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多すぎるトラップと嫌な記憶

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「それって……。間違いなく起動した、と誤解しますね」

音が鳴る、という事はそのトラップが正常に動作している、と思うだろう。
アリッサの仮説が正しければ、元凶のデージーはエリンジウム達の好感度を上げられた、と誤認する。

嫌な記憶がアリッサの脳裏を掠めたが、ランタナ達はアリッサの仮説に気を取られ気が付いていない。

「なら、誰の好意を上げようとしているのかしら?」

1人を狙うにしてはトラップの数が多過ぎる。

「数や今までのアイツの行動から、エリンジウム殿下、モルセラ、サンキライ、ガウラそしてマロウだろうな」

ファルシオンの言葉にマロウが嫌そうに眉を顰め

「ファルシオン先生も狙われてますよ、多分」

と、言いため息を吐いた。

「6人もの男性と?何をしたいのかしら?」

ランタナが首を傾げるとマロウがさらに嫌そうな顔で呟いた。

「何処かの国の王は見目良い女性を自分の周りに侍らせ、ハーレムというものを作った、と聞いたことがある」
「王では無いのに出来るのですか?何人もの女性を侍らずなんて、そんじょそこいらの金持ちじゃ出来ませんわ」

ランタナの意見に3人は笑い出してしまった。

「アイツの場合、女性じゃ無くて、男性をだよ」

些細な言い間違いを指摘されても、ランタナは怯まない。

「それでも、お金はかかりますでしょ。ハーレムの主人は侍らず者達の衣食住を賄うんですから」
「アイツにそんな甲斐性がある訳ないだろ」

マロウが当然のようにデージーを貶すが言っている事はまともだ。

「では?」
「ま、振ったらカラコロと音がしそうな頭だから、侍らせた男達に養ってもらって自分は自堕落に過ごすつもりだろう」

ファルシオンも辛辣な意見を言う。

「物乞いよりも無様な事だ」
「物乞いをする方に対して失礼ですよ。彼らは日々の糧を得るために路上に座るのですから」

段々話がズレて来ている気がして、アリッサはふぅ、と息を吐いた。

「私は何度も突然時間迷路に放り込まれた為人生を諦めてました」

アリッサの言葉にファルシオンが悲しげに頷く。

「ですが、諦めては駄目だと。私は今の人生をまっとうしたい」

前回の人生を知っているファルシオンですらアリッサが人生に未来を見ていない事を知らなかった。
何処か飄々としてはいたが、いつも楽しそうにしていた。

「ですので、今回は全力で争います」

アリッサの宣言に3人は笑顔で頷いた。

「だからアンサシアに協力を頼み、学園中に幻覚魔法を掛けます」

アリッサの物騒な発言に笑顔だった3人が固まる。

「幻覚魔法?どうするつもりだ?」

ファルシオンが恐る恐る聞くと

「アレはトラップが正常に機能している、と思っているみたいですが周りの方々には滑稽な行動としか見えません」

アリッサが笑顔で状況を説明するとファルシオン達も頷いた。

「ですので、好感度が上がって、エリンジウム殿下達と親しくなった、と見えるようにします」

尋常じゃない広域魔法にランタナが不安そうな顔をする。

「そんなに広範囲に魔法を掛けたら、アリッサが倒れちゃうわ」
「だからアンサシアの協力を取り付けるのです。アンサシアは大地の賢者。魔樹達の長ですから」
「僕、エリンジウム殿下達に説明して来ます」

マロウは諦めたのか、ここに居ない者達に説明すると提案した。
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