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ゲームセンター狂想曲~神隠しの謎を解け~
運命の出会い? ふたりはソウルメイト!
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ということでここからは再び、あたしが話すわね~。
と言ってもさっきほど長くはならないけどねっ。
あぁそうそう、あたしたちの出会いを話す前に、あの話にはまだ続きがあったの。
だからさきにそっちから話していくわね。
あの後、すぐに思い出したのでしょうね。彼に話しかけていたわ。
「あっ! あともう一個だけ言っておきたいことがあるんだけど、言っても良きかね?」
「もう一個でも二個でも、お前の気が済むのなら好きにしたらいい」
もうすっかり丸くなっていたわ。ちなみにもう縄は解いてあるわ。
彼自身がもう銀行を襲う気はないと言ったからね。
彼の目に嘘は感じなかったわ。
真希と従業員やお客さんに聞いたうえで、とりあえず解放することに。
それだけのつもりだったんだけど、真希がもう一つ提案をしたわ。
銀行強盗をするつもりだったことを警察には言わずに、自分たちだけの秘密にしないか、と。
これには驚いたわ。警察を呼んだのに事情を何も言わないと。
ほかの人々も驚いていたけど、特に驚いていたのはあたしと彼だったわ。
いやというわけではなかったわ。ただそんなことを言うとは思わなったから、驚いただけ。
「あら、一体どうしてそうしようと思ったのかしら」
あたしの言葉に頷く彼。どうやら彼も同じことを思っているみたいね。
「別に特に建物に被害があったわけじゃないし、人々に危害が及んだわけじゃないし、本人も反省してるから良いかな~って思って」
なるほど。そういう意味だったのね。確かに何も被害は出ていないし、何より本人は反省している。
そう思うと、別にわざわざ伝える必要はないわね。
「なるほどね。じゃああたしはとりあえず誤解していたって警察に言っておこうかしらね」
「お姉さんには迷惑かけちゃうかもだけどね。ごめんね」
少し申し訳なさそうに真希は笑った。
「良いのよ、気にしないでちょうだいっ」
「……ありがとう、二人とも」
いつの間にか彼は深々と頭を下げていた。
「わぉ、いつの間にか好青年ムーブかましてるぅ! そんなに頭下げなくても大丈夫よ~」
「そうよ、人間誰しも間違うことはあるんだから」
くるっと人々がいる方向に振り向く真希。
「てことで、皆様方、いかがでしょ~かっ」
最初はみんな戸惑っていたけど、自然に表情が明るくなっていく。
「まぁ確かに何も起きなかったものね」
「あの子、反省しているように見えるし別に良いと思う」
各々が自分の思っていることを口にしていく。形は違えど、全て内容は許すといったものだったわ。
「てことで、みんな今回は私たちだけの墓場までのシークレットでおけぃ?」
彼以外は全員頷いたわ。
彼はもう一度みんなに向かって頭を深く下げて、ありがとうと言っていたわ。
そしてすぐそのあとに真希は彼に優しく微笑みながら、こう言ったわ。
「もし、同じようなことが君の目の前で起きたとしたら、今度は君が許してあげてね。そしてそれ以外にも私に恩返しは別にしなくていいから。ほかのだれかを助けたり、優しくしてあげてね。絶対に何か別の形で君に返ってくるから」
もうただのいい女。傍から見たらただのいい女にしか見えなかったわ。
これはほとんどの男が惚れるに違いないわ。あたしが保証する。
自分の意志もきちんとあって、芯もきっと強いであろう真希。
そんな彼女が優しくあのようなことを言えば、それはギャップ萌えになるわ。
しかも言い方も優しくなっている。
彼女は無自覚でそうしていると思うわ。真希、恐ろしい子……!
チラッと彼を見てみると、少しだけ頬が赤くなっているように見えたわ。
真偽はどうなのか今でも分からないけどね。もしかしたら……そうかもしれないわね。
ということで、話を冒頭に戻して。まだ警察は到着していなかったわ。
あの時居たお客さんにはあたしたちが事情を説明するから、と言ってある。
だからもう誰一人として居ないわ。今居るのは何も知らない人達ばかり。
とりあえず警察が来るまで時間つぶしに雑談をしようとしていたところだった。
彼にまだ言いたいことって何かしら、なんて思っていたわ。
もしかして……愛の告白だったりして! なんてちょっとわくわくしていた。
まぁ分かると思うけど、そうじゃなかったのよね、残念。
真希にはなくても、彼は少しそんな気持ちがあるような気がするけどね~。
あら、話が脱線してしまったわね、失礼。
真希が話した内容はどんなものかと言うと。
「結論から言うね。自分がこれ欲しいな~、やりたいな~ってことには是非とも、惜しみなくお金を使ってほしいの!」
と言った内容だったわ。彼は何も質問することなく、素直に頷いた。
「分かった。真希の言う通りにこれからはそれを意識するようにしよう」
なんとなく理由が気になったから、真希に聞いてみることにしたわ。
「真希は何でそう思ったのかしら。単純に理由が知りたいわ」
ってね。
「おっ、まさかの相手からの質問に驚き桃の木山椒の木! てゆーか私、あなたの名前聞いてない!」
そう、ここであたしも名前を名乗ることになったの。
「あら、確かに名乗っていなかったわ。失礼したわね、真希と同じく本名じゃないけど、名乗るわね。あたしの名前はこときゃんよ」
「こときゃん?」
二人の声が重なったわ。まぁ最初はだいたいこんな反応になっちゃっても仕方ないわね。
だって従業員全員に初めて会った時にも、同じような反応されたもの。
「こときゃんって多分、何かの言葉の略称だよね」
「あぁ、そうだと俺も思う」
「うーん、一体何だろうね~」
二人とも真剣に考えていたから、すぐに言うのはやめたわ。
どっちが先に答えにたどり着くかしら、なんて思って楽しんでいたわ。
「あっ、私、分かったかも!」
数十秒ほどしてから、真希がそう言ったわ。
「あら、一体何だと思う?」
「ずばり、琴型のキャンディー!」
予想外の回答だったわ。斜め上の発想のものが来るとは思っていなかったわ。
琴型のキャンディーって、初めて聞いたわ。
「どう? 正解じゃない?」
「自信満々そうだけど、残念ながら違うわ。もっと」
「孤島のキャンディーだ!」
今度は彼が食い気味に。キャンディーは合っているのにねぇ……。
それよりも孤島のキャンディーって、これもまた珍しそうね。
「残念、それも違うわ。正解を言っても良いかしら」
「私は降参~、君はどーなの?」
「俺も真希と一緒だ。全く分からねぇ」
意外に思いつかないものなのかしら、なんて思いつつ答えたわ。
「コットンキャンディ―の略称よ」
何もリアクションがなくただ茫然としている二人。
もしかしてご存じではなかったかしら、なんて思っていると。
「えぇぇぇぇぇっ!」
遅れて驚いていたわ。そんなに驚くほどのものだったのかしらと、今でも思うわ。
各々、その言葉があったか、思いつかなかったなど言っていたわ。
ここからは少し本題に入るまでダイジェストで伝えるわね。
話していて気付いたの。内容がほとんど濃すぎるとは言えど、全部話すのは少し長いわね、と。
ということで、分かりやすく簡潔に伝えるわね。
ちなみに真希が言っていたことの理由について。これはそのまま言っていたことを伝えるわね。
「何でかと言うと、自分の経験になるから! 最終的には買ったり払ったりした分以上の価値をもたらしてくれるから! その経験が絶対に君の助けになったり、輝かせてくれるから」
この言葉にはまだ続きがあるわ。
「特に経験や自己投資には惜しみなく、お金を使って欲しいな。経験は旅行とかダイビングとか。自己投資はジムに通ったりとか、欲しい資格を取ったりとか。理由はさっき言ったのと同じ!」
あたしたちはなるほどねと納得しながら聞いていたわ。
んでここからが本題なんだけどとりあえずその話も終わって、別の話になったの。
彼が気絶してくれた時に縛ってくれた人についてにね。
その人がしてくれた縛り方は本当に凄くて、身動きしても取れそうにはならなかったの。なんならほとんど身動きも出来なかったと。
「何かそういう趣味があったのかしら、あんな人にならあたし、縛られても良いわぁ」
「どんな見た目の人だったの?」
「ガチムチだったわよ」
「ガチムチ?!」
想像以上に食いついていたわ。
「もう少し詳しく聞いてもよろしおす?」
「えーとねぇ、ラグビー部出身の人だったわ。色黒でむっちりしつつも筋肉があって逞しかったわ~」
「それ、最高じゃん! 良いなぁ~。見てみたかったなぁ」
この反応は言うまでもなかったわ。でも一応聞いたわ。
「あなた、ガチムチ大好きなの?」
「イエス! GMPD大好き! マッチョや細マッチョも普通に好きだけどね~。でも一番大好きなのは~GMPD!」
この日、人生で初めて自分と好みが合う人と出会ったわ。だいたいの人がもう少し痩せてる方が~とか、もう少し引き締まっている方が~という人ばかりだったから。
ちなみにGMPDというのはがっちり、むっちり、ぽっちゃり、デブの略称。
ゲイの方々がよく使うわね。あたしもいちいち言うのが面倒だから、よく使わせてもらってるわ。
「実はあたしも大好きなの! 日によって、がっちりだったり、ぽっちゃりだったりが心に来るのが変わるのよね~」
「え、嘘! 実は私もそうなんだよね~。日によって好みが変わるの~」
「あら! そーなのねぇ。あたし最近、ショタや獣人も好きになったのよね~。ここら辺はGMPDじゃなくても、The男の子って感じの性格だったら体型関係なしに惹かれるわ~」
「え、私も! 同じく最近なんだよね~」
それで確信したわ。
「ねぇ、真希……」
「こときゃん……」
「あたし達って……」
お互い手を強く握り合う。
「ソウルメイトね!」
「出会うべくして、出会ったのだわ」
「わが友よ! こときゃん」
「ええ、真希! 今から語り明かすわよ。泊まるところがないなら、あたしの家に来なさい」
「ほんとに?! ありがたや~」
彼は呆然としていたわ。これがあたしと真希の出会いの全てよ。
ちなみにあの後、少しサービスしてカットも髪の毛も染めたわ。
一緒に美味しくチョコもいただいたし、そのあとは朝まで出前を頼んで。
いろいろと語り合ったわ。連絡先も交換したしね。
電話とかLINEでのやり取りはあれからもよくしていたんだけど、会って話すのはこれで二回目。そう、あの日以来ってことになるわね。
これがあたしと真希の出会いの全て。
と言ってもさっきほど長くはならないけどねっ。
あぁそうそう、あたしたちの出会いを話す前に、あの話にはまだ続きがあったの。
だからさきにそっちから話していくわね。
あの後、すぐに思い出したのでしょうね。彼に話しかけていたわ。
「あっ! あともう一個だけ言っておきたいことがあるんだけど、言っても良きかね?」
「もう一個でも二個でも、お前の気が済むのなら好きにしたらいい」
もうすっかり丸くなっていたわ。ちなみにもう縄は解いてあるわ。
彼自身がもう銀行を襲う気はないと言ったからね。
彼の目に嘘は感じなかったわ。
真希と従業員やお客さんに聞いたうえで、とりあえず解放することに。
それだけのつもりだったんだけど、真希がもう一つ提案をしたわ。
銀行強盗をするつもりだったことを警察には言わずに、自分たちだけの秘密にしないか、と。
これには驚いたわ。警察を呼んだのに事情を何も言わないと。
ほかの人々も驚いていたけど、特に驚いていたのはあたしと彼だったわ。
いやというわけではなかったわ。ただそんなことを言うとは思わなったから、驚いただけ。
「あら、一体どうしてそうしようと思ったのかしら」
あたしの言葉に頷く彼。どうやら彼も同じことを思っているみたいね。
「別に特に建物に被害があったわけじゃないし、人々に危害が及んだわけじゃないし、本人も反省してるから良いかな~って思って」
なるほど。そういう意味だったのね。確かに何も被害は出ていないし、何より本人は反省している。
そう思うと、別にわざわざ伝える必要はないわね。
「なるほどね。じゃああたしはとりあえず誤解していたって警察に言っておこうかしらね」
「お姉さんには迷惑かけちゃうかもだけどね。ごめんね」
少し申し訳なさそうに真希は笑った。
「良いのよ、気にしないでちょうだいっ」
「……ありがとう、二人とも」
いつの間にか彼は深々と頭を下げていた。
「わぉ、いつの間にか好青年ムーブかましてるぅ! そんなに頭下げなくても大丈夫よ~」
「そうよ、人間誰しも間違うことはあるんだから」
くるっと人々がいる方向に振り向く真希。
「てことで、皆様方、いかがでしょ~かっ」
最初はみんな戸惑っていたけど、自然に表情が明るくなっていく。
「まぁ確かに何も起きなかったものね」
「あの子、反省しているように見えるし別に良いと思う」
各々が自分の思っていることを口にしていく。形は違えど、全て内容は許すといったものだったわ。
「てことで、みんな今回は私たちだけの墓場までのシークレットでおけぃ?」
彼以外は全員頷いたわ。
彼はもう一度みんなに向かって頭を深く下げて、ありがとうと言っていたわ。
そしてすぐそのあとに真希は彼に優しく微笑みながら、こう言ったわ。
「もし、同じようなことが君の目の前で起きたとしたら、今度は君が許してあげてね。そしてそれ以外にも私に恩返しは別にしなくていいから。ほかのだれかを助けたり、優しくしてあげてね。絶対に何か別の形で君に返ってくるから」
もうただのいい女。傍から見たらただのいい女にしか見えなかったわ。
これはほとんどの男が惚れるに違いないわ。あたしが保証する。
自分の意志もきちんとあって、芯もきっと強いであろう真希。
そんな彼女が優しくあのようなことを言えば、それはギャップ萌えになるわ。
しかも言い方も優しくなっている。
彼女は無自覚でそうしていると思うわ。真希、恐ろしい子……!
チラッと彼を見てみると、少しだけ頬が赤くなっているように見えたわ。
真偽はどうなのか今でも分からないけどね。もしかしたら……そうかもしれないわね。
ということで、話を冒頭に戻して。まだ警察は到着していなかったわ。
あの時居たお客さんにはあたしたちが事情を説明するから、と言ってある。
だからもう誰一人として居ないわ。今居るのは何も知らない人達ばかり。
とりあえず警察が来るまで時間つぶしに雑談をしようとしていたところだった。
彼にまだ言いたいことって何かしら、なんて思っていたわ。
もしかして……愛の告白だったりして! なんてちょっとわくわくしていた。
まぁ分かると思うけど、そうじゃなかったのよね、残念。
真希にはなくても、彼は少しそんな気持ちがあるような気がするけどね~。
あら、話が脱線してしまったわね、失礼。
真希が話した内容はどんなものかと言うと。
「結論から言うね。自分がこれ欲しいな~、やりたいな~ってことには是非とも、惜しみなくお金を使ってほしいの!」
と言った内容だったわ。彼は何も質問することなく、素直に頷いた。
「分かった。真希の言う通りにこれからはそれを意識するようにしよう」
なんとなく理由が気になったから、真希に聞いてみることにしたわ。
「真希は何でそう思ったのかしら。単純に理由が知りたいわ」
ってね。
「おっ、まさかの相手からの質問に驚き桃の木山椒の木! てゆーか私、あなたの名前聞いてない!」
そう、ここであたしも名前を名乗ることになったの。
「あら、確かに名乗っていなかったわ。失礼したわね、真希と同じく本名じゃないけど、名乗るわね。あたしの名前はこときゃんよ」
「こときゃん?」
二人の声が重なったわ。まぁ最初はだいたいこんな反応になっちゃっても仕方ないわね。
だって従業員全員に初めて会った時にも、同じような反応されたもの。
「こときゃんって多分、何かの言葉の略称だよね」
「あぁ、そうだと俺も思う」
「うーん、一体何だろうね~」
二人とも真剣に考えていたから、すぐに言うのはやめたわ。
どっちが先に答えにたどり着くかしら、なんて思って楽しんでいたわ。
「あっ、私、分かったかも!」
数十秒ほどしてから、真希がそう言ったわ。
「あら、一体何だと思う?」
「ずばり、琴型のキャンディー!」
予想外の回答だったわ。斜め上の発想のものが来るとは思っていなかったわ。
琴型のキャンディーって、初めて聞いたわ。
「どう? 正解じゃない?」
「自信満々そうだけど、残念ながら違うわ。もっと」
「孤島のキャンディーだ!」
今度は彼が食い気味に。キャンディーは合っているのにねぇ……。
それよりも孤島のキャンディーって、これもまた珍しそうね。
「残念、それも違うわ。正解を言っても良いかしら」
「私は降参~、君はどーなの?」
「俺も真希と一緒だ。全く分からねぇ」
意外に思いつかないものなのかしら、なんて思いつつ答えたわ。
「コットンキャンディ―の略称よ」
何もリアクションがなくただ茫然としている二人。
もしかしてご存じではなかったかしら、なんて思っていると。
「えぇぇぇぇぇっ!」
遅れて驚いていたわ。そんなに驚くほどのものだったのかしらと、今でも思うわ。
各々、その言葉があったか、思いつかなかったなど言っていたわ。
ここからは少し本題に入るまでダイジェストで伝えるわね。
話していて気付いたの。内容がほとんど濃すぎるとは言えど、全部話すのは少し長いわね、と。
ということで、分かりやすく簡潔に伝えるわね。
ちなみに真希が言っていたことの理由について。これはそのまま言っていたことを伝えるわね。
「何でかと言うと、自分の経験になるから! 最終的には買ったり払ったりした分以上の価値をもたらしてくれるから! その経験が絶対に君の助けになったり、輝かせてくれるから」
この言葉にはまだ続きがあるわ。
「特に経験や自己投資には惜しみなく、お金を使って欲しいな。経験は旅行とかダイビングとか。自己投資はジムに通ったりとか、欲しい資格を取ったりとか。理由はさっき言ったのと同じ!」
あたしたちはなるほどねと納得しながら聞いていたわ。
んでここからが本題なんだけどとりあえずその話も終わって、別の話になったの。
彼が気絶してくれた時に縛ってくれた人についてにね。
その人がしてくれた縛り方は本当に凄くて、身動きしても取れそうにはならなかったの。なんならほとんど身動きも出来なかったと。
「何かそういう趣味があったのかしら、あんな人にならあたし、縛られても良いわぁ」
「どんな見た目の人だったの?」
「ガチムチだったわよ」
「ガチムチ?!」
想像以上に食いついていたわ。
「もう少し詳しく聞いてもよろしおす?」
「えーとねぇ、ラグビー部出身の人だったわ。色黒でむっちりしつつも筋肉があって逞しかったわ~」
「それ、最高じゃん! 良いなぁ~。見てみたかったなぁ」
この反応は言うまでもなかったわ。でも一応聞いたわ。
「あなた、ガチムチ大好きなの?」
「イエス! GMPD大好き! マッチョや細マッチョも普通に好きだけどね~。でも一番大好きなのは~GMPD!」
この日、人生で初めて自分と好みが合う人と出会ったわ。だいたいの人がもう少し痩せてる方が~とか、もう少し引き締まっている方が~という人ばかりだったから。
ちなみにGMPDというのはがっちり、むっちり、ぽっちゃり、デブの略称。
ゲイの方々がよく使うわね。あたしもいちいち言うのが面倒だから、よく使わせてもらってるわ。
「実はあたしも大好きなの! 日によって、がっちりだったり、ぽっちゃりだったりが心に来るのが変わるのよね~」
「え、嘘! 実は私もそうなんだよね~。日によって好みが変わるの~」
「あら! そーなのねぇ。あたし最近、ショタや獣人も好きになったのよね~。ここら辺はGMPDじゃなくても、The男の子って感じの性格だったら体型関係なしに惹かれるわ~」
「え、私も! 同じく最近なんだよね~」
それで確信したわ。
「ねぇ、真希……」
「こときゃん……」
「あたし達って……」
お互い手を強く握り合う。
「ソウルメイトね!」
「出会うべくして、出会ったのだわ」
「わが友よ! こときゃん」
「ええ、真希! 今から語り明かすわよ。泊まるところがないなら、あたしの家に来なさい」
「ほんとに?! ありがたや~」
彼は呆然としていたわ。これがあたしと真希の出会いの全てよ。
ちなみにあの後、少しサービスしてカットも髪の毛も染めたわ。
一緒に美味しくチョコもいただいたし、そのあとは朝まで出前を頼んで。
いろいろと語り合ったわ。連絡先も交換したしね。
電話とかLINEでのやり取りはあれからもよくしていたんだけど、会って話すのはこれで二回目。そう、あの日以来ってことになるわね。
これがあたしと真希の出会いの全て。
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