレビ画面を数秒間見つめた後、気まずそうに視線を逸らした。俺は隣のカーペットを叩く。
「ほら、お袋も観て応援しろよ」
彼女は心底嫌そうに溜め息をついた。何だ?
「ああ、私は駄目なのよ。私が応援すると、何故か相撲でも野球でもサッカーでも、ひいきが負けちゃうのよね」
俺はコップを傾けて喉を鳴らす。
「こう言っちゃなんだけど、まるで疫病神だな……」
ついこの前シングルマザーとなった彼女は寂しそうに笑った。自嘲の波動が面を走る。
「そうよ。だから私は自分の部屋に引っ込んでるわ。まあ楽しんでください、桐木君、楼路」
お袋はトレイを置くとドアの外に出て行った。純架は閉まる扉に目線を滑らせた後、改めて画面に向き直る。テーブルに肩肘をつき、拳に頬を預けた。
「じゃあ楼路君の母さんの分まで応援するかな」
俺は腕まくりをして試合開始のブザーを聴く。すっかり応援態勢に入っていた。こんな面白い試合を見逃すところだったのかと、教えてくれた純架に感謝したい感じだ。
「甲子園の夢がくだらない理由で散ってもしょうがないしな。お袋には我慢してもらおう」
「さあ、始まった!」
先攻は渋山台だった。相手先発・中山投手の前に、もろくも三者三振で無得点に終わる。俺は無様な打撃陣を嘆くより、相手の豪腕を賞賛した。
「こりゃ手強そうだな」
純架は俺のゲーム機を指差した。
「脈絡なくて悪いけど、これ貰ってもいいよね?」
駄目に決まってんだろ。
「でもそんな速球派でもないし、狙いを定めればいけそうだけどね」
我らが渋山台高校ナインが守備につく。実況が車のエンジンもかくやとばかり、その饒舌をふるった。
『渋山台高校先発ピッチャー、三上譲治。中学ではエースとしてチームを県大会優勝に導いた新人です。そのときの監督が宇治川さんで、彼の元で投げたいと、後を追うように渋山台高校に入学したそうです』
俺はつまみの菓子を口に放り込む。
「へえ、そうなんだ。経験者ってわけか。それも、かなりトップクラスの……」
三上は虎のような外見で、端正な相貌は日焼けしており、歯の白さが際立っていた。
解説のしゃがれた声が室内に響く。実況に比べればのんびりとした喋りだった。
『三上君の武器は速いストレートですね。最速150キロとか。時折チェンジアップも混ぜますが、これはあくまで相手を揺さぶるためのものらしいです』
ほう、剛腕か……。俺はパリパリに乾いている嗜好品を咀嚼した。純架がポテチを麦茶に浸し、デロデロにしてから食べる。
「うーん、美味い!」
いや、不味いだろ、それ。
『三上、最初のバッターをノーボール・2ストライクと追い込みます!』
ここまで放った2球はどちらも140キロ台後半の速度だった。まるでプロ並だ。このまま押し切れるか?
だが……
『おーっと、ホームラン! 先頭打者本塁打を打たれてしまいました、三上!』
何とど真ん中に投げた甘いボールをバッターが打ち返し、それはスタンドに飛び込む先制の一打となってしまった。純架がスコアボードに表示される『1』の文字を見つめる。
「あらら……」
夏真っ盛りのマウンドで、帽子を取り額の汗を拭う三上。その背後を打者が悠々と走っていく。快晴に照り映えるホームベースが無情にも敵手に踏まれた。笑顔に包まれる敵陣とは対照的に、三上の表情は暗い。
その後、三上は投げる球をことごとく打たれ、ノーアウト1、2塁になった。俺はテーブルを挟んで純架と菓子を奪い合う。
「おいおい、初っ端からやばいぞ」
「立ち上がりが悪いね」
『また打たれました! これは星降の立川、一気にホームを狙う!』
三上は2ベースヒットを献上し、一挙2得点を許した。相手応援団の大歓声が球場にこだまする。
「あちゃー……」
「何やってるんだい、三上君……」
これで3失点。更にノーアウト2塁。我らが渋山台高校は、早くも窮地に立たされた。純架が生真面目に言う。
「こりゃ100失点もあるかもね」
「観たことねえよ、そんな試合」
てっきり純架の奇行だと思っていたら違った。彼は指を振って俺を戒める。
「高校野球で122対0の試合がかつてあったんだよ。何でも奇行扱いしてもらっちゃ困るね」
そう言いながらチップスの欠片を鼻の穴に詰め込む。
奇行しながら言われてもな。
三上は奮起したのか、その後は安定したピッチングでこれ以上の被安打を阻止。試合は0対3で1回裏を終えた。
俺はティッシュで鼻を掃除している純架に尋ねた。
「三上はここまでずっと先発だったのか?」
「そうみたいだね。それによる疲労もあったのかな。これは途中降板、投手交代も視野に入れないとまずいだろうね」
「宇治川監督の判断はどうなんだろうな」
2回表の渋山台高校の攻撃。4番の3年生倉内先輩がお返しのソロホームランを放った。
「よっしゃあ! さすが4番!」
「景気づけにちょうどいいね!」
5番は背番号3、渋山台高校野球部主将の桃山卓志先輩。
『今大会では打率4割を超える桃山の出番です』
俺はテレビの液晶画面の向こうへ祈願した。
「頼みますよ桃山キャプテン!」
空振り、ファウルであっという間にツーストライク。しかし3球目のボール球をこらえると、ぐっと精悍な顔になった。
そして4球目はレフトへ。豪快な3塁打だ。純架が興奮して手を叩いた。
「やったね!」
英二は今回の『バーベキュー事件』の不手際を取り戻すべく、第二の山荘への『探偵部』招待を計画しているらしい。さすがに同じようなおっかない事件には巻き込まれないだろう、と、俺は楽観視していた。今から楽しみだ。
そんな7月下旬に俺の前に現れたのは、もうおなじみとなった隣の奇人一家――桐木家の長男である純架だ。彼はシャツ、カーディガン、パンツ、靴下を全て裏返しに着用するという奇抜な格好で、何事もおかしなことは起きてないんだぞとばかりにドアの先で俺を見上げた。中世ヨーロッパの貴族のような、耳が隠れる豊富な黒髪だ。
「僕の家のテレビは妹の愛君が占領していてね。君の部屋のそれを借りたいんだ」
衣服のタグをひらひら風に舞わせ、屈託ない笑顔を向けてくる。そう、純架は奇行の達人なのだ。誰に命じられたわけでもなく、格好がつくわけでもない、あからさまな奇態を呈し、ただそれだけでこの世は平穏ですとばかりに笑顔でたたずんでいる。息を吐くように奇行を発する。それが彼、桐木純架の負の側面であった。
俺は玄関でひとつ溜め息をつくと、今更奇行を指摘することも面倒くさかったので「上がれよ」とのみうながした。純架は彼にしか見えない赤ん坊を抱き上げて、「高い高ーい」とあやしてから靴を脱いだ。もちろん俺は反応しない。これは反応した奴が負けのゲームなのだ。
純架は階段を上り切ると、彼にしか見えない赤ちゃんを「はい高い高ーい! はい高い高ーい!」と躍りながら執拗に上下させた。その目は血走り、異様なまでの必死さがほとばしっている。
これで麻薬をやってないんだから逆に凄いな。
俺は2階の自室に純架を通した。そこでベランダに干していた洗濯物を取り込んだ、俺のお袋が現れる。
「あれ、誰か来たのね」
「おう」
「飲み物汲んであげるよ。2名でいいね?」
「悪い」
母親は階段を軽やかに下りていきつつ尋ねた。
「楼路、麦茶でいいだろ?」
「頼む」
白髪混じりの髪から目を離し、俺は室内に足を踏み入れた。純架はリモコンのスイッチを押しまくり、チャンネルを地方局に合わせた。ちょうど高校野球が始まったところだ。そこに映し出された名前に、俺は度肝を抜かれた。
「渋山台高校対星降高校……県大会決勝戦?」
渋山台高校は俺や純架の通う学び舎だ。そこが決勝戦に進出? これで勝てば甲子園確定ってことか?
「信じられん。いつの間にここまで勝ち上がってきたんだ?」
純架は肩をすくめて苦笑した。
「君は新聞を読まないのかい? それとも野球部の友達がいないんじゃないのかね? 夏休みに入ってから、僕は渋山台高校野球部の活躍をつぶさに拾い上げてきたんだ。今日は見ものだよ。何しろ弱小野球部に現れた救世主、三上譲治君が凄いんだ。きっとこの一戦も快刀乱麻の投球で、星降に凡退の山を築かせるだろうよ」
「へえ、三上ねえ。1年でエースか……」
「宇治川武蔵外部顧問を招いた甲斐があったというものだよ。やっぱり元プロ野球選手は教え方が違うんだね。三上君を先発起用してきたのも宇治川顧問の手腕によるというからね」
「ほう……。相手チームはどうなんだ? 強いのか?」
純架はうなじでばっさり水平に切られている後ろ髪を撫でた。
「ここまで来たんだから相当だろうね。強豪だろうけど、大丈夫、きっといける」
そこへお袋が盆を持って現れた。汗をかいたコップに美味そうな茶色の液体が入っている。氷のぶつかり合う音が涼しさを感じさせた。チップスが盛られた深皿もあって、気が利いている。
「何だ、隣の桐木君じゃない。ほら、麦茶注いだわよ、お二人さん」
「ありがとうございます」
純架は素朴に一礼した。俺は手刀を切ると、早速純架に杯を手渡した。自分の分も取り上げる。お袋はテレビ画面を数秒間見つめた後、気まずそうに視線を逸らした。俺は隣のカーペットを叩く。
「ほら、お袋も観て応援しろよ」
彼女は心底嫌そうに溜め息をついた。何だ?
「ああ、私は駄目なのよ。私が応援すると、何故か相撲でも野球でもサッカーでも、ひいきが負けちゃうのよね」
俺はコップを傾けて喉を鳴らす。
「こう言っちゃなんだけど、まるで疫病神だな……」
ついこの前シングルマザーとなった彼女は寂しそうに笑った。自嘲の波動が面を走る。
「そうよ。だから私は自分の部屋に引っ込んでるわ。まあ楽しんでください、桐木君、楼路」
お袋はトレイを置くとドアの外に出て行った。純架は閉まる扉に目線を滑らせた後、改めて画面に向き直る。テーブルに肩肘をつき、拳に頬を預けた。
「じゃあ楼路君の母さんの分まで応援するかな」
俺は腕まくりをして試合開始のブザーを聴く。すっかり応援態勢に入っていた。こんな面白い試合を見逃すところだったのかと、教えてくれた純架に感謝したい感じだ。
「甲子園の夢がくだらない理由で散ってもしょうがないしな。お袋には我慢してもらおう」
「さあ、始まった!」
先攻は渋山台だった。相手先発・中山投手の前に、もろくも三者三振で無得点に終わる。俺は無様な打撃陣を嘆くより、相手の豪腕を賞賛した。
「こりゃ手強そうだな」
純架は俺のゲーム機を指差した。
「脈絡なくて悪いけど、これ貰ってもいいよね?」
駄目に決まってんだろ。
「でもそんな速球派でもないし、狙いを定めればいけそうだけどね」
我らが渋山台高校ナインが守備につく。実況が車のエンジンもかくやとばかり、その饒舌をふるった。
『渋山台高校先発ピッチャー、三上譲治。中学ではエースとしてチームを県大会優勝に導いた新人です。そのときの監督が宇治川さんで、彼の元で投げたいと、後を追うように渋山台高校に入学したそうです』
俺はつまみの菓子を口に放り込む。
「へえ、そうなんだ。経験者ってわけか。それも、かなりトップクラスの……」
三上は虎のような外見で、端正な相貌は日焼けしており、歯の白さが際立っていた。
解説のしゃがれた声が室内に響く。実況に比べればのんびりとした喋りだった。
『三上君の武器は速いストレートですね。最速150キロとか。時折チェンジアップも混ぜますが、これはあくまで相手を揺さぶるためのものらしいです』
ほう、剛腕か……。俺はパリパリに乾いている嗜好品を咀嚼した。純架がポテチを麦茶に浸し、デロデロにしてから食べる。
「うーん、美味い!」
いや、不味いだろ、それ。
『三上、最初のバッターをノーボール・2ストライクと追い込みます!』
ここまで放った2球はどちらも140キロ台後半の速度だった。まるでプロ並だ。このまま押し切れるか?
だが……
『おーっと、ホームラン! 先頭打者本塁打を打たれてしまいました、三上!』
何とど真ん中に投げた甘いボールをバッターが打ち返し、それはスタンドに飛び込む先制の一打となってしまった。純架がスコアボードに表示される『1』の文字を見つめる。
「あらら……」
夏真っ盛りのマウンドで、帽子を取り額の汗を拭う三上。その背後を打者が悠々と走っていく。快晴に照り映えるホームベースが無情にも敵手に踏まれた。笑顔に包まれる敵陣とは対照的に、三上の表情は暗い。
その後、三上は投げる球をことごとく打たれ、ノーアウト1、2塁になった。俺はテーブルを挟んで純架と菓子を奪い合う。
「おいおい、初っ端からやばいぞ」
「立ち上がりが悪いね」
『また打たれました! これは星降の立川、一気にホームを狙う!』
三上は2ベースヒットを献上し、一挙2得点を許した。相手応援団の大歓声が球場にこだまする。
「あちゃー……」
「何やってるんだい、三上君……」
これで3失点。更にノーアウト2塁。我らが渋山台高校は、早くも窮地に立たされた。純架が生真面目に言う。
「こりゃ100失点もあるかもね」
「観たことねえよ、そんな試合」
てっきり純架の奇行だと思っていたら違った。彼は指を振って俺を戒める。
「高校野球で122対0の試合がかつてあったんだよ。何でも奇行扱いしてもらっちゃ困るね」
そう言いながらチップスの欠片を鼻の穴に詰め込む。
奇行しながら言われてもな。
三上は奮起したのか、その後は安定したピッチングでこれ以上の被安打を阻止。試合は0対3で1回裏を終えた。
俺はティッシュで鼻を掃除している純架に尋ねた。
「三上はここまでずっと先発だったのか?」
「そうみたいだね。それによる疲労もあったのかな。これは途中降板、投手交代も視野に入れないとまずいだろうね」
「宇治川監督の判断はどうなんだろうな」
2回表の渋山台高校の攻撃。4番の3年生倉内先輩がお返しのソロホームランを放った。
「よっしゃあ! さすが4番!」
「景気づけにちょうどいいね!」
5番は背番号3、渋山台高校野球部主将の桃山卓志先輩。
『今大会では打率4割を超える桃山の出番です』
俺はテレビの液晶画面の向こうへ祈願した。
「頼みますよ桃山キャプテン!」
空振り、ファウルであっという間にツーストライク。しかし3球目のボール球をこらえると、ぐっと精悍な顔になった。
そして4球目はレフトへ。豪快な3塁打だ。純架が興奮して手を叩いた。
「やったね!」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【本編完結】長し夜に、ひらく窓<天神一の日常推理 呪われた女>
ユト
ミステリー
【それは呪いか? 願いか? 風変わりな大学生と平凡理系大学生は、女子大生の呪いを解くために推理する】
長雨の十月、告解室と呼ばれる喫茶店<レトロ・アヴェ>。
『普通』をこよなく愛す風変わりな大学生の天神一と平凡な理系大学生の早川翔太の前に、一人の女子大生が現れる。
彼女の名は、藤枝穂乃果。
眉目秀麗、真面目を体現しているような彼女は、天気雨の日に『狐の窓』をしてから、いつでもどこにいても雨が見えるようになったと言う。
しかし、雨を止ませることが依頼かと天神が聞けば、彼女は首を横に振った。
「私に掛けられた呪いを教えてください」
それがたった一つの藤枝の依頼だった。
彼女を呪っているのは誰か。
なぜ、彼女は呪われたのか。
彼女に掛けられた呪いとは何か。
天神に舞い込む日常の謎を解きながら、彼女の深層に潜り込む。
謎と苦悩の平凡日常ミステリー。
----------------------
プロローグ
第一章 はじまりは雨と共に(〜8話)
第二章 空と鳥と新しき怪異(〜20話)
第三章 君想う、心は開かずの箱の中(〜32話)
第四章 長し夜に、ひらく窓(〜42話)
エピローグ
------------------------
1月中におまけSSを投稿予定。
投稿後も頻繁に推敲しますこと、ご容赦ください。
カクヨムにも投稿中。
天神と早川との出会いはこちら↓
【草つ月、灼くる日】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/340268778/875697704
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
金無一千万の探偵譜
きょろ
ミステリー
年齢四十歳。派手な柄シャツに、四六時中煙草の煙をふかす男。名を「金無 一千万(かねなし いちま)」
目つきと口の悪さ、更にその横柄な態度を目の当たりにすれば、誰も彼が「探偵」だとは思うまい。
本人ですら「探偵」だと名乗った事は一度もないのだから。
しかしそんな彼、金無一千万は不思議と事件を引寄せる星の元にでも生まれたのだろうか、彼の周りでは奇妙難解の事件が次々に起こる。
「金の存在が全て――」
何よりも「金」を愛する金無一千万は、その見た目とは対照的に、非凡な洞察力、観察力、推理力によって次々と事件を解決していく。その姿はまさに名探偵――。
だが、本人は一度も「探偵」と名乗った覚えはないのだ。
そんなお前が好きだった
chatetlune
BL
後生大事にしまい込んでいた10年物の腐った初恋の蓋がまさか開くなんて―。高校時代一学年下の大らかな井原渉に懐かれていた和田響。井原は卒業式の後、音大に進んだ響に、卒業したら、この大銀杏の樹の下で逢おうと勝手に約束させたが、響は結局行かなかった。言葉にしたことはないが思いは互いに同じだったのだと思う。だが未来のない道に井原を巻き込みたくはなかった。時を経て10年後の秋、郷里に戻った響は、高校の恩師に頼み込まれてピアノを教える傍ら急遽母校で非常勤講師となるが、明くる4月、アメリカに留学していたはずの井原が物理教師として現れ、響は動揺する。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる