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今回は違う人生か?

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でも、今回は違う。

「アリッサ、迎えに来たぞ」

自分の手を見ていたアリッサの頭上から楽しげな声がした。
顔を上げると、そこには魔法使いのローブを纏いながらまだ若いファルシオンが立っており、アリッサが驚きに目を見開くとニヤッと笑った。

「師匠」
「お、ちゃんと記憶しているな」
「師匠も?」
「当然だ。じゃあ、呪いを潰しに行くぞ」

孤児院の中庭でする様な会話では無いが、巻き戻った時に都合よく現れたファルシオンをアリッサは、呆れながらも嬉しかった。


「魔法使いとしての才能があるので、弟子として引き取りたい」

後日、両親や兄や姉を前にファルシオンは真面目な顔でアリッサを弟子として迎えたい、と言ってきた。

「この子が」

父のベンジャミン・リスリム子爵は驚いていたが、母のデルフィ・リスリムは乙女の様に頬を赤くしキラキラした目でファルシオンを見つめている。

18歳と言う若さで既に魔法使いの塔で活躍している美貌の青年。
騒ぐなと言う方が無理だ。


魔法使いの塔に入れるのは12歳になってからなので、2年は親元に居ながらファルシオンが指導することになった。

「アリッサに魔法使いの才能がある、と言われた時は信じられなかったが」
「アリッサ凄いわ」

魔法使いの塔の訓練場で、ファルシオンとの訓練を見ていた両親や兄姉達は手放しでアリッサを褒めた。

既にかなり上位の魔法使いであるアリッサは更に腕を上げ、ファルシオンに並ぶ魔法使いになった為、15歳になっても学園に通うことなくそのまま魔法使いの塔で仕事をこなす様になった。


「師匠、これ、本当に受けるんですか?」

17歳になったアリッサが、目の前に置かれた依頼書をしげしげと見ながらファルシオンに尋ねると

「ループの元凶はどうやら学園にある様なんで潰しに行く」

前の時はあれほど怠惰で、手元の物さえ自分で取らなかったファルシオンのセリフにアリッサは目を見開いて驚いた。

「師匠がやる気を出すなんて。明日は槍が降って来ますね」
「アリッサ、お前は俺の弟子だろ。当然、お前も行くんだよ」
「えー。嫌です」
「拒否権はない。来月から学園で仕事になるから、準備しとけよ」
「師匠の横暴さは前回だけで結構です」

言い合いをしながらも、2人は楽しげに残りの仕事に向かった。
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