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2. 館の主と本の部屋
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ゆらり、ゆらり。真っ白な世界の中で、陽の光を移したような淡い金色の髪を長く伸ばした女性が、緩やかに駆け回る。と言っても、17、18くらいの娘で、彼女は私の前に来ると、ふわりと笑って見せた。それはそれは嬉しそうに微笑むので、私は理由もわからないままその笑顔をじっと見つめていた。その少女は私の手を取ると、子供の手遊びのようにゆらゆらと揺らして見せた。
「おかえり、ノア。」
待ちくたびれたわ、と言いながら、先ほどとは違ってそっと目を細めて笑う。その穏やかな表情に、いつだかの聖母を思い出させる。
「えっと…どなた?」
私は再び問うた。彼女も私が忘れてしまったなかの1人だろうか。申し訳ないとは思っているが、不可抗力なのだから許して欲しい。思い出せるなら思い出しているのに…。
「あぁ、そうね。貴女は記憶喪失だったのよね。私も覚えてない?」
「ごめんなさい…」
「いいのよ。でも、困ったわね…私からは名乗れないのに。」
「名乗れない?」
「そうなのよ。私が言っても、きっと聞こえないわよ?」
「どういうこと?」
「試しに言ってみようか?」
「…。」
「あのね、私の名前は××××なのよ。」
「え?なんて?」
「ほらね?」
彼女は私の手を離して、右手で私の頬に触れた。
「じゃあ、こうしましょう。あなたに思い出してもらうまでは、私をルリアと呼びなさい。」
「…ルリア?」
「そうよ。」
果たして思い出せるのだろうか。しかし彼女の微笑みに、そんな事は言えそうもない。
「あ、そうだわ。貴女がせっかく会いに来てくれたのだから、要件を伝えなきゃ。」
「要件?」
そういえば、私はいつどうやってここに来たのだろう。というか、ここがどこかも分からないのだが…。気がついたらここにいて、でもどこかに向かっていた覚えはなくて、確か病院から出て歩いて………
「ノア、貴女の使命よ。古い古い物語。人間に火を与えたプロメテウスが、ゼウスの怒りを受けて火山の火口に括られたわ。もう時期、山に住む鳥達の餌食になってしまう。彼の悲痛の叫びが、間もなく貴女の元に届くでしょう。彼を救って、お願い。」
何のことだかよく分からずにいると、急に妙な浮遊感を覚えて、ふらりとバランを崩すとものすごい勢いでルリアの顔が遠ざかっていく。あぁ、私が落ちているのか、なんて悠長に思っていたその時、突然実感が湧いて恐怖を覚えた。これはきっと、さっき言っていたプロメテウスの恐怖。思わず声が漏れそうになったが、絶叫の代わりに口をついて出たのは叫びではなかった。
「また会いましょう、ルリア!」
そう言ったのと同時に、別の声が耳元を掠めた気がした。
『…きろ、しっ…りするんだ…リリ…アッ!』
あぁ、この声は確か…。
「リリノア!起きろ!目を覚ませっ!」
「あぁっ!はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
なんでこんなに息が切れているんだ。まるで全力疾走した後のように呼吸が荒く、肺が痛い。そっと目を開けると、心配そうに私の顔を覗き込むカインの顔が見えた。
●●●
カインside
広い食事用の部屋で、食器をまとめて厨房に入った。ノアは食事を終えるなり、部屋に戻ると言って出て行った。使用人のひとりもいないこの立派な屋敷では、家事は全て俺の仕事だ。別に嫌ではない。寧ろ好都合だった。
しかし、今思うと、ノアは自分の部屋を覚えているのだろうか?さっきはついいつもの癖で、「分かった。」なんて返事をしたが、自慢でも何でもなく広いこの屋敷で何も覚えてない彼女が部屋に戻るのは、けっこう骨が折れるはずである。だが、知能や学力的な記憶は普通に健在だというし、人間の記憶喪失で失われる記憶というのは、どこからどこまでの範囲を言うのだろう?言語だって、本能とはいえ元は記憶したものだ。それらも含めて記憶喪失では、きっと言葉も無くしてしまうだろうに。
…いけない。考えすぎてはキリがないのに、またドツボにはまってしまうところだった。取り敢えず、見に行った方が早いだろう。
そう思い、手元の食器類を手早く片付け、キッチンを後にした。薄暗い廊下にでて蝋燭を灯し、ノアの部屋がある2階へ行こうと階段を上る。それからさらに廊下を進み、左へ曲がったところで彼女の部屋の扉が見えた。しかし、閉ざされたその扉の向こうからは人の気配を感じない。少しの不安を抱きながら、そっとそのドアノブに手をかけると案の定簡単に開いた。…中は暗く、彼女はいない。
「ノア?どこにいるんだい?」
…やはりいないようだ。
となると、彼女はどこに行ったのだろう。この暗い館の中で迷子になられると、少々探しづらいのだが…。しかしまぁ、外ではないのだから見つかるだろう。
そう思い、扉を閉めて再び階段の方に向かう。そして下りようとした時に、ふと階段脇の小さな扉から蝋燭の火の光がゆらゆらと揺れているのが見えた。
「ノア、そこにいるのかい?」
いや、明らかにいるのだけれどね。
「…。」
しかし、返事はない。
急に嫌な予感が脳裏を過る。そういえば、書庫にはアイツが潜んでいたはず。ノアがそこで寝てしまってでもいたら、大変なことになるではないか。必ず会ってしまうに決まっている。まだ会わせてはいけないからと閉ざしておいたはずの扉が、開いてしまっているのだ、まずいに決まっている。
「ノアッ!」
慌てて駆け寄り、その扉を半ば蹴破るように勢いよく開けると、最悪にも予想通りの後継が目の前にあった。数冊の本に囲まれて横たわる、リリノアの姿が。
「ノア、起きろ。目を覚ませ…!」
そう言いながら彼女を抱き起こすと、その身体は炎に包まれたように熱く、思わず手を離しそうになって慌てて留まる。火傷しそうに熱くなったその小さな体を必死に抱き寄せ、名前を呼ぼうとした時だった。
「また、会いましょう…ルリア…」
ルリア?誰だそれは…。お前が取り付かれているのは××××じゃなかったのか?この部屋にいる女の名はルリアでは無かったはず…
「はぁ…熱い…熱いよぉ…」
「っ起きろ、しっかりするんだリリノア!」
「はぁぁっ、はぁっ、うぅぅ…」
熱に魘され、苦しみ喘ぐ彼女にこちらまで息苦しくなり、必死に彼女をゆすって声をかけた。
「リリノア!起きろ!目を覚ませ!」
「あぁっ!」
ノアがやっと目を開けた。右目を覆う黒い包帯がズレてしまっている。…まだその目に光を入れるのは早いだろう。
そう思って元の位置に戻してやると、リリノアは辺りを見回し始めた。呼吸を整えて、そのゆるりと開かれた瞳を落ち着かなく揺らしている辺り、きっと状況を把握できていないのだろう。
「ノア、もう今日は疲れただろう。ひと眠りして休むといい。」
彼女が何かに気づく前に、ここから出してしまいたかった。だから、半ば強制的に彼女を抱き抱えて書庫を出て部屋に連れていき、全て上の空のように呆然とするノアをベッドに寝かせた。すると数秒と保たずに彼女は正常な眠りについた。
まだまだ、隠し事が多すぎるね、俺達には。でも、いずれ嫌でも知ることになるのだから、まだ言わなくても良いだろう。今はゆっくり、体力を戻して欲しいだけだ。
そう思ってベッドの傍らに腰掛け、呼吸も安定して穏やかに眠るリリノアの髪をそっと梳いた。もう14年間生きているのに、実年齢はまだ3歳にも満たないと言うのだ、信じられない。でも、彼女がこの廃れた世間に耐えて生きていかないというのなら、ゆっくりと時間が過ぎる方がいいのだろうか、とも思えてくるのだ。
●●●
リリノアside
あれは夢だったのか、なんなのか定かではない。しかし、内容はよく覚えていないけどとても大切なメッセージがあった気がする。そしてどこか懐かしかったような気がするのだ。私の体は、一体どうなってしまったのだろうか。記憶をなくす前の私は、どんな人だったのだろう。知らないことだらけで押しつぶされそうになるのが苦しくて、もういっそどうにでもなってしまえと投げ出したい衝動に駆られる。
カインに呼び起こされて周りを見ると本が散らばっている。そうか、私は食事をした後に部屋に戻ろうとしてここにたどり着いて、興味本位で本を読み始めてそのまま寝ちゃったんだ。それから…どうしたんだっけ?
「ノア、もう今日は疲れただろう。ひと眠りして休むといい。」
そう言われて安心して、考えるのをやめた。そう、疲れたの。頭がパンクしそうなの。どうしてだろう…
すると、優しい浮遊感とともにふわりと抱き上げられて、私の部屋であろう所のベッドに寝かせられる。やっと落ち着いて気絶するように眠りに落ちた。
ねぇ、リリノア?貴女が私を思い出すまでは何もしないわ。せいぜい、カインとともに平穏な日々を満喫しておきなさい。これはあなたの運命、私でもどうしようもないのよ。だから、それまでの執行猶予の間に温まってちょうだい。ごめんね…
I hope your happiness…
「おかえり、ノア。」
待ちくたびれたわ、と言いながら、先ほどとは違ってそっと目を細めて笑う。その穏やかな表情に、いつだかの聖母を思い出させる。
「えっと…どなた?」
私は再び問うた。彼女も私が忘れてしまったなかの1人だろうか。申し訳ないとは思っているが、不可抗力なのだから許して欲しい。思い出せるなら思い出しているのに…。
「あぁ、そうね。貴女は記憶喪失だったのよね。私も覚えてない?」
「ごめんなさい…」
「いいのよ。でも、困ったわね…私からは名乗れないのに。」
「名乗れない?」
「そうなのよ。私が言っても、きっと聞こえないわよ?」
「どういうこと?」
「試しに言ってみようか?」
「…。」
「あのね、私の名前は××××なのよ。」
「え?なんて?」
「ほらね?」
彼女は私の手を離して、右手で私の頬に触れた。
「じゃあ、こうしましょう。あなたに思い出してもらうまでは、私をルリアと呼びなさい。」
「…ルリア?」
「そうよ。」
果たして思い出せるのだろうか。しかし彼女の微笑みに、そんな事は言えそうもない。
「あ、そうだわ。貴女がせっかく会いに来てくれたのだから、要件を伝えなきゃ。」
「要件?」
そういえば、私はいつどうやってここに来たのだろう。というか、ここがどこかも分からないのだが…。気がついたらここにいて、でもどこかに向かっていた覚えはなくて、確か病院から出て歩いて………
「ノア、貴女の使命よ。古い古い物語。人間に火を与えたプロメテウスが、ゼウスの怒りを受けて火山の火口に括られたわ。もう時期、山に住む鳥達の餌食になってしまう。彼の悲痛の叫びが、間もなく貴女の元に届くでしょう。彼を救って、お願い。」
何のことだかよく分からずにいると、急に妙な浮遊感を覚えて、ふらりとバランを崩すとものすごい勢いでルリアの顔が遠ざかっていく。あぁ、私が落ちているのか、なんて悠長に思っていたその時、突然実感が湧いて恐怖を覚えた。これはきっと、さっき言っていたプロメテウスの恐怖。思わず声が漏れそうになったが、絶叫の代わりに口をついて出たのは叫びではなかった。
「また会いましょう、ルリア!」
そう言ったのと同時に、別の声が耳元を掠めた気がした。
『…きろ、しっ…りするんだ…リリ…アッ!』
あぁ、この声は確か…。
「リリノア!起きろ!目を覚ませっ!」
「あぁっ!はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
なんでこんなに息が切れているんだ。まるで全力疾走した後のように呼吸が荒く、肺が痛い。そっと目を開けると、心配そうに私の顔を覗き込むカインの顔が見えた。
●●●
カインside
広い食事用の部屋で、食器をまとめて厨房に入った。ノアは食事を終えるなり、部屋に戻ると言って出て行った。使用人のひとりもいないこの立派な屋敷では、家事は全て俺の仕事だ。別に嫌ではない。寧ろ好都合だった。
しかし、今思うと、ノアは自分の部屋を覚えているのだろうか?さっきはついいつもの癖で、「分かった。」なんて返事をしたが、自慢でも何でもなく広いこの屋敷で何も覚えてない彼女が部屋に戻るのは、けっこう骨が折れるはずである。だが、知能や学力的な記憶は普通に健在だというし、人間の記憶喪失で失われる記憶というのは、どこからどこまでの範囲を言うのだろう?言語だって、本能とはいえ元は記憶したものだ。それらも含めて記憶喪失では、きっと言葉も無くしてしまうだろうに。
…いけない。考えすぎてはキリがないのに、またドツボにはまってしまうところだった。取り敢えず、見に行った方が早いだろう。
そう思い、手元の食器類を手早く片付け、キッチンを後にした。薄暗い廊下にでて蝋燭を灯し、ノアの部屋がある2階へ行こうと階段を上る。それからさらに廊下を進み、左へ曲がったところで彼女の部屋の扉が見えた。しかし、閉ざされたその扉の向こうからは人の気配を感じない。少しの不安を抱きながら、そっとそのドアノブに手をかけると案の定簡単に開いた。…中は暗く、彼女はいない。
「ノア?どこにいるんだい?」
…やはりいないようだ。
となると、彼女はどこに行ったのだろう。この暗い館の中で迷子になられると、少々探しづらいのだが…。しかしまぁ、外ではないのだから見つかるだろう。
そう思い、扉を閉めて再び階段の方に向かう。そして下りようとした時に、ふと階段脇の小さな扉から蝋燭の火の光がゆらゆらと揺れているのが見えた。
「ノア、そこにいるのかい?」
いや、明らかにいるのだけれどね。
「…。」
しかし、返事はない。
急に嫌な予感が脳裏を過る。そういえば、書庫にはアイツが潜んでいたはず。ノアがそこで寝てしまってでもいたら、大変なことになるではないか。必ず会ってしまうに決まっている。まだ会わせてはいけないからと閉ざしておいたはずの扉が、開いてしまっているのだ、まずいに決まっている。
「ノアッ!」
慌てて駆け寄り、その扉を半ば蹴破るように勢いよく開けると、最悪にも予想通りの後継が目の前にあった。数冊の本に囲まれて横たわる、リリノアの姿が。
「ノア、起きろ。目を覚ませ…!」
そう言いながら彼女を抱き起こすと、その身体は炎に包まれたように熱く、思わず手を離しそうになって慌てて留まる。火傷しそうに熱くなったその小さな体を必死に抱き寄せ、名前を呼ぼうとした時だった。
「また、会いましょう…ルリア…」
ルリア?誰だそれは…。お前が取り付かれているのは××××じゃなかったのか?この部屋にいる女の名はルリアでは無かったはず…
「はぁ…熱い…熱いよぉ…」
「っ起きろ、しっかりするんだリリノア!」
「はぁぁっ、はぁっ、うぅぅ…」
熱に魘され、苦しみ喘ぐ彼女にこちらまで息苦しくなり、必死に彼女をゆすって声をかけた。
「リリノア!起きろ!目を覚ませ!」
「あぁっ!」
ノアがやっと目を開けた。右目を覆う黒い包帯がズレてしまっている。…まだその目に光を入れるのは早いだろう。
そう思って元の位置に戻してやると、リリノアは辺りを見回し始めた。呼吸を整えて、そのゆるりと開かれた瞳を落ち着かなく揺らしている辺り、きっと状況を把握できていないのだろう。
「ノア、もう今日は疲れただろう。ひと眠りして休むといい。」
彼女が何かに気づく前に、ここから出してしまいたかった。だから、半ば強制的に彼女を抱き抱えて書庫を出て部屋に連れていき、全て上の空のように呆然とするノアをベッドに寝かせた。すると数秒と保たずに彼女は正常な眠りについた。
まだまだ、隠し事が多すぎるね、俺達には。でも、いずれ嫌でも知ることになるのだから、まだ言わなくても良いだろう。今はゆっくり、体力を戻して欲しいだけだ。
そう思ってベッドの傍らに腰掛け、呼吸も安定して穏やかに眠るリリノアの髪をそっと梳いた。もう14年間生きているのに、実年齢はまだ3歳にも満たないと言うのだ、信じられない。でも、彼女がこの廃れた世間に耐えて生きていかないというのなら、ゆっくりと時間が過ぎる方がいいのだろうか、とも思えてくるのだ。
●●●
リリノアside
あれは夢だったのか、なんなのか定かではない。しかし、内容はよく覚えていないけどとても大切なメッセージがあった気がする。そしてどこか懐かしかったような気がするのだ。私の体は、一体どうなってしまったのだろうか。記憶をなくす前の私は、どんな人だったのだろう。知らないことだらけで押しつぶされそうになるのが苦しくて、もういっそどうにでもなってしまえと投げ出したい衝動に駆られる。
カインに呼び起こされて周りを見ると本が散らばっている。そうか、私は食事をした後に部屋に戻ろうとしてここにたどり着いて、興味本位で本を読み始めてそのまま寝ちゃったんだ。それから…どうしたんだっけ?
「ノア、もう今日は疲れただろう。ひと眠りして休むといい。」
そう言われて安心して、考えるのをやめた。そう、疲れたの。頭がパンクしそうなの。どうしてだろう…
すると、優しい浮遊感とともにふわりと抱き上げられて、私の部屋であろう所のベッドに寝かせられる。やっと落ち着いて気絶するように眠りに落ちた。
ねぇ、リリノア?貴女が私を思い出すまでは何もしないわ。せいぜい、カインとともに平穏な日々を満喫しておきなさい。これはあなたの運命、私でもどうしようもないのよ。だから、それまでの執行猶予の間に温まってちょうだい。ごめんね…
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