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マナーを何処に捨てたんでしょうね?

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「えっ?ダスト伯爵とタガー子爵に謀反の疑いが?」

やっとルーティンとなっていた呼び出しからの、が終わった途端、意外な方達への阿呆みたいな疑いに頭がついて来ません。


今日はジルコン宰相閣下の執務室で皆さんが集まっているけど、宰相閣下は激務、と聞いた事があるのですが大丈夫でしょうか?

「匿名で投げ文があった」

それって信憑性あります?

「ふーん。その投げ文、貸していただけますか?」

ルシルお兄様、宰相閣下に何お願いしているんですか。

「良いですよ。此方も信憑性を疑ってますので、そちらで調べてくれると手間が省けます」

時々お兄様が分からなくなります。
外交補佐ってどんな仕事なんです?

「マリに送られた手紙も貸して」

送り主がバラバラなのに、何の役に立つのでしょう?

「私が持っているのは、ロイド先生とタガー子爵令息からので、ハモンドさんのはジルコン公爵令息がお持ちです」

一応、公の場、みたいなのでジルコン公爵令息と呼んだらまた無愛想な顔になってます。

「ユリアス、感情が顔に出過ぎだ」

ユーリ様?ユリアス様の今の顔は無表情ですが?

「この前から縦ロールの伯爵令嬢に言い寄られて腹が立つのは分かるが、感情は抑えろ」

あの令嬢の事、皆さん縦ロールの伯爵令嬢と呼んでいるんですね。
名乗りあう挨拶もしてませんから、知らない人になりますが若干失礼にあたるのでは?と思います。

「あんな無礼な令嬢を許せと仰るのですか?」

ますますユリアス様が無表情になっていきますが、怒ってますね。

「ユリアス様、どうなさいました?珍しく感情が乱れてますけど」

問い掛ければユリアス様はハーッと大きな息を吐き話してくれました。

ユリアス曰く
縦ロールの令嬢が突然、ジルコン家に押し掛け

「わたくしに釣り合う殿方はジルコン公爵令息くらいですから、婚約して差し上げても良くってよ」

と、暴言を吐きまくったそうだ。
令嬢、マナーを何処に捨てて来たのですか?すぐに拾いに行きなさい。

「君の所もか、頭痛くなった」

ラファエルお兄様が本当に額に手を当てて、俯いてしまった。
公爵家に突撃するなんて、不敬で捕まってもおかしくないですよ。
本当にあの方は何がしたいのでしょう。

「縦ロールが何をしようと関係ないが」

ミカリスお兄様。とうとう令嬢の文字すら口にしなくなりましたね。
まぁ、令嬢らしがらぬ態度ですから。

「そうそう。縦ロールはユリアスに任せるけど、アイツは如何する?」

アイツ?どなたでしょう?

「アイツはルシルが対処している筈だ」
「ええ、此方で既に。全く不快な事しか口にしないので、少々手荒になったようですが、ね」

ルシルお兄様の言葉でなんとなく理解しました。あの方はお兄様達に何を言ったのでしょう?ここ迄露骨に不愉快な顔をされるお兄様達を初めて見ました。

「では、各方面の事は各自に任せるが、今回の事はマリアーナ嬢。貴女も関わってもらう」

ユーリ様が宰相としての顔で、真っ直ぐ私を見ます。

「力の及ぶ限り努力します」

いわれなき冤罪での処罰なんて許せる事ではありませんから。
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