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バタフライエフェクト。

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「……そんな事が、起こっていたかもしれなかったとは」

ジェフリーが青くなって自分の腕を摩る。
ルーファスも額に手を当て、言葉を失っていた。

「俺も君達も当事者だから、下手すると何も出来なかったかもしれないから、同じ予知夢を見たシルヴィーに対処を頼んだんだ」

後付けっぽい理由だが、案外的を射てるのかもしれない。

「ところが、お花畑撲滅を目指していたら、大馬鹿者達の陰謀まで潰す羽目になった、て訳」
「確かに。予知夢には無い展開ですね」

ウィリアムとルーファスがうんうん、と頷き合っている。
そうだろう。ゲームにはこんな大かがりな陰謀なんて無かった。

「まっ、バタフライエフェクトだな」
「バタフライ?何ですの?初めて聞きました」

イザベルが聞きなれない言葉に、興味津々の顔で、ウィリアムを見詰める。

「蝶が何処かで羽ばたいたら、別の場所で嵐が起きる、の様に些細な切っ掛けで物事が大きくなるって感じかな」

お花畑撲滅を些細な切っ掛け、と言うのもおかしな話だが、結果的に間違いではない。

「どちらかと言えば、ウィリアム殿下とシルヴィー嬢が同じ予知夢を見たから、ではないでしょうか」
「俺達が?」

ジェフリーが何かを考えながら頷く。

「はい。どちらかだけが予知夢を見たとしても、これ程深く、あの阿呆一族の根絶やしは出来なかった筈です」

言われてみればそうかもしれない。
ただ、言っている事がかなり辛辣なのは、この部屋では通常運転だ。

ウィリアムだけならば、何が出来るか解らなかっただろう。

シルヴィーだけなら、ある程度のことは出来ただろうが、範囲はもっと狭かった筈だ。

シルヴィーの行動力と計画を、ウィリアムの人脈と権力が後押しした事で、大きく事が動いた。

「多分、ジェフリーが正しいだろう。既に、蝶は羽ばたき、嵐は起きる」

ウィリアムが冷ややかに笑う。
その冷たい笑みを誰一人、怯えもせず頼もしげに受け止めている。

「では、パトリック殿下。明日は名演技を期待してます」
「任せて。ルーミアの尻尾はがっちり掴むから」
「シルヴィー、私達は動揺を隠しているフリをすれば良いのね」

イザベルも、自分の役割をしっかり理解している。
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