26 / 41
元凶を特定。やっぱりねとしか言えない
しおりを挟む
「エリンジウム殿下。教師から会場へは入らないように、との伝言です」
モルセラがエリンジウムに小声で何かを話すと、エリンジウムの表情が曇った。
「エリンジウム様、何か悪い事でも?」
ミモザが心配そうにエリンジウムの顔を覗き込むと、エリンジウムが小声でミモザに内緒話をする様に顔を傾けた。
「どうなさいました?」
エニシダがホーア子爵令息を警備の者に引き渡してからミモザの元に戻ると、ミモザ達はクスクス笑っていた。
「会場でアレが騒いでいるそうです」
マロウが呆れた顔で会場の方を見て、大袈裟に息を吐いた。
マロウの言葉にミモザ達や他の女子生徒だけでなく、彼女達のパートナーもそーっと扉を開け、中を見て顔を引き攣らせている。
「なんでアタシがこんな安物のドレス着なきゃなんないのよ」
安っぽいドレスを着たデージーのキンキン声が、開いた扉の隙間から外にまで聞こえる。
「エリン様とファーストダンス踊るのになんで居ないの。早く呼んできなさいよ。マロウとお庭デートがダメになっちゃうじゃない。それが終わんないと最後のルート開かないのに」
教師達が何かを言っているようだが、デージーの訳の分からない叫び声しか聞こえない。
「やはりな。特定も終わったし、帰るか」
「何を言ってるのかさっぱりわからないですが」
「気にするな、どうせ大した事言ってない」
ファルシオンがアリッサの肩に手を置き、くるりと方向転換をした。
どうやら無事?元凶を特定できたようだ。
「折角着飾ったアリッサを見せびらかしたかったのに」
ランタナの残念そうな顔は、ミモザ達も同じ。
「では、王宮の中庭で小さなパーティーをしよう」
エリンジウムの提案に、ミモザ達だけで無く、その場に居た者達の顔もキラキラした。
全員でも大丈夫か?とアリッサは不安になったが、エリンジウムは自分の秘書官に指示を出し、あっという間にその場にいた者達も纏めて王宮に招待してしまった。
突然王宮で行われた小さなパーティーは国王陛下や王妃陛下まで顔を見せ、学生達は緊張でガチガチになったが、滅多に入れない王宮でのサマーパーティーは和やかに終わった。
学園の方にもエリンジウムから労を労う言葉があり、教師達はエリンジウムを含む高位貴族が騒動に巻き込まれず、穏やかに夏の休みに入った事に心底ホッとしていた。
モルセラがエリンジウムに小声で何かを話すと、エリンジウムの表情が曇った。
「エリンジウム様、何か悪い事でも?」
ミモザが心配そうにエリンジウムの顔を覗き込むと、エリンジウムが小声でミモザに内緒話をする様に顔を傾けた。
「どうなさいました?」
エニシダがホーア子爵令息を警備の者に引き渡してからミモザの元に戻ると、ミモザ達はクスクス笑っていた。
「会場でアレが騒いでいるそうです」
マロウが呆れた顔で会場の方を見て、大袈裟に息を吐いた。
マロウの言葉にミモザ達や他の女子生徒だけでなく、彼女達のパートナーもそーっと扉を開け、中を見て顔を引き攣らせている。
「なんでアタシがこんな安物のドレス着なきゃなんないのよ」
安っぽいドレスを着たデージーのキンキン声が、開いた扉の隙間から外にまで聞こえる。
「エリン様とファーストダンス踊るのになんで居ないの。早く呼んできなさいよ。マロウとお庭デートがダメになっちゃうじゃない。それが終わんないと最後のルート開かないのに」
教師達が何かを言っているようだが、デージーの訳の分からない叫び声しか聞こえない。
「やはりな。特定も終わったし、帰るか」
「何を言ってるのかさっぱりわからないですが」
「気にするな、どうせ大した事言ってない」
ファルシオンがアリッサの肩に手を置き、くるりと方向転換をした。
どうやら無事?元凶を特定できたようだ。
「折角着飾ったアリッサを見せびらかしたかったのに」
ランタナの残念そうな顔は、ミモザ達も同じ。
「では、王宮の中庭で小さなパーティーをしよう」
エリンジウムの提案に、ミモザ達だけで無く、その場に居た者達の顔もキラキラした。
全員でも大丈夫か?とアリッサは不安になったが、エリンジウムは自分の秘書官に指示を出し、あっという間にその場にいた者達も纏めて王宮に招待してしまった。
突然王宮で行われた小さなパーティーは国王陛下や王妃陛下まで顔を見せ、学生達は緊張でガチガチになったが、滅多に入れない王宮でのサマーパーティーは和やかに終わった。
学園の方にもエリンジウムから労を労う言葉があり、教師達はエリンジウムを含む高位貴族が騒動に巻き込まれず、穏やかに夏の休みに入った事に心底ホッとしていた。
146
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい
Ruhuna
恋愛
容姿端麗、才色兼備の姉が実は私を呪っていたらしい
そんなこととは知らずに大公殿下に愛される日々を穏やかに過ごす
3/22 完結予定
3/18 ランキング1位 ありがとうございます
貴方誰ですか?〜婚約者が10年ぶりに帰ってきました〜
なーさ
恋愛
侯爵令嬢のアーニャ。だが彼女ももう23歳。結婚適齢期も過ぎた彼女だが婚約者がいた。その名も伯爵令息のナトリ。彼が16歳、アーニャが13歳のあの日。戦争に行ってから10年。戦争に行ったまま帰ってこない。毎月送ると言っていた手紙も旅立ってから送られてくることはないし相手の家からも、もう忘れていいと言われている。もう潮時だろうと婚約破棄し、各家族円満の婚約解消。そして王宮で働き出したアーニャ。一年後ナトリは英雄となり帰ってくる。しかしアーニャはナトリのことを忘れてしまっている…!
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
悪役令嬢ってこれでよかったかしら?
砂山一座
恋愛
第二王子の婚約者、テレジアは、悪役令嬢役を任されたようだ。
場に合わせるのが得意な令嬢は、婚約者の王子に、場の流れに、ヒロインの要求に、流されまくっていく。
全11部 完結しました。
サクッと読める悪役令嬢(役)。
【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?
鏑木 うりこ
恋愛
父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。
「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」
庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。
少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *)
HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい!
色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー!
★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい!
【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる