【R18】ウブな雛が猛獣と猛禽類と幻獣とえっちな勉強をする話

鷹遠 恵一

理由

自分で言うのもなんやけど、ぶっちゃけ俺はモテる。

中学生ぐらいまではむしろ全然モテへんくて、しかも親が転勤族やったから、同じ学校に長く留まるいうこともなくて、友達もほとんどおらんかった。

それが、高校進学を機に一人上京してきて、身なりにも気を使うようになった途端、むっちゃ言い寄られるようになった。

俺が進学したのは全寮制の男子校やったから、俺に言い寄ってくるのは男の割合の方が圧倒的に高かった。
たまに他校の女子から声掛けられたりもしたけど。
元々俺はあまり異性に興味が無い、所謂ゲイやったから、それは俺にとって好都合で。

それまでモテたことなんて無かったから、天狗んなってしまったんやろな。
敢えて特定の相手と付き合うことなく、とりあえず言い寄ってきた相手を取っかえ引っ変えしとった。

それが風の噂で広まって、一回でいいから抱いてくれ言うやつらが増えて、まぁ俺にも一応好みの顔っちゅうもんはあるから、そこらへんは多少選ばせてもらったけども、それでもお陰様で相手に困る事は無くて。

そんな生活は、高校を卒業して大学に入ってからも続いとった。

本当に一回だけヤッてそれっきりのやつらもおったし、ズルズルと何回か関係を続けたセフレみたいなやつらもおったけど、相変わらず特定の相手と付き合ったりはしなかった。

そんな俺が初めて、こいつとやったら付き合ってみてもええかも…と思うやつと関係を持ったのは、いつやったかな…今から3ヶ月前ぐらいか。
そいつは、背が小っさくて、色白で、目がくりっくりで、女の子みたいな顔しとった。
別に女の子が好きな訳やないけど、可愛い系の顔が好きやねんな、俺。

ちょっと、ひなちゃんに似た感じの子やった。

で、その子とエッチした時に言われたんよ。

『けいくんて、めっちゃ経験豊富って聞いてたから、なんかもう少し…上手いと思ってたんだけど…なんだろ、相性が悪かったのかな？…ごめんね、あんま気持ち良く無かったや。ちょっと残念』

てな。

俺、正直結構自信あったんやけどね。
それまで何十人も関係持ったのにそんなん言われたこと無かったし。
でも、実はそうでもなかったみたいで。

今までのも全部勘違いやったんかなって、皆、気持ち良くなっとるフリしてくれてたんかなって思ったらむっちゃ恥ずかしくなって、それから、チューやエッチができひんくなった。

俺のそんな事情なんて誰も知らんし、知られたくもなかったから誰にも言わんかったしで、それからも相手してくれ言われることは何度もあってんけど、その度に何かと理由をつけて断るようになって。

でも俺、それまでの数年間、ずっと相手が途切れたこととか無かったし、誰とも触れ合えなくなったら段々人肌恋しくなってきて。

しかも、このままやったら俺一生チューもエッチもできひん、そう思ったら居てもたってもいられんくなって、多分みんな見たことあると思うんやけど、ゲイが集まるアプリあるやん？そこでたまたま見かけたこのスクールのこと思い出して、そこに通えばもしかしたらまた自分に自信がついて、前みたいにできるようになるかもしれへん、そう思って、応募した。

ほんで、初日。

どんな感じなんやろなーなんてドキドキしながら来てみたら、まぁーびっくりしたわ。
俺のエッチがきもちくない言うたあの子に雰囲気そっくりな子が座っとったんやから。

まぁ、ひなちゃんのが遥かに可愛いけど。

…でも、ぶっちゃけチャンスやと思った。

そのそっくりさん…まぁ、ひなちゃんのことやねんけど、ひなちゃんに俺の相手になってもらって、ここで学んだテクでひなちゃんのことアンアン言わせることができたら、あの子を気持ち良くさせられた気になって立ち直れるんやないか…それにやっぱり俺、ひなちゃんみたいな顔むっちゃタイプやし。

で、名前書いて、希望通りペアになれて、内心よっしゃー！思っててんけど…なかなかそう上手いこといかんわな。

いざ、ひなちゃんを目の前にして触ったりチューしたりしようとすると、なんとなく似てるいうのもあって、あの日のことがフラッシュバックしてしまって。
また、何か言われるんやないかとか、そんな風に思ったら怖くて思うように触れんくて。

俺、ほんま最低やわ。
ひなちゃんのこと勝手に利用して、勝手に怖気付いて、挙句不安にまでさせて。

…ほんまにごめんな。