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番外編(柊真視点)

馴れ初め 1

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俺には最近、めちゃくちゃ可愛い恋人ができた。

俺より一つ年上のその人は、普段はツンツンしてるのに2人きりになるとすりすりと甘えてきて、ちょっとMっ気があってすごく可愛い。
見た目も、小柄で華奢なのにおしりや太ももだけは服の上からでも分かるぐらいムチムチのぷにっぷにで、透き通るみたいに真っ白な肌に落っこちそうなぐらいでっかい目、ふっくらしたピンク色の唇がそりゃあもう食べちゃいたいぐらい可愛い。


……さっきから可愛いしか言ってないみたいだけど、本当に可愛いんだから仕方ないよね?


将来的に親の会社を継ぐことになる俺が、社会勉強の為に入社した大手企業。
そこで配属された部署で、若くして部長を務めるその人に、俺は一目惚れしてしまった。

なんとか気に入られたくて、歓迎会でそれとなく隣に座り、酔っ払ってふにゃふにゃしてるその人に、思い切って好きな女性のタイプとカッコイイと思う男性のタイプを聞いたんだ。

そうしたら、好きな女性のタイプは分からないって言われたけど、適度に筋肉がついてる男はかっこいいと思うって言われて。

その瞬間、もしかしたらこの人も俺と同じなのかも…?と思った。

俺は男で、相手も男。
所謂、ゲイってやつ。

俺の恋愛対象はずっと同性だけど、好きな女性のタイプは答えられないのに筋肉がついてる男性がかっこいいと思うと言った彼もまた、同性愛者なのかもしれない、と。

もしそうだったら、可能性が一気に広がる。

ぷにぷにムチムチな身体とすべすべ透明肌が好みのタイプど真ん中な俺はどうにかして彼を振り向かせられる男になろうと、翌日からトレーニングを開始した。
彼の話によれば、筋肉つきすぎのマッチョはダメで、ちょっとだけムキムキっとしてるのがいいみたい。

ジムに通ったり食事制限をしたりして、それまでヒョロヒョロと頼りなさそうだった薄っぺらい身体がガッシリとしてくる頃には、最早鍛えることが趣味みたいになっていて、自慢のボディラインを写真に撮ってゲイ専用アプリの掲示板に載せちゃったりして。

そこでは沢山の反応をもらえたのに、俺が好意を寄せるただ1人の相手は全然俺に興味を持ってくれる気配が無い。

だから俺は毎日のように彼にコーヒーを淹れては、それを渡すついでを装って色々と話し掛けてみたけど、そのコーヒーに口をつけてくれることはほとんど無かったし、会話も全然続かなくて、そんな状態が2年ぐらい続いたから、これはもしかしなくても脈ナシかな…と諦めかけていた。

そりゃそうだ、だって彼のぷりぷりのボディラインとは違って俺の筋肉は着痩せしてしまうから、スーツの上からじゃ自慢の肉体美を彼にアピールすることもできないんだから。

…だけどそうやって諦めモードに入っていた時期に、運命的な出会いがあった。

俺だって男だから、溜まるもんは溜まる。
しかもどちらかというと性欲が強い方に分類されるタイプの男だから、毎日理想のムチムチが目の前に居るのに触れられないもどかしさから爆発寸前まで溜まっていた。

だから掲示板で適当な相手を見繕って処理だけさせてもらおうかなんて最低なことを考えたりもしたけど、結局惹かれる相手がいなくて、仕方なく彼のスーツの下の素肌を想像して右手のお供にさせてもらってたんだけど。

ある日とうとう見つけたんだ。

彼並に俺を惹き付ける、ぷにぷにムチムチボディの持ち主を。

その人を見つけたのは例の掲示板にあった、もち肌の持ち主達が自慢のもち肌画像を今日のもちもちと題して投稿しているスレ。
数あるもちもち画像の中から一際光り輝くもちもちを見つけた瞬間、俺の目は釘付けになった。

そこに写っていたのは、ハンバーガーを口に含んでパンパンに膨らんだ、つやつやの真っ白なほっぺた。
しかも口の横にソースがついているというなんとも可愛らしいオプション付き。

全身に稲妻が走ったような衝撃を受けた俺は、即座にその人のハンドルネームでスレッド内検索をかけて、夢中で過去画を漁った。

二の腕、おなか、太もも、おしり…どの写真も透き通るように真っ白でふわふわぷにぷにムチムチしてそうな肌の質感が画面越しでも伝わってきて堪らない。

だけどやっぱり最初に目にしたほっぺたの画像が最高にどストライクで、この人だったら部長のことを忘れさせてくれるかも…と望みをかけて、思い切ってメッセージを送ろうとその人の個人ページに飛んでみると、奇遇にもその人は俺が投稿している筋肉の画像ほぼ全てにいいねを押してくれていたことが分かって、もしかしてこれいけちゃうんじゃないか…?と期待が膨らんだ。

柄にも無く緊張して震えそうになる指でメッセージを入力し送信ボタンをタップして、そんなに時間をおかずに返ってきたメッセージはすごくシンプルだったけど、そんなところも俺が恋焦がれていた彼を彷彿とさせて気持ち悪いぐらいニヤけてしまうのを止められなかった。
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