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幼少期編

11.魔力量と魔法適性

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メイルsid

ある日俺の世界は絶望に変わった。

そして今は光に満ち溢れている。

お父様とお母様と和解し、今は充実した日々を過ごしている。

外にも出られる様になった。

でも、この俺の不吉の象徴と言われていた髪の毛を治してくれた人の記憶が曖昧だ。

というより、ここ1ヶ月の記憶丸々曖昧なのだ。

大切な人と過ごした時間だった様な気がする、忘れてはいけない人だった様な気がする

なのに全く思い出せない。

父上や母上に聞いても苦笑いをして教えてはくれない。時がくればその時はとしか言ってくれない。

その時っていつなんだよ

俺はあの日馬車でどこに行って帰ってきたんだ...

『泣き虫だなぁ』

ズキッ

この優しい声はいったい誰なんだ。

忘れてはいけない、忘れられない。

でも思い出せない、頭の中全体に靄がかかったかの様にして思い出せない

この声の持ち主は一体どんな気持ちで俺に言ったのだろう...

でも父上が言っていた、その人は笑っていて欲しいと言っていたと。

ならば笑おう

その人にいつか会えるその日まで。

end




あれから数ヶ月が経ち、俺は6歳になった。

今日は神殿に行く日だ。

魔力量と魔法適性をみる為朝から馬車に揺られてガタンゴトン。

洋服はまたオブシディアンの洋服を着ている。

最近のオブシディアンのブームは奴の小さい頃の服を俺に着せることらしい。

色が黒だから流石に幻覚魔法をかけては貰ってるけど。

今日も今日とても白地に金の刺繍が入った上品な服に左目には眼帯をしている。

一見革の眼帯なのにちゃんと外が見えてるから不思議なもんだよなぁ

「坊っちゃま、着きました、王都の神殿でございます。」

「ああ、セバスもお疲れ様。」

やっと着いたか王都の神殿!

「オブシディアンは神殿に入っても大丈夫なの?何か悪魔の敵っぽいけど...」

「この悪魔公爵に王都の神殿ごときが適うわけなかろう。」

はは、そーですか。

俺はジト目になりながらオブシディアンを見る。

「坊っちゃま、ステータスボードの発行の仕方は覚えておいでですね?」

「ああ、水晶に魔力を込めればいいんだろ?」

「そうでございます。ボードの詳細は基本的に発行されたらすぐに伏せてくださいね」

「ああ、分かった、では行ってくる。オブシディアンはセバスとここで待っててくれ。」

「ふむ、しょうがない、待っててやろう」

「行ってらっしゃいませ」




神殿内に入ると神官が水晶の横に立っていた。

「お名前を」

「イズリル・バードナー」

「では水晶に魔力を」

俺はそっと水晶に魔力を流すと水晶が眩い光に包まれた。

「これ程までに水晶が光るとは...きっと貴方様は類稀な才能があるでしょう、大切になさいませ。」

そう言って透明のボードを俺に渡してきた。

「有難うございます。」

そういうと俺はボードをチラリと確認しすぐに詳細を伏せた。

「どうぞ貴方様に神のご加護があらん事を。」




...うん、分かってた、分かってたけど俺、チートだわ。



イズリル・バードナー

魔力量:♾️

属性:火・風・土・水・光・闇・無・オリジナル魔法・付与魔法

スキル:剣術・ユニーク魔法




いや、魔力♾️ってなによ。
しかも俺剣術とかした事ないのにスキルにあるってことは使えるんだろう。

まあ戦うすべがたくさんあることは良いことだ。うん。

「坊っちゃま、お帰りなさいませいかがでしたか?」

「チートだったわ」

「は、ちーととは?」

「あー!気にしないで気にしないで!まあ悪い結果じゃなかったってことかな、詳しくは家に帰ってからね」

さっさと公爵領へと帰ろう。




「イズ!おかえり、どうだったかい?」

「お父様!ただいま戻りました!まあまあの結果です!」

俺はお父様に抱きつくとそのまま抱き抱えられお父様の執務室まで連れて行かれた。

「イズ、お帰りなさい!」

「お母様!ただいま戻りました!」

そこにはお母様もいた!
さては俺の結果を相当楽しみにしていたな?

ふっふっふー!

見て驚け!これが俺のステータスだ!

「お父様、お母様、セバス、見てください!これが俺のステータスです!」


「「「......!?」」」

「ふむ、人間は面白いものを作るな」

「オブシディアン!」

居たんだ、完璧に気配消してたから分からなかったや。

「イズ、この魔力量の所の記号は何なのだ?」

「これですか?これは無限大と言いまして、まあ簡単にいうと尽きることのない魔力があるということです!凄いでしょう!?魔力使い放題、魔法の研究し放題って訳です!」

「これは...まずいな」

「まずいわね」

「大変なことでございます」

「?どうしたんですか??」

なぜか大人三人が疲れた顔をしている。

喜んでくれると思ったのに。

「いいかい、イズ。これが世間にバレたら軍事利用は確実にされるだろう。」

「えっ!あ、そっか。俺、別に戦争がしたいわけではないです。」

「勿論そんなことはさせないさ、ただな、これからはより慎重に能力を使う事を念頭に入れておきなさい。お父様とお母様と約束しただろう?もう危険な事はしないと」

「勿論です!俺、約束は守る男です!これから俺が目指すのはちゃらんぽらんな公爵家の子息です!」

「ははっ、ちゃらんぽらんか!それはいいな!」

「イズ!もう、あなたまで何を言い出すのよ!」

「いいではないか、俺は息子がちゃらんぽらんだと言う風評被害など気にもしないぞ!」

「全くもう、でも、そうね。イズは今まで優秀すぎたのよ、学生の間くらいちゃらんぽらんでも良いくらいだわ!」

「ですよね!任せてくださいお父様、お母様、見事立派なちゃらんぽらんを演じ切って見せます!」

「その意気でございます、坊っちゃま!」

何故かセバスが感動して泣いていた

「ほう、イズリルお前ちゃらんぽらんになるのか」

「ただのちゃらんぽらんじゃないぞ、ハイスペックなちゃらんぽらんだ!」

「ハイスペックなちゃらんぽらん?」

「普段はちゃらんぽらん、でもいざとなったらハイスペックな一面を見せつけちゃう!カッコよくないか!?」

「ふん、お前がそれでいいならいいのではないか」

「そうだ!オブシディアンは剣術は得意?」

「私に不得意なものなどない」

「じゃあ今度教えてよ!俺もっと強くなりたいんだ!」

「いいだろう、イズリルには剣術スキルもあるし、すぐにでも覚えられるだろう」

「ありがとう、オブシディアン!」

「オブシディアン殿が教えてくれるなら剣術の教師は要らないな。よろしく頼む。」

「ふん、出来るだけ私のイズリルに関わる人間を少なくしたいからな、当然だ。」

やだなかんか怖いこと言ってる。

ほら、お父様もお母様もセバスも顔が引き攣ってるじゃん!やめてよね本当もう疲れる!



何だかんだで今日は一日中移動続きだったので晩御飯を食べて部屋でもう寝ることにした。

「....ねぇ、オブシディアン?」

「なんだ」

「俺の事いつも抱き枕にしてるけどいい加減やめてくれない?」

「何のことだかさっぱりだ」

あー!もう!

いい!知らない!おやすみ馬鹿野郎!

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