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EP3 復讐の黄金比4 秘されたモノ
『おじさん』
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「は?」
レイが人探しをしていることは知っていた。
いや、それすらも俺を欺くための嘘だった可能性はあったけど。
「ええと、誰……かな?」
ロセが困惑した声をあげる。
その声は嘘などではなく、本気でわからないと言った様子だった。
「……ウィオラの息子だよ!グレイアだ!」
「姉さんの……?ああ、確かによく見ると姉さんの面影があるかも。目元、鼻筋……」
俺は思えば当然だけど、ロセの事を何も知らない。
シイナはじぃっとレイの傍らに待機している。
これだけエデン人が集まる機会もそうそうない。
幸いにも、路地裏ではなく開けた場所を選んでいたため逃げ道の確保は容易い。
「叔父さん!ずっと探してたんだっ!助けに来たんだっ!」
レイがロセに走り寄る。
その顔は普段のスカした生意気な小僧の顔ではない。
必死で、そして人探しの相手を見つけたという高揚感に満ちた表情。
今まで見たことのないレイの顔だった。
「エデンから地球に拉致されたんだろっ!?今までなにしてたんだ?酷いことされなかったか!?俺も母さんもずっと叔父さんの事心配して……!」
矢継ぎ早にレイが言葉を口にし、ロセに縋るように掴みかかる。
この辺りでエヴァンとヴェルデが到着するも、そのただならぬ雰囲気に手出しできずに居た。
「エデンに帰ろう叔父さん、もう大丈夫だから……っ!」
「わざわざ来てくれたんだね、ありがとう」
必死なレイに対し、ロセは驚いた顔をしてから、どこか悲し気で懐かしむような、優しい笑みを浮かべる。
その顔にレイは安堵の表情を浮かべた。
(えっえっ!?どうするんだ?は?ダメだ、頭が追いつかない)
俺はと言えば、全く予想していなかった事態に混乱しきっていた。
だって、ロセがレイの探しているロセウスだなんて思わなかった。
確かに、今思えばレイもロセも淫魔で、エデン人には真名がある。
何故それに気づかなかったと言えば、ロセが全く『叔父さん』ってキャラじゃなかったからだ!
「でも……ごめんね。僕はもう、一人で生きていけるから」
肯定的なのかと思えば、そうではなく。
ロセは縋りつこうとするレイの手を取り、優しくそっと引きはがした。
優し気ではあるが、言葉の内容は拒絶だ。
「母さん、弱ってるんだっ!叔父さんに会いたい、会いたいって……だから、一緒に来てくれよ……っ!」
事情は分からない。レイは別に嘘をついているわけでもないだろう。
必死なレイに対し、ロセは困った顔をする。
「ごめんね。僕はもうあんな場所に帰りたくないんだ」
レイの表情が見る見るうちに曇り、そしてもともと釣り目だった目が吊り上がる。
「あんな場所!?あんな場所って、それなら何で母さんをあそこに置いていったんだっ!あそこに残されたせいで、母さんは狂っちまったんだぞ!あんたは自分で地球に来て、ここでのうのうと暮らしてたってことか!?」
「あそこにいると狂ってしまうってわかってたから出たんだ!…姉さんには悪い事をしたとは思ってるよ。」
「母さんの事はどうでもいいって言うのか!?」
レイが吠える。
目は血走り、憎悪に燃えていた。
俺も、シイナも、そしてエヴァンも。
その様子を固唾をのんで見守っていた。
ただ一人を除いて。
「もう……何ごちゃごちゃ言ってるんス、かっ!」
若く、そしてこの場の中の誰よりも事情が分からないヴェルデが痺れを切らし叫ぶ。
イオではなくマナが爆発し、コンクリートの地面を割って太く長い蔓が伸びて俺とロセ、そしてレイに襲い掛かった!
レイが人探しをしていることは知っていた。
いや、それすらも俺を欺くための嘘だった可能性はあったけど。
「ええと、誰……かな?」
ロセが困惑した声をあげる。
その声は嘘などではなく、本気でわからないと言った様子だった。
「……ウィオラの息子だよ!グレイアだ!」
「姉さんの……?ああ、確かによく見ると姉さんの面影があるかも。目元、鼻筋……」
俺は思えば当然だけど、ロセの事を何も知らない。
シイナはじぃっとレイの傍らに待機している。
これだけエデン人が集まる機会もそうそうない。
幸いにも、路地裏ではなく開けた場所を選んでいたため逃げ道の確保は容易い。
「叔父さん!ずっと探してたんだっ!助けに来たんだっ!」
レイがロセに走り寄る。
その顔は普段のスカした生意気な小僧の顔ではない。
必死で、そして人探しの相手を見つけたという高揚感に満ちた表情。
今まで見たことのないレイの顔だった。
「エデンから地球に拉致されたんだろっ!?今までなにしてたんだ?酷いことされなかったか!?俺も母さんもずっと叔父さんの事心配して……!」
矢継ぎ早にレイが言葉を口にし、ロセに縋るように掴みかかる。
この辺りでエヴァンとヴェルデが到着するも、そのただならぬ雰囲気に手出しできずに居た。
「エデンに帰ろう叔父さん、もう大丈夫だから……っ!」
「わざわざ来てくれたんだね、ありがとう」
必死なレイに対し、ロセは驚いた顔をしてから、どこか悲し気で懐かしむような、優しい笑みを浮かべる。
その顔にレイは安堵の表情を浮かべた。
(えっえっ!?どうするんだ?は?ダメだ、頭が追いつかない)
俺はと言えば、全く予想していなかった事態に混乱しきっていた。
だって、ロセがレイの探しているロセウスだなんて思わなかった。
確かに、今思えばレイもロセも淫魔で、エデン人には真名がある。
何故それに気づかなかったと言えば、ロセが全く『叔父さん』ってキャラじゃなかったからだ!
「でも……ごめんね。僕はもう、一人で生きていけるから」
肯定的なのかと思えば、そうではなく。
ロセは縋りつこうとするレイの手を取り、優しくそっと引きはがした。
優し気ではあるが、言葉の内容は拒絶だ。
「母さん、弱ってるんだっ!叔父さんに会いたい、会いたいって……だから、一緒に来てくれよ……っ!」
事情は分からない。レイは別に嘘をついているわけでもないだろう。
必死なレイに対し、ロセは困った顔をする。
「ごめんね。僕はもうあんな場所に帰りたくないんだ」
レイの表情が見る見るうちに曇り、そしてもともと釣り目だった目が吊り上がる。
「あんな場所!?あんな場所って、それなら何で母さんをあそこに置いていったんだっ!あそこに残されたせいで、母さんは狂っちまったんだぞ!あんたは自分で地球に来て、ここでのうのうと暮らしてたってことか!?」
「あそこにいると狂ってしまうってわかってたから出たんだ!…姉さんには悪い事をしたとは思ってるよ。」
「母さんの事はどうでもいいって言うのか!?」
レイが吠える。
目は血走り、憎悪に燃えていた。
俺も、シイナも、そしてエヴァンも。
その様子を固唾をのんで見守っていた。
ただ一人を除いて。
「もう……何ごちゃごちゃ言ってるんス、かっ!」
若く、そしてこの場の中の誰よりも事情が分からないヴェルデが痺れを切らし叫ぶ。
イオではなくマナが爆発し、コンクリートの地面を割って太く長い蔓が伸びて俺とロセ、そしてレイに襲い掛かった!
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