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EP1 狐と新緑3 灰色の嘆き
秋雨からの呼び出し
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翌日。まさかの瑞雪からではなく秋雨から夏輝の携帯に電話があり、朝から支部の方に招集されることになった。
春先らしく夏輝は白いセーター、俺は与えられたパーカーを纏い渋々出勤する。夏輝の方は別に渋々でもないだろうけども。
朝っぱらからにこにこと胡散臭い笑顔を浮かべる和装の壮年の男は似つかわしくない聖堂で俺たちを待ち構えていた。
勿論、瑞雪も呼び出されていた。
「おはようございます。学校はまだなかったですよね?」
さも理解があるかのように秋雨は夏輝に気さくに声をかける。
「はい。入学式は4月に入ってからなのでまだ学校はないです。それで……今日は何の用件なんでしょうか?」
そわそわと夏輝が何事かと秋雨に向かって口を開いた。
「ええ。貴方たちに正式にちゃんとした依頼をしようと思いまして。君たちが瑞雪君と出会った時のことは覚えていますか?あ、どうぞ座ってください」
ちら、と瑞雪を見ればいつも通りの仏頂面。けれど、いつもよりも余計に眉間に皺が寄っているように思えた。
俺と夏輝は促されるままに聖堂のベンチへと腰掛けた。
かっちかちでものすごく座り心地が悪い。長時間座っていたら間違いなくケツが痛くなるやつ。
「それは、覚えてます。何か黒い靄に襲われて……。ここ数日、瑞雪さんに見てもらいながら魔物を討伐しましたが、あの時の奴よりはずっと弱いやつでした。そもそも、こんなに件数があるなんて思ってもみなかったし……」
こくりと頷く夏輝。瑞雪は頑なにベンチに座ろうとはしない。腕を組み、壁に背を預けていた。
「魔物やエデン人による被害は日々増え続けています。こちらとしても日々の隠蔽に必死なのですよ。そして、人々の平穏を護るために夏輝君のような羊飼いの力が必要なのです」
口当たりのいい言葉だ。まるで人畜無害とでもいうような秋雨の言いようが気に入らなかった。
「話がずれていますよ」
秋雨の言葉を遮るように瑞雪が言葉を放つ。
「おっと、失礼しました。年寄りになるとどうしても話が長くなってしまって困ります。そうですね、本題は黒い靄についてなのですよ。貴方たちと接触する前、そうですね……約一週間ほど前からこの街で猟奇殺人事件が起こっています」
秋雨が手元の機械を操作すると壇上にインジェクターが現れ、映像が映し出される。どうやら猟奇殺人の資料のようだった。
「昨日黒間市M区で女性の死体が発見されました。死体は欠損しており、首が取れていたそうです。我々の住むM区ではここ最近ー一週間ほど前から度々猟奇的な殺され方をしている死体が発見されています。そうですね、ざっと今朝の分を合わせて5件ほどでしょうか。死体はどれも野生の獣かなにかに引き裂かれたかのように死体が見るも無残な有様で発見されています」
5件。まさか昨日帰りに見た死体が?ちらりと夏輝の方をみやれば唇を真一文字に引き結び、やや緊張した面持ちをしていた。
「ニュースとかになっていないのは、やっぱり……」
恐る恐る、夏輝が疑問を口にする。
「ええ。うちで隠蔽しておりますので。しかし、大量虐殺などが起こってしまっては隠せるものも隠せません。どこから綻びが生じるかわかりませんから。何より、これ以上の被害が出ることを望むわけもありません。他の羊飼い達は皆任務に出ております。うちの支部は万年人手不足でして、人員を充てることは難しい状況なのです。そこで君たち三人にお願いしたいと思い、今日ここに呼び出したのです」
秋雨は続ける。
「そして、その猟奇殺人の犯人はおそらく、あなた方を襲った黒い靄です。現場をざっと部下が調べましたが、超高密度のマナが検出されました。瑞雪君からの報告と併せて考えるとそう考えるのが妥当でしょう」
猟奇殺人犯に対して新人を?しかもよりによってあの黒い靄と?
驚き、咄嗟に瑞雪を見ると彼すらも驚いた顔をしていた。
「はぁ?それは聞いてないぞ……!新人二人に相手出来るやつじゃないでしょう?」
余程面食らったのか、敬語と素がごっちゃになっている。さらにつかつかと秋雨の元まで詰め寄り、瑞雪は声を荒げた。
「まあまあ落ち着いて下さい。貴方たち三人ならば必ず解決できると信じて依頼を出しているのですよ」
何を根拠に。いけしゃあしゃあと言いやがる秋雨の言葉は絶対で、考えを改める気は全くないことがわかる。
瑞雪も俺たちも結局この男の掌で踊らされているだけだ。あの靄のヤバさは俺だってよくわかる。だってあの時魔法を一切使っていなかったのだ。
おまけに俺は頭を潰されそうになるしな。
「それに瑞雪君、君たちが猟奇殺人犯を討伐できれば貴方にちゃんとした装備や猟犬を支給する口実が出来ます。この間言った通りにね。今回は特に大とりものですから、またとないチャンスですよ。夏輝君とラテア君だってそうです。組織内での価値及び地位を確立でき、優秀であるとアピールすることが出来ます。悪い話ではないのですよ?」
明るい口調の秋雨に対し、瑞雪は射殺さんばかりに睨みつける。
「リスクが高すぎることを除けばな……」
吐き捨てる瑞雪。リターンよりリスクのが大きい仕事、それに挑まなければならないのは決定事項らしい。
むしろ俺達厄介者を一度に処理してしまいたいのではないかと勘繰りたくなった。
青筋を立てながらドスの効いた声音を出す瑞雪ははたから見れば大分恐ろしいさまで夏輝の方がかえって萎縮していた。
「消耗品は必要な分は全て経費で落とせますし、そう悲観ならさずに。こちらとしても可能な限りの全面的なバックアップは致します。それに、他の羊飼い達をこの街に招集している間に被害はさらに増えるでしょう。それは夏輝君にとってもいいことではないでしょう?」
ピリピリとした空気に充てられやや緊張した面持ちだった夏輝は、いきなり話題を振られ目を見開いた。
「そ、それは……!俺はこれ以上誰かが死ぬのは嫌です……!」
夏輝の青臭い正義感を盾にとられる。
「待て、夏輝。お前だってわかってるだろ?あの靄!正体がわからない上にあっちは魔法だって使ってなかったんだぜ。俺たちが敵う相手じゃないっての」
いいように扱われる夏輝を止めようと俺も口を開く。
「ラテア君。待遇は保証しましたが、貴方に決める権利があるとは一言も言っていません。無論夏輝君と瑞雪君にも。これは命令であってお願いではないのです。続きを話しても?」
俺の叫びに被せるように秋雨がはっきりと通る声で遮った。俺は唇を噛みしめ睨むことしかできない。
結局は夏輝や瑞雪と俺の待遇は大差ないのだ。
「はい……お願いします」
お前たちは下僕に過ぎないと秋雨に濁されつつも宣言され、夏輝は首を縦に振った。俺をちらりと見る視線がどこか同情に満ちていて嫌になる。
「これまでの被害者5名は男女共に存在し、職業、時間帯も全てばらばらです。それに加えてあなたたちを襲った時も含めるとこれといった共通点も一見してないように思えます。事件現場のリストはトロンを通してスマホに送信するのでまずは足で調査の方をお願いします」
ぴろんっと軽快な音が夏輝と瑞雪の懐から聞こえる。それぞれスマホを取り出し画面を確認する。
『マスター、データが来たわよ。ここから一番近い事件現場はM区の東のほうよ。一番最初に襲われた場所ね』
くるくると忙しなく画面内を飛び回るトロンは仕事を貰えたからかそれはそれは張り切っているようで、ない胸を張っていた。
「瑞雪さん……」
「わかってる。車は出す。とっとと回るぞ」
結局めぼしい情報は現状では何一つないということだけは理解した。盛大にため息をついた瑞雪が革靴の靴底でかつかつといい音を立てながらさっさと聖堂を後にする。
おいていかれないようにと夏輝が小走りになり、俺もそれに続く。
「……ええ、ええ。期待しているのですよ、夏輝君。そしラテア君にも……。瑞雪君、彼らは貴方にとっての転換点となりえるでしょうか?楽しみですね」
聖堂から出た直後、耳をそばだてると中からぽつぽつと秋雨の独白が聞こえてきた。
期待とは?右も左もエデンや羊飼いのことがわからない夏輝や、しがない狐獣人でしかない俺に何を期待するというのか。そして出会ったばかりの俺達と瑞雪に何を望んでいるのか。
「語るべからず、歌うべからず、かくべからず、呼ぶべからず、想うべからず。……知るべからず」
「貴方達は一体どう向き合うのでしょうね」
秋雨の言葉はどこか悍ましく、気持ち悪く、ぶわりと全身の毛という毛が逆立つ。
何故?どうして?たったこれだけの言葉に何の意味がある?わからない。わからないのに本能が叫ぶ。
秋雨は間違いなく俺に聞こえるように言っている。この言葉を聞かせて何になるのか。俺にはどうしたってわからなかった。
ただ、なんとなく本能がこれについて考えてはならないと訴えていた。
「ラテア?大丈夫?顔色悪いよ」
俺の様子がおかしいと真っ先に気づいたのは少し先を歩いていたはずの夏輝だった。いつの間にか俺の足が止まっていたのだ。
かなり前で瑞雪も俺の様子に気づいたのか不遜そうな顔をしている。頭を緩く振り、俺は再び歩き出す。
「何でもない。ただ、なんかちょっとぞわっとしただけ」
さっき聞こえた言葉の羅列を口にするのは、なんとなく駄目な気がしたから。俺は心の中に留める。
「そう?ならいいんだけど……。何かあったらいつでも言ってね」
夏輝の暖かな言葉に俺はただ小さく頷くことしか出来なかった。
春先らしく夏輝は白いセーター、俺は与えられたパーカーを纏い渋々出勤する。夏輝の方は別に渋々でもないだろうけども。
朝っぱらからにこにこと胡散臭い笑顔を浮かべる和装の壮年の男は似つかわしくない聖堂で俺たちを待ち構えていた。
勿論、瑞雪も呼び出されていた。
「おはようございます。学校はまだなかったですよね?」
さも理解があるかのように秋雨は夏輝に気さくに声をかける。
「はい。入学式は4月に入ってからなのでまだ学校はないです。それで……今日は何の用件なんでしょうか?」
そわそわと夏輝が何事かと秋雨に向かって口を開いた。
「ええ。貴方たちに正式にちゃんとした依頼をしようと思いまして。君たちが瑞雪君と出会った時のことは覚えていますか?あ、どうぞ座ってください」
ちら、と瑞雪を見ればいつも通りの仏頂面。けれど、いつもよりも余計に眉間に皺が寄っているように思えた。
俺と夏輝は促されるままに聖堂のベンチへと腰掛けた。
かっちかちでものすごく座り心地が悪い。長時間座っていたら間違いなくケツが痛くなるやつ。
「それは、覚えてます。何か黒い靄に襲われて……。ここ数日、瑞雪さんに見てもらいながら魔物を討伐しましたが、あの時の奴よりはずっと弱いやつでした。そもそも、こんなに件数があるなんて思ってもみなかったし……」
こくりと頷く夏輝。瑞雪は頑なにベンチに座ろうとはしない。腕を組み、壁に背を預けていた。
「魔物やエデン人による被害は日々増え続けています。こちらとしても日々の隠蔽に必死なのですよ。そして、人々の平穏を護るために夏輝君のような羊飼いの力が必要なのです」
口当たりのいい言葉だ。まるで人畜無害とでもいうような秋雨の言いようが気に入らなかった。
「話がずれていますよ」
秋雨の言葉を遮るように瑞雪が言葉を放つ。
「おっと、失礼しました。年寄りになるとどうしても話が長くなってしまって困ります。そうですね、本題は黒い靄についてなのですよ。貴方たちと接触する前、そうですね……約一週間ほど前からこの街で猟奇殺人事件が起こっています」
秋雨が手元の機械を操作すると壇上にインジェクターが現れ、映像が映し出される。どうやら猟奇殺人の資料のようだった。
「昨日黒間市M区で女性の死体が発見されました。死体は欠損しており、首が取れていたそうです。我々の住むM区ではここ最近ー一週間ほど前から度々猟奇的な殺され方をしている死体が発見されています。そうですね、ざっと今朝の分を合わせて5件ほどでしょうか。死体はどれも野生の獣かなにかに引き裂かれたかのように死体が見るも無残な有様で発見されています」
5件。まさか昨日帰りに見た死体が?ちらりと夏輝の方をみやれば唇を真一文字に引き結び、やや緊張した面持ちをしていた。
「ニュースとかになっていないのは、やっぱり……」
恐る恐る、夏輝が疑問を口にする。
「ええ。うちで隠蔽しておりますので。しかし、大量虐殺などが起こってしまっては隠せるものも隠せません。どこから綻びが生じるかわかりませんから。何より、これ以上の被害が出ることを望むわけもありません。他の羊飼い達は皆任務に出ております。うちの支部は万年人手不足でして、人員を充てることは難しい状況なのです。そこで君たち三人にお願いしたいと思い、今日ここに呼び出したのです」
秋雨は続ける。
「そして、その猟奇殺人の犯人はおそらく、あなた方を襲った黒い靄です。現場をざっと部下が調べましたが、超高密度のマナが検出されました。瑞雪君からの報告と併せて考えるとそう考えるのが妥当でしょう」
猟奇殺人犯に対して新人を?しかもよりによってあの黒い靄と?
驚き、咄嗟に瑞雪を見ると彼すらも驚いた顔をしていた。
「はぁ?それは聞いてないぞ……!新人二人に相手出来るやつじゃないでしょう?」
余程面食らったのか、敬語と素がごっちゃになっている。さらにつかつかと秋雨の元まで詰め寄り、瑞雪は声を荒げた。
「まあまあ落ち着いて下さい。貴方たち三人ならば必ず解決できると信じて依頼を出しているのですよ」
何を根拠に。いけしゃあしゃあと言いやがる秋雨の言葉は絶対で、考えを改める気は全くないことがわかる。
瑞雪も俺たちも結局この男の掌で踊らされているだけだ。あの靄のヤバさは俺だってよくわかる。だってあの時魔法を一切使っていなかったのだ。
おまけに俺は頭を潰されそうになるしな。
「それに瑞雪君、君たちが猟奇殺人犯を討伐できれば貴方にちゃんとした装備や猟犬を支給する口実が出来ます。この間言った通りにね。今回は特に大とりものですから、またとないチャンスですよ。夏輝君とラテア君だってそうです。組織内での価値及び地位を確立でき、優秀であるとアピールすることが出来ます。悪い話ではないのですよ?」
明るい口調の秋雨に対し、瑞雪は射殺さんばかりに睨みつける。
「リスクが高すぎることを除けばな……」
吐き捨てる瑞雪。リターンよりリスクのが大きい仕事、それに挑まなければならないのは決定事項らしい。
むしろ俺達厄介者を一度に処理してしまいたいのではないかと勘繰りたくなった。
青筋を立てながらドスの効いた声音を出す瑞雪ははたから見れば大分恐ろしいさまで夏輝の方がかえって萎縮していた。
「消耗品は必要な分は全て経費で落とせますし、そう悲観ならさずに。こちらとしても可能な限りの全面的なバックアップは致します。それに、他の羊飼い達をこの街に招集している間に被害はさらに増えるでしょう。それは夏輝君にとってもいいことではないでしょう?」
ピリピリとした空気に充てられやや緊張した面持ちだった夏輝は、いきなり話題を振られ目を見開いた。
「そ、それは……!俺はこれ以上誰かが死ぬのは嫌です……!」
夏輝の青臭い正義感を盾にとられる。
「待て、夏輝。お前だってわかってるだろ?あの靄!正体がわからない上にあっちは魔法だって使ってなかったんだぜ。俺たちが敵う相手じゃないっての」
いいように扱われる夏輝を止めようと俺も口を開く。
「ラテア君。待遇は保証しましたが、貴方に決める権利があるとは一言も言っていません。無論夏輝君と瑞雪君にも。これは命令であってお願いではないのです。続きを話しても?」
俺の叫びに被せるように秋雨がはっきりと通る声で遮った。俺は唇を噛みしめ睨むことしかできない。
結局は夏輝や瑞雪と俺の待遇は大差ないのだ。
「はい……お願いします」
お前たちは下僕に過ぎないと秋雨に濁されつつも宣言され、夏輝は首を縦に振った。俺をちらりと見る視線がどこか同情に満ちていて嫌になる。
「これまでの被害者5名は男女共に存在し、職業、時間帯も全てばらばらです。それに加えてあなたたちを襲った時も含めるとこれといった共通点も一見してないように思えます。事件現場のリストはトロンを通してスマホに送信するのでまずは足で調査の方をお願いします」
ぴろんっと軽快な音が夏輝と瑞雪の懐から聞こえる。それぞれスマホを取り出し画面を確認する。
『マスター、データが来たわよ。ここから一番近い事件現場はM区の東のほうよ。一番最初に襲われた場所ね』
くるくると忙しなく画面内を飛び回るトロンは仕事を貰えたからかそれはそれは張り切っているようで、ない胸を張っていた。
「瑞雪さん……」
「わかってる。車は出す。とっとと回るぞ」
結局めぼしい情報は現状では何一つないということだけは理解した。盛大にため息をついた瑞雪が革靴の靴底でかつかつといい音を立てながらさっさと聖堂を後にする。
おいていかれないようにと夏輝が小走りになり、俺もそれに続く。
「……ええ、ええ。期待しているのですよ、夏輝君。そしラテア君にも……。瑞雪君、彼らは貴方にとっての転換点となりえるでしょうか?楽しみですね」
聖堂から出た直後、耳をそばだてると中からぽつぽつと秋雨の独白が聞こえてきた。
期待とは?右も左もエデンや羊飼いのことがわからない夏輝や、しがない狐獣人でしかない俺に何を期待するというのか。そして出会ったばかりの俺達と瑞雪に何を望んでいるのか。
「語るべからず、歌うべからず、かくべからず、呼ぶべからず、想うべからず。……知るべからず」
「貴方達は一体どう向き合うのでしょうね」
秋雨の言葉はどこか悍ましく、気持ち悪く、ぶわりと全身の毛という毛が逆立つ。
何故?どうして?たったこれだけの言葉に何の意味がある?わからない。わからないのに本能が叫ぶ。
秋雨は間違いなく俺に聞こえるように言っている。この言葉を聞かせて何になるのか。俺にはどうしたってわからなかった。
ただ、なんとなく本能がこれについて考えてはならないと訴えていた。
「ラテア?大丈夫?顔色悪いよ」
俺の様子がおかしいと真っ先に気づいたのは少し先を歩いていたはずの夏輝だった。いつの間にか俺の足が止まっていたのだ。
かなり前で瑞雪も俺の様子に気づいたのか不遜そうな顔をしている。頭を緩く振り、俺は再び歩き出す。
「何でもない。ただ、なんかちょっとぞわっとしただけ」
さっき聞こえた言葉の羅列を口にするのは、なんとなく駄目な気がしたから。俺は心の中に留める。
「そう?ならいいんだけど……。何かあったらいつでも言ってね」
夏輝の暖かな言葉に俺はただ小さく頷くことしか出来なかった。
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