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決着は御前会議で

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「明日の御前会議で片をつける」

御前会議の前日、ジルコン宰相の宣言に関係者全員が頷いた。



御前会議は珍しく見に来たいものは参加を許可する、と言う陛下からのお言葉を受け、謁見の間で行う事になり、かなりの官僚が見に来ている。

議題は他国との交渉の進み具合から地方の不作など多岐に渡っている。

「そう言えば、学園で精神干渉魔法が使われた、と言う報告が上がっていました」

議長のパール公爵の発言に、陛下の態度はまるで気にもしていない事のように、そうか、とだけ言って議題にしようともしなかった。

「それだけじゃありません。魅了魔法と服従魔法のアイテムが使われました」

誰が声を上げた。
議会の場がざわつき始め、声の主を探す様に皆、キョロキョロしている。

「痺れを切らして出てきたようだ」

人垣の後ろの方に立っているルシルが楽しげにマリアーナに囁いた。

今回の騒動では、何人かはアイテムの存在を知っているが、公にはなっていない。
むしろ、精神干渉魔法の方が前面に出されており、そちらの対応を急いでいるようにも見えた。

マリアーナ達は共通認識として情報を共有しているが、大多数の貴族達は精神干渉魔法やアイテムが使われた事すら知らない。

そして、マリアーナは知らないが、御前会議の場にはダスト伯爵とタガー子爵も来ており、声の主が何をいうか息を潜めて待っていた。

「ほぅ、違法アイテムがまだこの世界に残っているとでも思っているとは、世間知らずも甚だしいですね。レシピすら抹消され、誰も作れないというのに」

ジルコン宰相が呆れたような顔で、顔を見せない声の主を嘲笑った。
確かに名前と効果は知っているが、市場には改良品が出回り、もう誰も違法アイテムを作る事はできない。

「そんな筈は」

姿を見せない卑怯者はなおも言い募るが、陛下は勿論官僚トップの大臣達を動かすのは不可能だ。

「マリ」
「はい」

ルシルに促され、マリアーナが人混みから一歩前に出た。

「ウィリアム陛下、発言を許可していただけますでしょうか」

官僚らしいかっちりしたドレス姿のマリアーナに広間に集まる貴族達はほぅ、と感嘆のため息を漏らす。

本人は無自覚だが、官僚となってから各部署の手伝いを滞りなく出来るマリアーナの優秀さは宮廷内では有名で、その美しさと合わせて称賛の声は至る所から上がっている。

「ガーネット子爵令嬢か。発言を許す」

ウィリアム陛下自らが許可を出すことに軽いざわめきが起きた。

「先ほどから違法アイテムが話題に上がっておりますが、魔術院に確認したところ、ここ数十年いえ、正確には40年は製造された様子もなく、レシピ本体も30年前に完全に消去されております」

具体的な年数を口にするマリアーナを貴族達は驚きの目で見ているが、魔術院長官も頷いているので誰も否定の声を上げられない。
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