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EP4 闇に溶ける懺悔5 動き出した世界
カフェ朱鷺にて
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『黒間市で起こった大地震の死傷者数は千人を超える大災害となりました。余震も現状なく、今は落ち着いていますが、皆さんは家からあまり出ずに―――』
翌日のカフェ朱鷺。
朝、権田から連絡があり、記憶処理は大方終わったようだった。
人々の記憶には大地震が起こった、と残り、それを疑う人々はいない。
収まるところに収まったのだ。
それがいいことか、悪いことかは別として。
カフェに俺と夏輝が来たのは昼を過ぎてのことだった。
朝一でノアに会って謝り倒し、秋雨にも連絡して後日連れていくことになった。
また一つ仕事が増えたけど、仕方がない。
っていうか、ノアはこのまま羊飼いになるんだろうか?わからない。
それからノアと別れてカフェまでやってきたわけだ。
カフェにはもういつものようにアレウとロセがいて、他に何故かエヴァンもいた。
それもカフェの制服のエプロンをつけて。
「ここでバイトをすることになった」
「あ、そう……」
俺の心を勝手に読んだかのように、エヴァンは水のグラスを置きながらぶっきらぼうにそういった。
八潮に目を向けると、笑顔で返される。
いつも通りの日常は、少し変わったところもあるらしい。
俺と夏輝は顔を見合わせた。
それからしばらくして、今度は瑞雪とトツカがカフェにやってきた。
「支部の方は平気なのか?」
「大丈夫だろう。朝陽に丸投げしてきた。流石に疲れたんでな……」
俺が聞くと、瑞雪はやれやれと言った様子で荷物を置き、いつものテーブル席についた。
トツカも同じくだ。いつもの面々が揃い、心が嬉しいと訴えてくる。
日常に戻ってこられたんだと何度目かの実感を得る。
自然と上がりそうになる口角を抑え、表情筋を引き締めた。
「それで夏輝」
「え、はい?」
「GW中の課題は終わったのか?テスト勉強も……」
「あっあっあっ」
今日は日曜日で、GWは気づけばもうあと少し。
出かけるっていう約束は結局駄目になっちゃったけど、また今度行けばいい。
時間はいくらでもあるのだし。
でも夏輝は、俺と違って学業がある。こいつは学生なのだ。
瑞雪の指摘に顔をさあっと青ざめさせ、ぱくぱくと吃音を発する。
「だろうと思った。やっている暇がなかったのは間違いないからな。見てやるから持ってこい」
「あううう、ありがとうございます瑞雪さん……!」
瑞雪の表情は少し柔らかくて、夏輝はぺこぺこと頭を下げた。
それから猛ダッシュ。家まで走るつもりだろう。
「地球人は大変だな」
「俺達は学校も仕事もないもんな」
「家事くらいだ」
俺とトツカは他人事。お互いにカフェの手伝いと、家事が仕事である。
やるからにはちゃんとやるけどな。
で、夏輝の背を見送っていたところ、出口付近のテーブル席にいたロセが、夏輝の肩をぽんと叩き引き留めた。
「ロセさん?」
夏輝は何か用事があるのかと思い、足を止めてロセを見る。
ロセは目を細め、口元は弧を描いている。アレウも何故だかやたらとにこにこしていた。
細く長い、白い指が夏輝の首筋を指さす。
「キスマークついてるね♡」
夏輝と俺の顔が同時に真っ赤になったのは言うまでもないだろう。
翌日のカフェ朱鷺。
朝、権田から連絡があり、記憶処理は大方終わったようだった。
人々の記憶には大地震が起こった、と残り、それを疑う人々はいない。
収まるところに収まったのだ。
それがいいことか、悪いことかは別として。
カフェに俺と夏輝が来たのは昼を過ぎてのことだった。
朝一でノアに会って謝り倒し、秋雨にも連絡して後日連れていくことになった。
また一つ仕事が増えたけど、仕方がない。
っていうか、ノアはこのまま羊飼いになるんだろうか?わからない。
それからノアと別れてカフェまでやってきたわけだ。
カフェにはもういつものようにアレウとロセがいて、他に何故かエヴァンもいた。
それもカフェの制服のエプロンをつけて。
「ここでバイトをすることになった」
「あ、そう……」
俺の心を勝手に読んだかのように、エヴァンは水のグラスを置きながらぶっきらぼうにそういった。
八潮に目を向けると、笑顔で返される。
いつも通りの日常は、少し変わったところもあるらしい。
俺と夏輝は顔を見合わせた。
それからしばらくして、今度は瑞雪とトツカがカフェにやってきた。
「支部の方は平気なのか?」
「大丈夫だろう。朝陽に丸投げしてきた。流石に疲れたんでな……」
俺が聞くと、瑞雪はやれやれと言った様子で荷物を置き、いつものテーブル席についた。
トツカも同じくだ。いつもの面々が揃い、心が嬉しいと訴えてくる。
日常に戻ってこられたんだと何度目かの実感を得る。
自然と上がりそうになる口角を抑え、表情筋を引き締めた。
「それで夏輝」
「え、はい?」
「GW中の課題は終わったのか?テスト勉強も……」
「あっあっあっ」
今日は日曜日で、GWは気づけばもうあと少し。
出かけるっていう約束は結局駄目になっちゃったけど、また今度行けばいい。
時間はいくらでもあるのだし。
でも夏輝は、俺と違って学業がある。こいつは学生なのだ。
瑞雪の指摘に顔をさあっと青ざめさせ、ぱくぱくと吃音を発する。
「だろうと思った。やっている暇がなかったのは間違いないからな。見てやるから持ってこい」
「あううう、ありがとうございます瑞雪さん……!」
瑞雪の表情は少し柔らかくて、夏輝はぺこぺこと頭を下げた。
それから猛ダッシュ。家まで走るつもりだろう。
「地球人は大変だな」
「俺達は学校も仕事もないもんな」
「家事くらいだ」
俺とトツカは他人事。お互いにカフェの手伝いと、家事が仕事である。
やるからにはちゃんとやるけどな。
で、夏輝の背を見送っていたところ、出口付近のテーブル席にいたロセが、夏輝の肩をぽんと叩き引き留めた。
「ロセさん?」
夏輝は何か用事があるのかと思い、足を止めてロセを見る。
ロセは目を細め、口元は弧を描いている。アレウも何故だかやたらとにこにこしていた。
細く長い、白い指が夏輝の首筋を指さす。
「キスマークついてるね♡」
夏輝と俺の顔が同時に真っ赤になったのは言うまでもないだろう。
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