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エメリア視点 出来る人は転生しても出来るの?
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「初めまして」
入学式の後、同じクラスになったヒロイン?ラティナ・ロレンスに声を掛ければ
「初めまして。私、ラティナ・ロレンスです。よろしくお願いします」
と、物凄く普通に返事をしてきた。
「ラティナ様、わたくしは……」
「エメリア・バロー公爵令嬢様ですよね。挨拶が遅れまして、申し訳ありません」
サッと頭を下げる仕草もキャリアウーマンっぽい。
聞いてもいいよね。大丈夫だよね。
「つかぬ事をお聞きしてもいいかしら?」
出来るだけ穏便に、と思いながら訪ねると、ピンクの瞳で真っ直ぐこっちを見て頷いた。
「乙女ゲームってご存知?」
ピンクの綺麗な目が見開かれ、周りを見てから頷いた。
「バロー公爵令嬢様も前世の記憶がありますか?」
「あります。わたくし、このゲームの悪役令嬢ですもの」
ラティナの目がゆっくり閉じられ、暫く考え込んでいたが
「その、私、乙女ゲームはよく知らないので、概要を教えてください」
と、少し動揺しながらもきちっと対応してきた。
きっと彼女、前世では出来る人だったに違いない。
「やっぱりそうか」
授業が終わった後、カフェの端っこで乙女ゲームの内容を話せば、ラティナが眉間に手を当てながら、かっこよく呟いた。
なんでしょう、ドキドキします。
大嫌いだったキャラなのに、ときめきが止まりません。
「で、バロー公爵令嬢様はどうしたいのですか?」
先にわたくしの事を考えてくれるなんて、イケメンです。
女性なのに、なんですこのイケメンっぷり。
いけません、舞い上がっていてはラティナ様にご迷惑を掛けてしまいます。
まずは、落ち着いて。
「断罪はされたく無いし、第三王子との婚約も穏便に白紙に戻したいです」
わたくしのささやかな希望を口にするとラティナ様が頷く。
「では、まず対策としてゲームキャラ全員を教えて下さい。あと、出来ればイベントとか言うものも」
イケメン?の発言に思い出せる限りキャラやイベントの事を話すと、サラサラと何かを書き出した。
「第三王子バーナード、騎士団長令息マテウス、侯爵令息タイロン、教師ゼノビスとの接点を限り無くゼロにして行きましょう」
全員学年は違うし、ゼノビスの授業は取っていないからどうにかなる、とラティナ様が頷いている。
「ですがバーナード殿下とは婚約しているので」
「いつからですか?」
「2年前からですわ」
「良好な関係ですか?」
「いえ、わたくしが至らないせいで全く」
何せバーナード殿下は婚約する前から事あるごとに怒鳴り、暴言だけでなく暴力さえ振るってくる。
なんでゲームのエメリアはコイツに執着しているのかが全く分からないのよ。
これなら幼馴染でもあるユーシス殿下と婚約した方が良かったのに。
王命ですから此方からお断りもできませんから仕方がないですけど。
「確か第二王子のユーシス殿下は、バーナード殿下と同じ歳ですよね。接点は有りますか?」
なんでユーシス様の事を聞くのかしら?
幼馴染として接点は有りますが、ゲームには関係無いのでちょっと疑問です。
「ユーシス殿下は側妃様のお子様で、バーナード殿下は妾妃様のお子様。公爵閣下が王家との繋がりを持ちたい為の婚約ならばユーシス様とのご縁でも」
た、確かにそうですが、ユーシス様のご意志も伺わないと。
「わたくしなんかとユーシス殿下が……」
「ユーシス殿下に確認したい事がありますので、紹介をして頂けますか?」
何を知ってるのでしょうか?
ゲーム設定と関係無い事にわたくしが目をぱちくりしていると、カフェにバーナード殿下が現れました。
また怒鳴るのかしら?
入学式の後、同じクラスになったヒロイン?ラティナ・ロレンスに声を掛ければ
「初めまして。私、ラティナ・ロレンスです。よろしくお願いします」
と、物凄く普通に返事をしてきた。
「ラティナ様、わたくしは……」
「エメリア・バロー公爵令嬢様ですよね。挨拶が遅れまして、申し訳ありません」
サッと頭を下げる仕草もキャリアウーマンっぽい。
聞いてもいいよね。大丈夫だよね。
「つかぬ事をお聞きしてもいいかしら?」
出来るだけ穏便に、と思いながら訪ねると、ピンクの瞳で真っ直ぐこっちを見て頷いた。
「乙女ゲームってご存知?」
ピンクの綺麗な目が見開かれ、周りを見てから頷いた。
「バロー公爵令嬢様も前世の記憶がありますか?」
「あります。わたくし、このゲームの悪役令嬢ですもの」
ラティナの目がゆっくり閉じられ、暫く考え込んでいたが
「その、私、乙女ゲームはよく知らないので、概要を教えてください」
と、少し動揺しながらもきちっと対応してきた。
きっと彼女、前世では出来る人だったに違いない。
「やっぱりそうか」
授業が終わった後、カフェの端っこで乙女ゲームの内容を話せば、ラティナが眉間に手を当てながら、かっこよく呟いた。
なんでしょう、ドキドキします。
大嫌いだったキャラなのに、ときめきが止まりません。
「で、バロー公爵令嬢様はどうしたいのですか?」
先にわたくしの事を考えてくれるなんて、イケメンです。
女性なのに、なんですこのイケメンっぷり。
いけません、舞い上がっていてはラティナ様にご迷惑を掛けてしまいます。
まずは、落ち着いて。
「断罪はされたく無いし、第三王子との婚約も穏便に白紙に戻したいです」
わたくしのささやかな希望を口にするとラティナ様が頷く。
「では、まず対策としてゲームキャラ全員を教えて下さい。あと、出来ればイベントとか言うものも」
イケメン?の発言に思い出せる限りキャラやイベントの事を話すと、サラサラと何かを書き出した。
「第三王子バーナード、騎士団長令息マテウス、侯爵令息タイロン、教師ゼノビスとの接点を限り無くゼロにして行きましょう」
全員学年は違うし、ゼノビスの授業は取っていないからどうにかなる、とラティナ様が頷いている。
「ですがバーナード殿下とは婚約しているので」
「いつからですか?」
「2年前からですわ」
「良好な関係ですか?」
「いえ、わたくしが至らないせいで全く」
何せバーナード殿下は婚約する前から事あるごとに怒鳴り、暴言だけでなく暴力さえ振るってくる。
なんでゲームのエメリアはコイツに執着しているのかが全く分からないのよ。
これなら幼馴染でもあるユーシス殿下と婚約した方が良かったのに。
王命ですから此方からお断りもできませんから仕方がないですけど。
「確か第二王子のユーシス殿下は、バーナード殿下と同じ歳ですよね。接点は有りますか?」
なんでユーシス様の事を聞くのかしら?
幼馴染として接点は有りますが、ゲームには関係無いのでちょっと疑問です。
「ユーシス殿下は側妃様のお子様で、バーナード殿下は妾妃様のお子様。公爵閣下が王家との繋がりを持ちたい為の婚約ならばユーシス様とのご縁でも」
た、確かにそうですが、ユーシス様のご意志も伺わないと。
「わたくしなんかとユーシス殿下が……」
「ユーシス殿下に確認したい事がありますので、紹介をして頂けますか?」
何を知ってるのでしょうか?
ゲーム設定と関係無い事にわたくしが目をぱちくりしていると、カフェにバーナード殿下が現れました。
また怒鳴るのかしら?
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