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見掛け倒しでも数が多ければなんとやら

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「猿型の魔獣か」

いつの間にか魔獣達に囲まれておりサンキライが剣を抜き、アリッサとファルシオンは魔法使いのローブのフードを外した。

護衛官達はまだマシだが、戦う事に慣れていないマロウやミモザは初めて見た猿型の魔獣の姿に青褪めている。

「あのタイプはC級にしては無駄に賢い。ある程度痛め付けないと退散しない」

ファルシオンの言葉にアリッサやギルド関係者は頷いた。
出来れば討伐の惨劇を王族や高位貴族の令嬢令息に見せたく無いが、手を抜けば弱い者に襲い掛かる。

「アリッサ嬢、防御魔法なら私も使える」

平常心を保つエリンジウムの申し出にアリッサはファルシオンを見た。

「分かりました。それでしたら殿下にはノースマルド公爵令嬢とハルキシア侯爵令息の安全を確保していただき、モルセラ殿はサンキライと前衛に」

エリンジウム達の護衛官達も剣を抜き前衛に立とうとしたが

「あれは無駄に賢いので、護衛官の方達は殿下の側で。私も前衛に立ちます」

いくらエリンジウムが防御魔法を使えても彼を危険に晒すわけにはいかない。

アリッサは剣を抜くと群れの中心にいる猿型の魔獣のボスらしき個体を見た。
C級の魔獣にしては大きいが、所詮下位の魔獣。賢いだけでそれほど魔力は強く無い。

弱いが数だけは多い魔獣の群れを見ながらアリッサは剣をさらりと撫でた。

「無駄に賢いなら、それを利用すれば良い」

アリッサが冷ややかな笑みを魔獣に向けると、人間の表情の意味を理解しているのだろう、魔獣達がギャーギャー騒ぎ始める。

「煽るなよ」

サンキライが、呆れた様にアリッサを見る。

「喧嘩を売ってきたのはあっちなんでね。叩き潰します」

筋肉が発達して見た目はかなり強そうだが、身体能力はさほど強く無い。
見掛け倒しなのでギルドの新人でも3人居ればなんとか討伐できる。

これで身体能力まで強かったらC級じゃ無かっただろう。
それに弱い奴ほど相手の力量を計ることもせず突っ込んでくるものだ。
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