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ユリシリアの恋

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「良い感じに発動した様だ」

ぐっすり眠るユキを抱き締めながら、画面で戸惑っている者達を見ながらユリシリアはにやりと笑う。

セレナは魔法の制約を破ったのだから、当然ペナルティがある。
どういう形で出るかまでは分からなかったが、あの傷では言い寄る男は皆無だろう。

しかも、あの火傷はけっして完治しない。
所謂、魔傷というもので、呪いに近い。
どれ程回復魔法を掛けても、浄化魔法を施しても消えない。

世界の理に反したのだから、相応の対価を払わなければならない。

「アリアだけでなく、ユキまでも苦しめたのだから、一生苦しむがいい」

腕の中で穏やかに眠るユキの額に口付け、悲しい記憶を消した。
目が覚めたらユキはユリシリアの伴侶で、ユリシリアの愛し子の庇護者としての記憶しか無くなる。

「しかし、アリアの想いはなんて強いんだろう。私の心まで変えてしまうなんて」

いつの時代も、どの世界でも輝くような魂を持つハナでもあったアリアを手に入れる事が出来なかった。

焦がれる様にアリアを求めていた筈なのに、今はユキを抱き締めながら穏やかな気持ちだ。

ユキが現世に戻る、と言った時、本当はユキの魂を砕き、人形の様にして自分の側に置くつもりだった。

なのに、アリアが屋上から落とされそうになったあの時、泣きながらアリアを守れない自分は要らないと蹲るユキが愛しくてしかたなかった。

要らないなら貰う、と言うとユキは素直に腕の中で頷いた。

初めて触れたユキの唇が甘くて、欲望が暴走する。
感情をコントロール出来なかったことなど初めてだが、甘美な快感にユリシリアも溺れ、ユキにはかなり無茶をさせた様だ。

うっすらユキが目を開け、ユリシリアを見る。
悲しい記憶は消してしまったが、ユキの反応にユリシリアがらしくも無く緊張する。

「ユリシリア様……。大好き」

へにゃと笑い、猫の様に胸に擦り寄り、また目を閉じてしまうユキにユリシリアは苦笑した。

「まったく。目が覚めたら、この昂りを存分に慰めて貰うからね」

怖い宣言を知らないユキは、幸せそうな寝顔を見せる。
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