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EP4 闇に溶ける懺悔3 手よ届け
絶望の汚泥
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「……シイナ、レイをしっかり見ているような気がするんスけど。気のせいっすかね?」
「気のせいではないと思われる」
ヴェルデの勘違いではない。トツカも同意する。
「レイの魂に引き寄せられてるのかな~」
「そんな事ってあるのか?」
俺の問いに夜一は頷く。
首無し騎士は死が間近に迫るものに宣告を行う種族だ。
故に、この中で一番魂の在り方、仕様に詳しいのだろう。
「魂はね~、生まれ変わっても基本的に種族は変わらない。種族差とか、力の差とかも。勿論、例外もあるけど。中には、強い執念だとか、愛だとかで性質を変容させる魂もあるんだよね。ほら、よく言うでしょ?生まれ変わっても一緒だとか、迎えに行くだとか。魂同志が繋がり合う条件は未だにふわふわしてるけど~。繋がりが強ければ惹かれ合うのかもね」
何度聞いても俺にとっては嫌な話だ。
生まれ変わろうと、底辺である弱小種族からは逃れられないなんてさ。
エデン人が生まれ持った資質のみで戦い、努力や工夫を怠るのは天井が高すぎるからだ。
だから、ヴェルデやレイの気持ちは俺にはよくわかるのだ。
「レイとシイナは仲がよかったんでしょ?」
「……そりゃ、まあ。でも、出会ったのは最近だ」
「期間の長さは関係ないよ。どちらかというと、どれだけお互いに影響を受けたかが大きいんじゃないかな」
はっきりと言い切る夜一。
何歳かは知らないが、それなりに長く生きて首無し騎士としての職務をまっとうしてきたのかもしれない。
それが何故今地球にいるかなんて定かじゃないけどさ。
「で、レイを狙ってきてるってことは、この車が多分もうすぐばらばらになるってことなんだけど~」
夜一の言葉にその場にいた全員の動きが一瞬固まる。
「各自、ここからは全力で頑張ってね?」
「っがぁ!?」
言葉とほぼ同時に、車体がさらに強く軋む。
そして、前方の狐から魂を震わせるような悍ましい咆哮が響き渡った。
文字通り、魂が凍えるような……それでいて酷く悲しい。
別に悲しくも苦しくも今はないはずなのに、強制的に負の感情を引き出され、暴発させられている。そんな感覚がする。
胃の中身がせりあがり、食道を逆流していく。
寸前のところで堪え、何とか飲み込む。
その場にいた全員の顔が真っ青になっていた。
約一名―トツカを除いて。これは恐らく、トツカが人造猟犬であることに起因しているんだろう。
疑似魂だから、あの泥の対象外なのかもしれない。
「瑞雪、大丈夫か?」
逆に、一番酷いのは意外にも瑞雪だった。
顔は真っ青どころか色がないし、唇は土気色だ。
明らかに尋常ではない様子に、トツカが声をかける。
「……っ、あ、ああ、大丈夫だ」
かろうじて返答するものの、その声は掠れてごくごく小さいものだった。
普段の瑞雪の凛とした声音しか知らないヴェルデや夜一は想像も出来ないだろう。
答えた後も、口元を抑え小さく震えたまま。
しかし、そんな瑞雪を気遣っている余裕は俺達にはない。
「っば……車体、掴まれた~」
刹那、車体が泥の波にのまれつつ、持ち上げられる。
先程まで瑞雪が泥を凍てつかせていたため何とかなっていた泥が、狐の身体から無数の腕となって車体に群がってきたのだ。
「わる、い……」
謝罪の言葉を口にする瑞雪はやっぱり様子が変だった。
いや、皆それぞれ不調をきたしている。
そのままガクンっと倒れ込み、トツカが支える。
瑞雪の魔法が途絶えたことで、場の均衡が一気に崩れる。
『ヒィン!ヒヒヒィン!』
霊馬が嘶き、夜一は何とか運転を続けようとするものの、とうとう車体が轟音と共に泥の手に引き裂かれ、破壊されてしまった。
「気のせいではないと思われる」
ヴェルデの勘違いではない。トツカも同意する。
「レイの魂に引き寄せられてるのかな~」
「そんな事ってあるのか?」
俺の問いに夜一は頷く。
首無し騎士は死が間近に迫るものに宣告を行う種族だ。
故に、この中で一番魂の在り方、仕様に詳しいのだろう。
「魂はね~、生まれ変わっても基本的に種族は変わらない。種族差とか、力の差とかも。勿論、例外もあるけど。中には、強い執念だとか、愛だとかで性質を変容させる魂もあるんだよね。ほら、よく言うでしょ?生まれ変わっても一緒だとか、迎えに行くだとか。魂同志が繋がり合う条件は未だにふわふわしてるけど~。繋がりが強ければ惹かれ合うのかもね」
何度聞いても俺にとっては嫌な話だ。
生まれ変わろうと、底辺である弱小種族からは逃れられないなんてさ。
エデン人が生まれ持った資質のみで戦い、努力や工夫を怠るのは天井が高すぎるからだ。
だから、ヴェルデやレイの気持ちは俺にはよくわかるのだ。
「レイとシイナは仲がよかったんでしょ?」
「……そりゃ、まあ。でも、出会ったのは最近だ」
「期間の長さは関係ないよ。どちらかというと、どれだけお互いに影響を受けたかが大きいんじゃないかな」
はっきりと言い切る夜一。
何歳かは知らないが、それなりに長く生きて首無し騎士としての職務をまっとうしてきたのかもしれない。
それが何故今地球にいるかなんて定かじゃないけどさ。
「で、レイを狙ってきてるってことは、この車が多分もうすぐばらばらになるってことなんだけど~」
夜一の言葉にその場にいた全員の動きが一瞬固まる。
「各自、ここからは全力で頑張ってね?」
「っがぁ!?」
言葉とほぼ同時に、車体がさらに強く軋む。
そして、前方の狐から魂を震わせるような悍ましい咆哮が響き渡った。
文字通り、魂が凍えるような……それでいて酷く悲しい。
別に悲しくも苦しくも今はないはずなのに、強制的に負の感情を引き出され、暴発させられている。そんな感覚がする。
胃の中身がせりあがり、食道を逆流していく。
寸前のところで堪え、何とか飲み込む。
その場にいた全員の顔が真っ青になっていた。
約一名―トツカを除いて。これは恐らく、トツカが人造猟犬であることに起因しているんだろう。
疑似魂だから、あの泥の対象外なのかもしれない。
「瑞雪、大丈夫か?」
逆に、一番酷いのは意外にも瑞雪だった。
顔は真っ青どころか色がないし、唇は土気色だ。
明らかに尋常ではない様子に、トツカが声をかける。
「……っ、あ、ああ、大丈夫だ」
かろうじて返答するものの、その声は掠れてごくごく小さいものだった。
普段の瑞雪の凛とした声音しか知らないヴェルデや夜一は想像も出来ないだろう。
答えた後も、口元を抑え小さく震えたまま。
しかし、そんな瑞雪を気遣っている余裕は俺達にはない。
「っば……車体、掴まれた~」
刹那、車体が泥の波にのまれつつ、持ち上げられる。
先程まで瑞雪が泥を凍てつかせていたため何とかなっていた泥が、狐の身体から無数の腕となって車体に群がってきたのだ。
「わる、い……」
謝罪の言葉を口にする瑞雪はやっぱり様子が変だった。
いや、皆それぞれ不調をきたしている。
そのままガクンっと倒れ込み、トツカが支える。
瑞雪の魔法が途絶えたことで、場の均衡が一気に崩れる。
『ヒィン!ヒヒヒィン!』
霊馬が嘶き、夜一は何とか運転を続けようとするものの、とうとう車体が轟音と共に泥の手に引き裂かれ、破壊されてしまった。
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