31 / 41
冬のパーティが始まる
しおりを挟む
「冬のパーティーでは盛大に幻覚魔法を解呪して下さい」
後数日で冬のパーティーになった時、アリッサが笑顔でミモザにお願いをした。
学園は既に幻覚魔法を信じ切った者達と自分の力と目で真実を見つけたものと2つに分かれていた。
2つというと同数に聞こえるが、実際のところ大多数は真実を理解した者達で、残りは少数の愚か者に分けられている。
「思っていた以上の生徒がしっかりした目を持っていることが分かり、私達にも恩恵があったな」
「はい。良い選別になります」
エリンジウムがにっこり笑えば、マロウ達もいい笑顔で頷く。
やっと辛い日々が終わりを告げる。
冬のパーティー当日。
ミモザ達はそれぞれのパートナーが贈ったドレスを纏い、会場へ入って来た。
「ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。此方に」
冬のパーティーが始まる時、エリンジウムがミモザの名前を呼んだ。
ニヤつく者の前に立つミモザは夏のパーティーの様にエリンジウムの瞳の色を映し取った様な色のドレスを着こなし、毅然と前に進み出た。
「貴女を婚約者として迎えるにあたり、聞きたい事がある」
醜悪にニヤける顔を隠しもしないものを横目に、ミモザは美しい姿勢でカーテシーをした。
「聞かれて困る様な行動はしておりません」
「なるほど。では、現状をどう理解している?」
エリンジウムの発言にニヤけた者達の顔がさらに歪む。
「大魔法使いファルシオンの進言では、幻覚魔法が学園を覆っている、と」
ミモザの凛とした声に会場内が俄かに騒めき、ニヤけた顔をしていた者達の顔に焦りが浮かぶ。
アリッサの掛けた幻覚魔法は精神まで支配する強力な物ではなく、歪な認識をほんの少し肯定するもの。
だから自分の力で抵抗する者や噂に踊らされないでミモザ達を庇う者達が多数いるのだ。
「で、ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。貴女ならどうする?」
「幸い、わたくしは解呪魔法の使い手だと魔法省で認定を受けましたので、幻覚魔法を解呪したいと思ってます」
エリンジウムとミモザはパーティーが始まる前から話し合い、アリッサの掛けた幻覚魔法の解呪の機会をパーティーが始まる前にしよう、と決めたのだ。
「アリッサ、準備は?」
「万全です」
今回は裏方に回ったアリッサがローブのフードを少し持ち上げ、ニコッと笑う。
実際、ミモザに解呪してもらう時にアリッサ達が更に演出をし、派手にするつもりだ。
騒つく会場を見ながら、ファルシオンも頷く。
「こっちもアンサシアが協力すると言い出した時はちょっと驚きましたが、アンサシアもこの世界を弄ぶ力に腹を立てている様ですから」
「俺の方にはドラゴンのゴールドが怒鳴り込んできたぞ」
「ゴールドが?何故?」
「アイツらも時間がぐちゃぐちゃにされてるのに腹を立ててたし、なにより自分が助けたミモザ嬢を攻撃したからな」
「……派手になりそうですね」
アリッサはエリンジウムと話しているミモザの合図を確認し、ゆっくりと手を上げた。
後数日で冬のパーティーになった時、アリッサが笑顔でミモザにお願いをした。
学園は既に幻覚魔法を信じ切った者達と自分の力と目で真実を見つけたものと2つに分かれていた。
2つというと同数に聞こえるが、実際のところ大多数は真実を理解した者達で、残りは少数の愚か者に分けられている。
「思っていた以上の生徒がしっかりした目を持っていることが分かり、私達にも恩恵があったな」
「はい。良い選別になります」
エリンジウムがにっこり笑えば、マロウ達もいい笑顔で頷く。
やっと辛い日々が終わりを告げる。
冬のパーティー当日。
ミモザ達はそれぞれのパートナーが贈ったドレスを纏い、会場へ入って来た。
「ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。此方に」
冬のパーティーが始まる時、エリンジウムがミモザの名前を呼んだ。
ニヤつく者の前に立つミモザは夏のパーティーの様にエリンジウムの瞳の色を映し取った様な色のドレスを着こなし、毅然と前に進み出た。
「貴女を婚約者として迎えるにあたり、聞きたい事がある」
醜悪にニヤける顔を隠しもしないものを横目に、ミモザは美しい姿勢でカーテシーをした。
「聞かれて困る様な行動はしておりません」
「なるほど。では、現状をどう理解している?」
エリンジウムの発言にニヤけた者達の顔がさらに歪む。
「大魔法使いファルシオンの進言では、幻覚魔法が学園を覆っている、と」
ミモザの凛とした声に会場内が俄かに騒めき、ニヤけた顔をしていた者達の顔に焦りが浮かぶ。
アリッサの掛けた幻覚魔法は精神まで支配する強力な物ではなく、歪な認識をほんの少し肯定するもの。
だから自分の力で抵抗する者や噂に踊らされないでミモザ達を庇う者達が多数いるのだ。
「で、ミモザ・ノースマルド公爵令嬢。貴女ならどうする?」
「幸い、わたくしは解呪魔法の使い手だと魔法省で認定を受けましたので、幻覚魔法を解呪したいと思ってます」
エリンジウムとミモザはパーティーが始まる前から話し合い、アリッサの掛けた幻覚魔法の解呪の機会をパーティーが始まる前にしよう、と決めたのだ。
「アリッサ、準備は?」
「万全です」
今回は裏方に回ったアリッサがローブのフードを少し持ち上げ、ニコッと笑う。
実際、ミモザに解呪してもらう時にアリッサ達が更に演出をし、派手にするつもりだ。
騒つく会場を見ながら、ファルシオンも頷く。
「こっちもアンサシアが協力すると言い出した時はちょっと驚きましたが、アンサシアもこの世界を弄ぶ力に腹を立てている様ですから」
「俺の方にはドラゴンのゴールドが怒鳴り込んできたぞ」
「ゴールドが?何故?」
「アイツらも時間がぐちゃぐちゃにされてるのに腹を立ててたし、なにより自分が助けたミモザ嬢を攻撃したからな」
「……派手になりそうですね」
アリッサはエリンジウムと話しているミモザの合図を確認し、ゆっくりと手を上げた。
139
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
周りの女子に自分のおしっこを転送できる能力を得たので女子のお漏らしを堪能しようと思います
赤髪命
大衆娯楽
中学二年生の杉本 翔は、ある日突然、女神と名乗る女性から、女子に自分のおしっこを転送する能力を貰った。
「これで女子のお漏らし見放題じゃねーか!」
果たして上手くいくのだろうか。
※雑ですが許してください(笑)
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
家から追い出された後、私は皇帝陛下の隠し子だったということが判明したらしいです。
新野乃花(大舟)
恋愛
13歳の少女レベッカは物心ついた時から、自分の父だと名乗るリーゲルから虐げられていた。その最中、リーゲルはセレスティンという女性と結ばれることとなり、その時のセレスティンの連れ子がマイアであった。それ以降、レベッカは父リーゲル、母セレスティン、義妹マイアの3人からそれまで以上に虐げられる生活を送らなければならなくなった…。
そんなある日の事、些細なきっかけから機嫌を損ねたリーゲルはレベッカに対し、今すぐ家から出ていくよう言い放った。レベッカはその言葉に従い、弱弱しい体を引きずって家を出ていくほかなかった…。
しかしその後、リーゲルたちのもとに信じられない知らせがもたらされることとなる。これまで自分たちが虐げていたレベッカは、時の皇帝であるグローリアの隠し子だったのだと…。その知らせを聞いて顔を青くする3人だったが、もうすべてが手遅れなのだった…。
※カクヨムにも投稿しています!
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?
菟圃(うさぎはたけ)
BL
事故で死んで気がつけば俺はよく遊んでいた18禁BLゲームのお助けキャラに転生していた!
主人公の幼馴染で主人公に必要なものがあればお助けアイテムをくれたり、テストの範囲を教えてくれたりする何でも屋みたいなお助けキャラだ。
お助けキャラだから最後までストーリーを楽しめると思っていたのに…。
優しい主人公が悪役みたいになっていたり!?
なんでみんなストーリー通りに動いてくれないの!?
残酷な描写や、無理矢理の表現があります。
苦手な方はご注意ください。
偶に寝ぼけて2話同じ時間帯に投稿してる時があります。
その時は寝惚けてるんだと思って生暖かく見守ってください…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる