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【完結】 何気ない日常がかけがえのないもの
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「……ミカリスお兄様は、間違いなくフローラ様を妻にする気です」
突然、マリアーナがフローラに敬称をつけた事にフローラは驚いたが
「無理っしょ。私は男爵家の養子で、男爵は犯罪者になったんだもん」
と、言って笑った。
真っ当な意見だが、普通とかけ離れた一族で、ラリマー家は権力もある。
出来ないことの方が少ない。
「あのミカリスお兄様が一度口にした事を無かった事にする筈はありません」
「えっ?マジ?」
「マジです」
「無理無理無理」
慌てたフローラがもの凄いスピードで首を横に振る。
「でも、ミカリスお兄様には嫌悪感なかったのでしょ」
さっきからずっと、フローラはミカリスをミー君と呼び、笑顔さえ浮かべながら話していた。
「でも……」
「フローラ様はクズな男は嫌いでも、有能なミカリスお兄様は大丈夫なのですから」
「それはそうだけど」
きっと身分の事やデブリ元男爵の事などを考えている様だが、ミカリスにとっては些細な事。
マリアーナは笑顔で大丈夫だと言った。
世間は少々騒がしかったが、フローラが足りなかった単位を修得する為、無事復学した学園を卒業する頃には問題視する者も居なくなり、ミカリスとフローラの婚約は成立した。
「マリが後押ししてくれたお陰だよ」
ミカリスが笑顔で礼を言う。
「フローラ様は少し、恋に臆病になっていただけですから」
ジルコン公爵令息夫人になったマリアーナがクスッと笑う。
「それに、本気になったミカリスお兄様から逃げるなんて、レベル1の勇者がレベル999の魔王に勝つより無理ですから」
「酷い例えだな」
ユリアスが呆れた様な顔をすると、ミカリスがクスクス笑う。
外堀を埋め、根回しをしているくせして意外なほど純愛を貫く策士の笑顔にマリアーナはホッとした。
「マリアーナ様、お久しぶりです」
遅れて入って来たフローラがマリアーナの姿に目を輝かせながら挨拶をした。
立ち姿が優雅になったフローラ。
今でも男爵令嬢だが、公爵夫人になる為の教育が身に付いてきたのだろう。
「フローラ様、お久しぶりです」
マリアーナも笑顔で応対しながらそっと
「ゲーム設定は本当でしたね」
と、囁いた。
フローラは困った顔をしながらも小さく頷いた。
「でも、愛されてるから大丈夫です」
2人の淑女の密かな会話を知らないミカリス達は穏やかに会話をしている。
何気ない日常が、かけがえの無いものだと改めて思う。
人生には断罪もざまぁも要らない。
2人は微笑みながら、愛しい人に寄り添った。
fin
長い物語にお付き合いいただき、心から感謝します。
初めてHOTランキングにランクインしたり、沢山の方がお気に入りに登録して下さって泣きそうになりました。・°°・(>_<)・°°・。
少しお休みをいただいて、また新しいものを始めたいと思ってます。
本当に有り難うございました♪
突然、マリアーナがフローラに敬称をつけた事にフローラは驚いたが
「無理っしょ。私は男爵家の養子で、男爵は犯罪者になったんだもん」
と、言って笑った。
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「でも……」
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マリアーナは笑顔で大丈夫だと言った。
世間は少々騒がしかったが、フローラが足りなかった単位を修得する為、無事復学した学園を卒業する頃には問題視する者も居なくなり、ミカリスとフローラの婚約は成立した。
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「フローラ様は少し、恋に臆病になっていただけですから」
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「酷い例えだな」
ユリアスが呆れた様な顔をすると、ミカリスがクスクス笑う。
外堀を埋め、根回しをしているくせして意外なほど純愛を貫く策士の笑顔にマリアーナはホッとした。
「マリアーナ様、お久しぶりです」
遅れて入って来たフローラがマリアーナの姿に目を輝かせながら挨拶をした。
立ち姿が優雅になったフローラ。
今でも男爵令嬢だが、公爵夫人になる為の教育が身に付いてきたのだろう。
「フローラ様、お久しぶりです」
マリアーナも笑顔で応対しながらそっと
「ゲーム設定は本当でしたね」
と、囁いた。
フローラは困った顔をしながらも小さく頷いた。
「でも、愛されてるから大丈夫です」
2人の淑女の密かな会話を知らないミカリス達は穏やかに会話をしている。
何気ない日常が、かけがえの無いものだと改めて思う。
人生には断罪もざまぁも要らない。
2人は微笑みながら、愛しい人に寄り添った。
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