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色々な事が同時進行で動き出します
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「アリッサさん、カーバンクルが」
アリッサがダンジョンから出ると、エニシダが恐る恐る森の端に出てきたカーバンクルを見ながら声を掛ける。
「大丈夫です。渡すものがあるので待っていて貰いました」
アリッサはスタスタとカーバンクルのところに行き、赤い石を渡そうとするとカーバンクルがピョン、とアリッサのローブのフードに飛び乗った。
『大魔法使いの所に連れてけ』
えっ?と驚いてフードに目を向けると、カーバンクルはちょんとアリッサの肩に手を乗せ、何かを囁いた。
「……分かりました」
頷くアリッサにエニシダ達がオロオロしながら近付くと、アリッサが困った様な顔で笑った。
「大地の賢者が力を貸してくださった様です」
大地の賢者とは、魔法使いの塔でアンサシアの事を指す言葉。
何のことだか解らない2人は戸惑っていたが、納得しているアリッサとフードの中で落ち着いてしまったカーバンクルの可愛い姿を見て、何も言えなくなってしまった。
「トラップを仕掛けたのって誰なんでしょう?」
ランタナが首を傾げながら改ざんした最後のトラップを見ている。
「さっき改ざんしたヤツの日付けが明日だったはずだ」
ファルシオンの返事にランタナとマロウが顔を見合わせ頷いた。
「見てるだけにしろよ」
「はい。何も言わないで見てるだけにします」
ファルシオンが呆れた様にため息を吐くが、マロウとランタナは顔を見合わせ妙にニヤニヤしていた。
「それより、そろそろアリッサ達が帰ってくる」
ファルシオンが立ち上がり、転移魔法陣のある方に目を向けた。
「ランタナ嬢、オリハルコンより作って貰いたいものがあります」
「映像だけで無く、音声までしっかり保存できるもので宜しいですか?」
何を、と聞かずに答えるランタナをマロウは真っ直ぐ見つめ、頷いた。
「そうとなれば、ファルシオン先生。手伝ってくださいますよね」
「俺まで織り込み済みか」
「当然です。先生の力、半端じゃ無いですから」
ランタナが笑顔で言うとマロウも頷いた。
アリッサがダンジョンから出ると、エニシダが恐る恐る森の端に出てきたカーバンクルを見ながら声を掛ける。
「大丈夫です。渡すものがあるので待っていて貰いました」
アリッサはスタスタとカーバンクルのところに行き、赤い石を渡そうとするとカーバンクルがピョン、とアリッサのローブのフードに飛び乗った。
『大魔法使いの所に連れてけ』
えっ?と驚いてフードに目を向けると、カーバンクルはちょんとアリッサの肩に手を乗せ、何かを囁いた。
「……分かりました」
頷くアリッサにエニシダ達がオロオロしながら近付くと、アリッサが困った様な顔で笑った。
「大地の賢者が力を貸してくださった様です」
大地の賢者とは、魔法使いの塔でアンサシアの事を指す言葉。
何のことだか解らない2人は戸惑っていたが、納得しているアリッサとフードの中で落ち着いてしまったカーバンクルの可愛い姿を見て、何も言えなくなってしまった。
「トラップを仕掛けたのって誰なんでしょう?」
ランタナが首を傾げながら改ざんした最後のトラップを見ている。
「さっき改ざんしたヤツの日付けが明日だったはずだ」
ファルシオンの返事にランタナとマロウが顔を見合わせ頷いた。
「見てるだけにしろよ」
「はい。何も言わないで見てるだけにします」
ファルシオンが呆れた様にため息を吐くが、マロウとランタナは顔を見合わせ妙にニヤニヤしていた。
「それより、そろそろアリッサ達が帰ってくる」
ファルシオンが立ち上がり、転移魔法陣のある方に目を向けた。
「ランタナ嬢、オリハルコンより作って貰いたいものがあります」
「映像だけで無く、音声までしっかり保存できるもので宜しいですか?」
何を、と聞かずに答えるランタナをマロウは真っ直ぐ見つめ、頷いた。
「そうとなれば、ファルシオン先生。手伝ってくださいますよね」
「俺まで織り込み済みか」
「当然です。先生の力、半端じゃ無いですから」
ランタナが笑顔で言うとマロウも頷いた。
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