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EP3 復讐の黄金比7 決死隊
向き不向き
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「地球人相手の方が、小賢しいことが多いな……っ!」
咄嗟に瑞雪は紡いでいた魔法をすべて解放。
轟音と共に巨大な落雷が地を穿ち、雷の槍が四方八方に飛び跳ね焦がす。
銃弾が曲射されるなんてことはなく、愚直に真っすぐ飛んでくるがゆえに全て雷によって消失する。
「ヒュー。火力だけは一丁前だな。やろうと思えば俺ごとビルやらなにやら全部消し飛ばせそうだが」
「そんなことをして何になる。一般人を巻き込むことになるだろう。お前だって、自分以外全部重力の範囲に巻き込めば終わる話だ」
紡いでいた魔法全てを放出し、瑞雪は冬真の逃げた方とは反対側の建物の影へと走り込む。
勿論対処しなければならなかった羊飼いの中には銃を持ち込み魔法と共にぶっ放してくる輩もいる。事実、瑞雪も何度か國雪によって命じられ対処をしなければならなかった時だってあった。
(……大体が刺し違える一歩手前で死にかけだったが)
K県支部に来てからは、思えば随分と優しい仕事ばかりが回された。祖父の命じる仕事は、ほぼ全てが死にかけなければ達成できないようなものだったから。
「あっはは!そりゃあ俺だって好き好んで巻き込まねえさ。それしか生きる道がないならまた別だがね。俺は別に夜一と違って戦うのが好きってわけじゃないし。それよりかは仕事なんてしないでのんびり酒でも飲んで、腹が減ったら好きなもん作って食べていたいよ」
「大体の羊飼いがっ……そうだろう!……大体は嘘だな。まあ基本的にはだ、っぐ」
今度はアサルトライフルではなく、ロケット弾が撃ち込まれる。
プラズマの魔法はやはり不安定で、対人戦で使うものではないと瑞雪は考える。雷魔法で何とか撃ち落とす。
轟音と共に衝撃波が生まれ、周囲の建物の窓ガラスが吹き飛び、飛び散った破片が瑞雪の頬や手の甲を切り裂いていく。
(……ここまでポンポン銃やら何やらを出してくるのはおかしい。十中八九魔法だが……どこかに空間をつなげてそこから取り出している?確認しようにも確認に行ったらハチの巣だな)
こちらは攻めなければ勝てない。僅かな情報では、金のために動いていると言っていた。
そんなこの男が弾薬代がバカスカかかるような戦術をわざわざとるわけはない……と、思いたい。
(そういえば、夏輝の遭遇した夜一も銃を使っていたんだっけか。……まさか、創ってる?)
アレウから攻撃を壁を創って咄嗟に防いだという報告があった。だとしたら、重力魔法のほかに土魔法である可能性が高い。
その土魔法で銃などを創ることは可能なのか?わからない。
(どちらにせよ、これ以上つきあわされてたまるか。詠唱して創造するまでのタイムラグがいくらかあるはず……なら、ぶち込むだけだ)
必要があれば殺す。その言葉の重みは恐らく、聞いている限り……瑞雪と冬真で異なる。
それすなわち、この周囲の建物はともかくとして中に倒れている何の罪もない人々が人質と言っても過言ではないということだ。
重力に捉えられないよう場所を目まぐるしく変えつつ魔法を詠唱し続ける。これだけ距離を取れば氷魔法も混ぜて問題ない。いざという時の防御手段として常に氷の盾は発動できるようにしておくべきだった。
(器用なことが出来ればよかったんだがな)
しかし、人には向き不向きというものがある。瑞雪は結局攻撃魔法をぶっぱなすのが一番強く適している。
才能というものは、人の心に則しているとは限らないのだ。
理性がなければヒトたりえないが、理性が人を縛り弱くする。けれど、それは決して手放してはならないものだと、瑞雪は強く自分を戒める。
武器を換装し、電霊を手にしてからはなおさらだ。瑞雪の攻撃は本気で詠唱し撃ち、まともに受ければたとえ上位種族だろうと恐らく跡形も残さない。
周囲一帯プラズマで消滅させれば目の前の男がいかな物を創造しようと死ぬのだ。
制御が出来ないから使えない。否、制御をしきる自信がない。
それもあり、デリケートな病院内よりも外での戦いを選んだのだ。
「人と建物がよほど邪魔らしいな。駄目だろ、そんなバ火力の魔法で制御が下手糞じゃ。もしくは周辺被害を顧みないタイプならもっと楽だったかもな」
ケタケタと冬真が耳障りな声で笑う。全くその通りで、ぐうの音も出ない。
結局安全圏からの打ち合いなんてシミュレーター内でもなければ不利でしかない。なら。
「結局この手に限る、か」
小さく呟く。冬真の耳には届かないほどの呟きだ。結局自分はどこまでも単独戦闘を行うには適さない。
(トツカには悪いが)
「瞬き 引き寄せよ(ブリーク トライルミ)」
魔法を複数並列詠唱しつつ、瑞雪は建物の影から踊り出る。
当然待ち構えていた冬真が銃口を瑞雪へと向ける。しかし。
「ッ……」
「落ちてるぅ~」
上空から気の抜けた声。
瑞雪が詠唱した魔法はトツカを手元に引き寄せる魔法。トツカだけを引き寄せるはずが、なぜか上から大型バイクと夜一が落ちてくる。
「は!?」
「最悪じゃんお前何してるんだよッッッ!?」
今まで聞いた中で一番の大声で心の底から冬真が叫ぶ。
トツカと夜一だけではない。コンクリートの瓦礫やらガードレールやらも上空から落ちてくる。このままでは瓦礫に押しつぶされて死ぬ。
二人は全力で走り、瓦礫の振ってくる範囲から逃れる。
咄嗟に瑞雪は紡いでいた魔法をすべて解放。
轟音と共に巨大な落雷が地を穿ち、雷の槍が四方八方に飛び跳ね焦がす。
銃弾が曲射されるなんてことはなく、愚直に真っすぐ飛んでくるがゆえに全て雷によって消失する。
「ヒュー。火力だけは一丁前だな。やろうと思えば俺ごとビルやらなにやら全部消し飛ばせそうだが」
「そんなことをして何になる。一般人を巻き込むことになるだろう。お前だって、自分以外全部重力の範囲に巻き込めば終わる話だ」
紡いでいた魔法全てを放出し、瑞雪は冬真の逃げた方とは反対側の建物の影へと走り込む。
勿論対処しなければならなかった羊飼いの中には銃を持ち込み魔法と共にぶっ放してくる輩もいる。事実、瑞雪も何度か國雪によって命じられ対処をしなければならなかった時だってあった。
(……大体が刺し違える一歩手前で死にかけだったが)
K県支部に来てからは、思えば随分と優しい仕事ばかりが回された。祖父の命じる仕事は、ほぼ全てが死にかけなければ達成できないようなものだったから。
「あっはは!そりゃあ俺だって好き好んで巻き込まねえさ。それしか生きる道がないならまた別だがね。俺は別に夜一と違って戦うのが好きってわけじゃないし。それよりかは仕事なんてしないでのんびり酒でも飲んで、腹が減ったら好きなもん作って食べていたいよ」
「大体の羊飼いがっ……そうだろう!……大体は嘘だな。まあ基本的にはだ、っぐ」
今度はアサルトライフルではなく、ロケット弾が撃ち込まれる。
プラズマの魔法はやはり不安定で、対人戦で使うものではないと瑞雪は考える。雷魔法で何とか撃ち落とす。
轟音と共に衝撃波が生まれ、周囲の建物の窓ガラスが吹き飛び、飛び散った破片が瑞雪の頬や手の甲を切り裂いていく。
(……ここまでポンポン銃やら何やらを出してくるのはおかしい。十中八九魔法だが……どこかに空間をつなげてそこから取り出している?確認しようにも確認に行ったらハチの巣だな)
こちらは攻めなければ勝てない。僅かな情報では、金のために動いていると言っていた。
そんなこの男が弾薬代がバカスカかかるような戦術をわざわざとるわけはない……と、思いたい。
(そういえば、夏輝の遭遇した夜一も銃を使っていたんだっけか。……まさか、創ってる?)
アレウから攻撃を壁を創って咄嗟に防いだという報告があった。だとしたら、重力魔法のほかに土魔法である可能性が高い。
その土魔法で銃などを創ることは可能なのか?わからない。
(どちらにせよ、これ以上つきあわされてたまるか。詠唱して創造するまでのタイムラグがいくらかあるはず……なら、ぶち込むだけだ)
必要があれば殺す。その言葉の重みは恐らく、聞いている限り……瑞雪と冬真で異なる。
それすなわち、この周囲の建物はともかくとして中に倒れている何の罪もない人々が人質と言っても過言ではないということだ。
重力に捉えられないよう場所を目まぐるしく変えつつ魔法を詠唱し続ける。これだけ距離を取れば氷魔法も混ぜて問題ない。いざという時の防御手段として常に氷の盾は発動できるようにしておくべきだった。
(器用なことが出来ればよかったんだがな)
しかし、人には向き不向きというものがある。瑞雪は結局攻撃魔法をぶっぱなすのが一番強く適している。
才能というものは、人の心に則しているとは限らないのだ。
理性がなければヒトたりえないが、理性が人を縛り弱くする。けれど、それは決して手放してはならないものだと、瑞雪は強く自分を戒める。
武器を換装し、電霊を手にしてからはなおさらだ。瑞雪の攻撃は本気で詠唱し撃ち、まともに受ければたとえ上位種族だろうと恐らく跡形も残さない。
周囲一帯プラズマで消滅させれば目の前の男がいかな物を創造しようと死ぬのだ。
制御が出来ないから使えない。否、制御をしきる自信がない。
それもあり、デリケートな病院内よりも外での戦いを選んだのだ。
「人と建物がよほど邪魔らしいな。駄目だろ、そんなバ火力の魔法で制御が下手糞じゃ。もしくは周辺被害を顧みないタイプならもっと楽だったかもな」
ケタケタと冬真が耳障りな声で笑う。全くその通りで、ぐうの音も出ない。
結局安全圏からの打ち合いなんてシミュレーター内でもなければ不利でしかない。なら。
「結局この手に限る、か」
小さく呟く。冬真の耳には届かないほどの呟きだ。結局自分はどこまでも単独戦闘を行うには適さない。
(トツカには悪いが)
「瞬き 引き寄せよ(ブリーク トライルミ)」
魔法を複数並列詠唱しつつ、瑞雪は建物の影から踊り出る。
当然待ち構えていた冬真が銃口を瑞雪へと向ける。しかし。
「ッ……」
「落ちてるぅ~」
上空から気の抜けた声。
瑞雪が詠唱した魔法はトツカを手元に引き寄せる魔法。トツカだけを引き寄せるはずが、なぜか上から大型バイクと夜一が落ちてくる。
「は!?」
「最悪じゃんお前何してるんだよッッッ!?」
今まで聞いた中で一番の大声で心の底から冬真が叫ぶ。
トツカと夜一だけではない。コンクリートの瓦礫やらガードレールやらも上空から落ちてくる。このままでは瓦礫に押しつぶされて死ぬ。
二人は全力で走り、瓦礫の振ってくる範囲から逃れる。
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