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7回目の人生

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「またですか」

慰問に来ていた孤児院の中庭で、小さな手を見ながらアリッサは子供らしからぬ深いため息をついた。

これで7回目の人生。
望んでいない人生のやり直しに、いい加減やさぐれるというものだ。


1度目は普通の貴族の娘のように釣り合う身分の男性と結婚したが、あまりにクズなので切り捨てようとした時、目眩が起こり10歳にまで戻ってしまった。

2度目は結婚に見切りをつけ、貴族の次女らしく働きに出よう、と考え学園では勉強に励み王宮の官僚になった。
王宮での仕事はやり甲斐はあったが、上司の理不尽な対応に嫌気がさした時、また目眩と共に時間が巻き戻っていた。

3度目は結婚も官僚になる事も諦め、騎士として生きようと思い、鍛錬を重ね王妃陛下の身辺護衛騎士になった。
此方はやっかみも少なく順調で、前の人生より長かったのにまた、10歳に戻されてしまった。

4回目は騎士ではなくギルドに登録して冒険者として生きたが、一回目の時より早く戻され、5度目も冒険者になったが、仲間が魔獣に襲われた事で、魔法の重要性を痛感した時戻った為、6度目は魔法使いになることを決意した。

驚く事に、巻き戻されるたびに身に付けた技術や経験、知識が全て継承されている為、アリッサは恐ろしく有能になっていた。
ただ、いつ巻き戻されるかわからない為結婚や恋愛は諦めていた。

そんな6度目の時、学園を卒業後、魔法使いの塔に所属する大魔法使いのファルシオンと出会った。

有能だが面倒臭がりで横暴なところもあるファルシオン。
だが、彼のそばが今までの人生の中で一番自分らしく、そして長く生きられていた。
しかもアリッサに掛けられた呪いのような魔法を一目で見抜き、解呪しようともしてくれた。

「アリッサ。君に掛けられた呪いは必ず解く。そうしたら俺と結婚しろ」
「はあ?師匠、この頃の暑さに頭、やられました?」

25歳になっていたアリッサが呆れた顔でファルシオンを見たが、ファルシオンは真面目な顔でアリッサを見つめ返していた。

「アリッサ、君とは8歳という年齢差があるが、君だけが俺を恐れず対等に接してきた。それがどれだけ嬉しかったか教えてやる」

強大な力を持つ人の孤独。
この人に寄り添って居たい、とアリッサが頷いた時、また時間が巻き戻ってしまった。
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