上 下
54 / 61
泉 龍之介

肉バルにて 2

しおりを挟む

「んー…おれも潮吹き?とかできたほうがいいのかなぁ…」


ひなの衝撃的な一言に、じゅんくんの口から勢いよくレモンサワーが噴射された。
正面に座っていたなおがそれをモロに浴びたけど、普段から割と冷静ななおはこんな時も冷静で、「きったな」と言いながらおしぼりで拭きつつ、隣に座ったひなに「かからなかった?大丈夫?」と声を掛けている。
そしてじゅんくんはといえば、けいに「あんたが吹いてどないすんねん!」と鋭いツッコミを入れられていた。


「ねぇりゅう、どう思う?」


つんつんと袖を引っ張られたかと思えば、デケェタレ目がこっちを見上げてくる。


──えぇ、俺?俺に聞くの?


元はと言えばひなの爆弾発言のせいで割とテーブルの上が地獄絵図なのに、目の前のハプニングなんて我関せず、もう彼の頭の中は潮吹きのことでいっぱいらしい。

だけど潮吹きできたほうがいいかどうかなんてそんな質問、なんて答えるのが正解なのか俺には分からなくて、「ひなが潮吹きしてぇなら俺と練習する?」なんて気の利かない返しをしながら頭をぽんぽんするしか出来なかったし、周りからは白い目で見られたしで、流石の俺でもちょっと心が折れかけた。


「…れんしゅうするの?いまから?」

「いや、今ここ肉バルなんで今からは無理ですけどね?」


ひな以外の4人から白い目で見られて、自分的にもその返しは無いわと思ってて、多分ひなもドン引きだろうと覚悟を決めたのに、カシオレ一杯で酔っ払ったひなはもう正常な判断が出来なくなってるらしく、意外と食いついてきて逆に焦る。


「…なんだぁ。じゃあしない。眠くなっちゃうもん」

「あ、そうなのね」


──くそおおおおおお。なんで俺達は今肉バルなんかにいるんだ!なんでここラブホじゃねぇんだちくしょう!


今じゃないならしないってことは、今だったらしたってことだろう、多分。

だから俺は、口では冷静に返しながらも内心、現在地をめちゃくちゃ悔やんで地団駄踏んでいた。

すると眠くなっちゃうという言葉通り本当に睡魔に襲われ始めたらしいひなが、頭をぽんぽんする俺の手にスリスリと擦り寄ってきて、思わずでれっと顔面が崩れたのが自分でも分かった。


「んふふ、なんかりゅうの手って安心する~。好きぃ」

「……なぁ、襲っていい?」

「駄目です」


なおに真顔で返されたけどそんなんどうでもいい。
前言撤回。
今すぐここで潮吹きの練習しよう。
ここ肉バルだけどいいべ、ひなのちんこだって肉みてぇなもんだし、ちょっと肉汁溢れさすだけだから、って言ったら、こたが「最低…」といつもの犬みてぇな人懐っこい目からは考えられないほど冷めた目で見てきた。

だって、しょうがなくね?
こんな可愛いことされて我慢出来る男っていんの?
だとしたらそいつ不能なんじゃね?
いいよもうなんでも、俺は自分の欲望に忠実に生きる。

ずっとくふくふ擽ったそうに笑いながら俺の手に擦り寄ってくるひなに、俺の肉汁も溢れそうだ。

俺も男相手にここまで興奮できるんだって、ひなに出会うまでは思いもしなかったし、ぶっちゃけSTSなんてちょっとうさんくさいと思ってたけど。
今では入って良かったと心の底から思う。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...