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獅子戸 直也
再会
しおりを挟むセックスについて学ぶとかは、正直どうでも良い。
ただ、この世にはまだまだそんな訳の分からない界隈が存在していて、そんな未知の領域に踏み込めば何かが変わるかもしれないと、その時何故か直感的にそう思い、そしてそれは見事に的中した。
厳密に言うと俺自身の何かが変わったわけでは無いが、俺の今後を大きく変えるだろう出会いがあったのだ。
STSでの講習初日。
その日はまだ何かを教わったりするというよりも、自己紹介をしたり施設を見学したり、今後のグループ分けをするだけとのことで、自分の中で何かが変わるほどの新しい刺激は何もなく、ただ退屈な時間を過ごすのだろうと思っていた。
そんな中始まった自己紹介で、とんでもないことが起きた。
18人いる生徒の中で、俺が最後に自己紹介をすることになっていて、俺の前...最後から二番目に前に出て自己紹介を始めた男の顔を見て、俺は未だかつて無いほどの衝撃を受けた。
雷に打たれたような...とはこのことか、と思うほどの。
透き通るような真っ白な肌、とろんと垂れた大きな目、遠目からでも分かるほど長い睫毛、ぷるぷるの少し厚めな唇。
緊張しているのかもじもじしながら、それでも時折ぎこちない笑顔を浮かべて一生懸命喋る口角の横に現れた笑窪。
ひな、と名乗った彼は、俺が会いたくて会いたくて堪らなかった初恋のあの子だった。
…いや、正確に言うと、この時点ではまだ確証は無かった。
STSでは、本名をフルネームで名乗ることは禁止されていて、みんな下の名前だけだったりニックネームを使ったりすることになっているから名前を聞き出すことも出来なくて。
でも俺の記憶が、細胞が、あの子だ!と叫んでいた。
しかもひなも、初恋を引きずっていると自己紹介の時に言っていた。
もし彼が柏木雛汰本人だとしたら、その初恋の相手というのは自惚れではなく多分俺のことだろう。
その日のうちに何度かひなと接近する機会があったけど、向こうはまったく俺に気付いていなくて、名乗るべきか物凄く悩んだ。
だけど初日からいきなりルールを無視して、自分の本名を名乗るのも彼の本名を尋ねるのも気が引けたし、もし違っていたら気まずいなと怖気付いてしまった部分もあったりして。
結局少し様子見することに決めたけど、今となってはそれで良かったと思う。
ひなの性格的に、もし俺とこんな形で再会したと知ったら彼はものすごくショックを受けるだろう。
それはここで一緒に過ごす中でひなのことを少しずつ知っていく度に確信に変わっていった。
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