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彩人の災難
あれから
しおりを挟む最高の夜になるはずが、まさかの最悪の夜になってしまったあの日から。
俺は神崎と、プライベートで会うことは無くなった。
週明けに会社で顔を合わせた時、何か話し掛けて来ようとした彼を俺があからさまに避けて以来、会社でも必要最低限の事務的な会話しか交わしていない。
……あの日。
タクシーで自宅に戻る途中の俺を襲った虚しさは、帰宅してベッドに潜り込む頃には、神崎に対する怒りに変わっていた。
なんなんだよ、あの野郎。
ちょっと挿れてくれるぐらいいいじゃん、減るもんじゃなし。
なぁにが、「そういうのは、本当に好きな人と」だ。童貞かっつーの!
貴様の刀はなまくらかっ?!
上司に恥じかかせやがって。つーか俺誕生日なんですけど?クソがっ!
セフレにすらできない相手にあんなロマンティックなシチュエーションとか用意してんじゃねぇよっ!キザ野郎!
とまぁ、思いつく限りの暴言を脳内で吐き散らかして、悔しくなってちょっと泣いた。
そんな状態だから当然、クリスマスを一緒に過ごすという話も自動的に消滅して、彼に渡す為に用意したネクタイは、自分で付けるのも違うし捨てるのももったいないしでクローゼットの奥深くに眠っている。
神崎と気まずくなってから、俺は今まで以上に仕事に打ち込んだ。
余計なことを考えたくなかったから。
神崎との奇妙な関係が始まってから…厳密に言うとshinさんとのやり取りが始まってから多少丸くなったと陰で囁かれていた鬼の市橋部長も、すっかり元の姿を取り戻してしまった。
以前であれば俺がピリピリしていても、恐れ知らずな神崎がヘラヘラと話し掛けてきていたけど、それが無くなってしまった今、俺に話し掛けてくる奴は誰もいない。
部下達に申し訳ないことをしているなという自覚はある。
職場に私情を持ち込むなんて、最低の上司だ。
だけど、感情をうまくコントロールすることが出来なかった。
なんでこんなにもモヤモヤしているのか、自分でも分からない。
別に失恋したわけじゃあるまいし。
(あんな斬れ味悪い刀のことなんてさっさと忘れて、例のアプリ使ってめちゃくちゃ斬れる刀納めてやるっ。)
そう思って久しぶりに例のアプリを覗いてみたけど、どれだけ自分好みな筋肉の画像を見付けても、shinさんに出会った時みたいなときめきなんて一切無くて、すぐに見るのをやめてしまった。
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