青い月にサヨナラは言わない

Cerezo

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EP3 復讐の黄金比3 すれ違いと思春期

保健体育の授業ではない

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「あー、えー……これはここがスイッチで、押すと震える」

 あまりにもやる気のない説明だった。
 
「震えるだけ?」

「そうだが」

 ああ、ロセやアレウに変なことを吹き込まれる前で本当によかった。
 瑞雪は心の底からそう感じた。
 トツカは振動とセックスがまだ結びつかないのだろう。
 それでいい。それでいいのだと瑞雪は心の中で何度も頷いた。

「具体的な使用例が欲しい」

「しよう、れい……?」

「そうだ。どのように使うか自分で使ってみて欲しい」

 一切トツカにそういう意図がないのはわかっているが、羞恥プレイを提案してくることに瑞雪は軽く眩暈を覚えた。
 差し出されるローター。
 瑞雪は手に取るのを当然躊躇する。
 しかし、そんな迷いなどトツカは理解せず手を掴み、わざわざ掌にローターを乗っけてきた。

「ぁー……」

 ここで瑞雪は考えた。
 疲れて錆びついた脳みそをフル回転させた。
 導きだされた結論は。

「?何をしている?瑞雪」

「何ってお前の身体で実践して見せようとしてるんだろうが。使用例が欲しいんだろ?」

 で、何も感じなければ興味を失うだろう。
 瑞雪はそうタカを括っていた。
 アレウやロセがこの光景を見ていたら間違いなく往生際が悪い、と評していた。
 忘れてはならない。
 ここまで瑞雪は反抗心や反逆心などなどで耐えて生きてきた。
 要するにあきらめが悪いという事。
 
(うーん……虚無だな)

 ひとまず試しにトツカの豆粒のような乳首にぴとりとローターをつける。
 生まれたてなこともあり、色事態はどこも綺麗なものだ。
 ちんこは大きすぎるせいでそれでもグロいが。
 まあ要するに、案外綺麗な乳首なのである。
 しかし、それは瑞雪にとって死ぬほどどうでもいい事だった。

(スイッチを入れて、と)

 ぶぶぶぶぶ、と小さな駆動音と共にローターが動き始める。
 トツカの顔を見る。
 一切微動だにしていない。
 
「ふむ、なるほど。そうやって振動させたい箇所に押し当てて使うのだな」

 乳首にローターを当てたことに関してトツカは一切気にしていなかった。 
 
「まあ、うん、そうだな」

 煮え切らない返答。瑞雪はローターを適当にベッドに放る。
 柔らかなシーツの海はバウンドさせることなくもっちりとローターを受け止めた。
 しかし、すぐにトツカが今度はローターを回収する。

「っなに」

「瑞雪の身体で試してみる」

 腕を掴み、ベッドへ押し倒される。
 着ていた寝間着の隙間に手を入れ、はだけさせてくる。
 
(やっぱりこうなるのかよっ……!)

 このまま玩具の事なんて忘れて、あるいは興味を失ってくれればよかったがどうにもそうはいかないらしい。

「瑞雪の乳首は俺の物よりも大きいな。個体差があるものなのか」

「っ……うる、せえ!じろじろ見るんじゃねえよ!」

 思わず手が出るが、トツカは難なく受け止めシーツへと縫い留める。
 別に大きくしたくて大きくなったわけではない。
 しかし、それを言い返しても何故大きくなったのか、を説明しなければならなくなりそうだったので黙ることにした。

「っぁ、ぅぅ……」

 最も、すぐにそんな文句は言えなくなる。
 トツカがローターを瑞雪の左乳首に押し付けたからだ。
 既に二人の手で温められていたローターは冷たくはなかったものの、それでも鳥肌が立つ。

「っひ、ぃ”!?」

 ヴィィイイィイン。
 再び駆動音と共にローターが震えだす。
 振動は瑞雪の乳首や乳輪に刺激を与え、じんわりと響くような快感を生み出していく。

「おお……反応がある。瑞雪は乳首をいじると反応する。性感帯なのだな」

「っぁ、ぐ……いち、いち、言うなっ……んひっ、ぁ、ぅんん”っ……」
 
 乳輪をなぞるようにローターを動かすと、そのたびに瑞雪の口から切なげな鳴き声がひっきりなしに漏れる。
 トツカはそんな瑞雪の反応を見て嬉しそうな顔をしている。
 また一つ悪いことを覚えた、そんな顔だ。

「何故?気持ちいいところをたくさん覚えたほうが、お前もたくさん気持ちよくなれる。いいことだろう?」

「くそ、ったれ……め、ぁう、んぶ、っくぁ”、あ”……っ」

「瑞雪が素直になれないことは知っている。気持ちいいんだろう、目がトロンと蕩けているし、ペニスもしっかり勃起している。ぶるぶる震えていてもっと欲しいという顔をしている」

 手を抑える必要がないと判断したのか、トツカが瑞雪の手を解放する。
 しかし、動かす余力はなくくたりと柔らかなシーツの海に沈んだまま動かない。
 そんな瑞雪の目元に滲んだ生理的な涙をトツカは舐めとる。

「んぁ、ぁう”……ぅ”!」

 びくっびくんっ。
 熱い舌が皮膚に触れ、ぎゅっと目を閉じる。
 その間も無慈悲にローターは瑞雪の左胸を弄び続ける。
 
(気持ち、いいが……っ、左、だけだと……)

 一切触れられていない右胸が疼いて仕方がない。
 全く触れられなければ気にならないのに、弄られてしまえばもうダメだった。
 乳首も、アナルも吹雪達によって開発されたもので、それが恥ずかしくて惨めで知られたくない事なのだ。

(……言えない、言いたくねえ)

 唇を噛み締め、声を抑える。
 それでも身体が勝手にぶるぶる震え、ちんこの先からはとろりと先走りが滲む。
 
「っは、はぁ”……ぅ、んぉ”、ぐ……ん、んっ……」

「ふむ……」

 瑞雪がいくら我慢していても、身体は小刻みに震え全身薄っすらと紅潮した身体を見れば鈍感なトツカにだってわかる。
 気持ちよくてたまらないと、全身で訴えている。
 そんな瑞雪を見下ろし、トツカは舌なめずりをする。
 湧き上がる衝動が支配欲や独占欲と言ったヒトらしい心であることをトツカは理解していない。
 
「瑞雪、綺麗だ」

 しかし、瑞雪がもう片方の胸をいじってほしいということは、未だ伝わっていなかった。

「こっちはどう使うんだ?」

「ぁう、んん”っ……ふーっ、ふーっ……っは、ぁ”……こっち、って、なん……!?」

 トツカが瑞雪の前に突き出したのはバイブである。
 すっかり快楽で頭がぼうっとして忘れかけていたものだった。

「スイッチを入れてみるか」

 トツカが宣言し、スイッチを入れると当然ヴィンヴィン言いながらぐねぐねと蠢く。
 凶悪な凹凸のついたフォルム、色はローターが柔らかなピンクだったのに対し完全にショッキングピンクだ。
 視覚的にキツいしエグい。
 瑞雪は思わず目を反らす。
 しかし、トツカの方は目を輝かせていた。

「ああ、これはわかるぞ。アナルに挿れるんだな」

「何でこういう時だけっ……!?」

「男性器に似ていると思った」

 自信満々と言った様子でトツカはそう断言した。
 
 




 
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