54 / 114
恐ろしい物を渡されていました。
しおりを挟む
「まだ、入学して5日なんですが……」
突然、生徒会室に放り込まれたシルヴィーが説明を求める様にウィリアムを睨んでいる。
生徒会室にはジェフリーとルーファス以外のメンバーが揃っており、とても煌びやかで目が痛くなりそうだ。
「必須科目以外の授業が免除の君なら、生徒会の仕事に専念して貰えると思うんだが」
「ご冗談を。私は、選択する全ての授業を受けるつもりです」
生徒会の仕事を丸投げする気ですか?と睨むシルヴィーの横で
「良かった。私、シルヴィーと高度魔法学の授業受けるの楽しみにしていたのよ」
「わたくし、そちらの科目は取っていないので羨ましいです」
と、シンシアとイザベルがコロコロ笑っていた。
とんでも無く有能で、既に卒業資格まで取得しているシルヴィーに生徒会の仕事を全面的にしてもらおうとしているウィリアムに、シルヴィーは素気無くNOを突き付けた。
「それに、あのお花畑さんが黙っているとは思えません」
「そう言えば、そろそろ許されて出ても良い頃ですが……」
ある程度ウィリアムから話を聞いているパトリックも首を傾げる。
「あいつなら暫く出て来れないぞ」
「まぁ!」
「何をしました?」
ピンク頭の生徒が謹慎牢に入ったのが入学式当日だから既に謹慎期間は過ぎている。さすがにシルヴィーとイザベルは彼女は謹慎牢から出る頃だ、と思っていた。
「何にも。謹慎している間に出される課題をクリア出来ないから、出られないだけだ」
ウィリアムの言葉にシルヴィー達がえっ?っと首を傾げた。
「あの阿婆擦れ、簡単な課題さえまともに出来ないらしく、ガーネット女史が延長を決めたそうだ」
どんどんゲームのシナリオから外れていく現実にシルヴィーはクスッと笑う。
「それでしたら、ちょっとだけお手伝いします。でも、騎士科の授業と高度魔法学の授業だけは絶対、皆勤賞で受けますから」
「両方とも授業数が多いけど」
「この2つは父から絶対、受けるよう言われましたので」
騎士科の授業は騎士になる者達の必須科目で、高度魔法学の授業は王宮魔術院の仕事を得るために必要な物。
シルヴィーの将来はまだ決まっていない為、絞り切れなかった科目らしい。
「でも、シルヴィーは剣受式の試験、突破しているのでしょ?」
「はい。ですが理由は良く分からないのですが、父と兄が受けろ、と言ってますし、エインから渡された物が……」
イザベルの疑問にシルヴィーも首を傾げたが、入学初日にエインが何も考えずイーリスを渡すはずが無い。
「シルヴィー、あれさぁ……」
ウィリアムがちょっと言い澱みながらシルヴィーを見る。
「なんでしょう?」
「鞘を替えているから他の奴らは分からないと思うけど、あれ、王宮の宝物殿にあった3振の1つだ」
「えっ!」
シルヴィーが絶句するのも無理はない。
王宮の宝物殿には伝説のイーリスが3振ある。
1つは、妖精達を受け入れ、アレキサンド建国の王が持っていたソード。
もう1つは妖精達を守った勇者がアレキサンド王国に贈ったソード。
そして最後の1つは妖精の女王が持っていたレイピア。
シルヴィーの手元にあるのは、そのレイピアだとウィリアムは言うのだ。
「すっすぐに返して来ます」
「いってらっしゃい。多分無理だと思うけどな」
ウィリアムの言葉も聞かず、シルヴィーはレイピアを持ってエインの元に走った。
突然、生徒会室に放り込まれたシルヴィーが説明を求める様にウィリアムを睨んでいる。
生徒会室にはジェフリーとルーファス以外のメンバーが揃っており、とても煌びやかで目が痛くなりそうだ。
「必須科目以外の授業が免除の君なら、生徒会の仕事に専念して貰えると思うんだが」
「ご冗談を。私は、選択する全ての授業を受けるつもりです」
生徒会の仕事を丸投げする気ですか?と睨むシルヴィーの横で
「良かった。私、シルヴィーと高度魔法学の授業受けるの楽しみにしていたのよ」
「わたくし、そちらの科目は取っていないので羨ましいです」
と、シンシアとイザベルがコロコロ笑っていた。
とんでも無く有能で、既に卒業資格まで取得しているシルヴィーに生徒会の仕事を全面的にしてもらおうとしているウィリアムに、シルヴィーは素気無くNOを突き付けた。
「それに、あのお花畑さんが黙っているとは思えません」
「そう言えば、そろそろ許されて出ても良い頃ですが……」
ある程度ウィリアムから話を聞いているパトリックも首を傾げる。
「あいつなら暫く出て来れないぞ」
「まぁ!」
「何をしました?」
ピンク頭の生徒が謹慎牢に入ったのが入学式当日だから既に謹慎期間は過ぎている。さすがにシルヴィーとイザベルは彼女は謹慎牢から出る頃だ、と思っていた。
「何にも。謹慎している間に出される課題をクリア出来ないから、出られないだけだ」
ウィリアムの言葉にシルヴィー達がえっ?っと首を傾げた。
「あの阿婆擦れ、簡単な課題さえまともに出来ないらしく、ガーネット女史が延長を決めたそうだ」
どんどんゲームのシナリオから外れていく現実にシルヴィーはクスッと笑う。
「それでしたら、ちょっとだけお手伝いします。でも、騎士科の授業と高度魔法学の授業だけは絶対、皆勤賞で受けますから」
「両方とも授業数が多いけど」
「この2つは父から絶対、受けるよう言われましたので」
騎士科の授業は騎士になる者達の必須科目で、高度魔法学の授業は王宮魔術院の仕事を得るために必要な物。
シルヴィーの将来はまだ決まっていない為、絞り切れなかった科目らしい。
「でも、シルヴィーは剣受式の試験、突破しているのでしょ?」
「はい。ですが理由は良く分からないのですが、父と兄が受けろ、と言ってますし、エインから渡された物が……」
イザベルの疑問にシルヴィーも首を傾げたが、入学初日にエインが何も考えずイーリスを渡すはずが無い。
「シルヴィー、あれさぁ……」
ウィリアムがちょっと言い澱みながらシルヴィーを見る。
「なんでしょう?」
「鞘を替えているから他の奴らは分からないと思うけど、あれ、王宮の宝物殿にあった3振の1つだ」
「えっ!」
シルヴィーが絶句するのも無理はない。
王宮の宝物殿には伝説のイーリスが3振ある。
1つは、妖精達を受け入れ、アレキサンド建国の王が持っていたソード。
もう1つは妖精達を守った勇者がアレキサンド王国に贈ったソード。
そして最後の1つは妖精の女王が持っていたレイピア。
シルヴィーの手元にあるのは、そのレイピアだとウィリアムは言うのだ。
「すっすぐに返して来ます」
「いってらっしゃい。多分無理だと思うけどな」
ウィリアムの言葉も聞かず、シルヴィーはレイピアを持ってエインの元に走った。
74
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
【完結】ヤンデレ設定の義弟を手塩にかけたら、シスコン大魔法士に育ちました!?
三月よる
恋愛
14歳の誕生日、ピフラは自分が乙女ゲーム「LOVE/HEART(ラブハート)」通称「ラブハ」の悪役である事に気がついた。シナリオ通りなら、ピフラは義弟ガルムの心を病ませ、ヤンデレ化した彼に殺されてしまう運命。生き残りのため、ピフラはガルムのヤンデレ化を防止すべく、彼を手塩にかけて育てる事を決意する。その後、メイドに命を狙われる事件がありながらも、良好な関係を築いてきた2人。
そして10年後。シスコンに育ったガルムに、ピフラは婚活を邪魔されていた。姉離れのためにガルムを結婚させようと、ピフラは相手のヒロインを探すことに。そんなある日、ピフラは謎の美丈夫ウォラクに出会った。彼はガルムと同じ赤い瞳をしていた。そこで「赤目」と「悪魔と黒魔法士」の秘密の相関関係を聞かされる。その秘密が過去のメイド事件と重なり、ピフラはガルムに疑心を抱き始めた。一方、ピフラを監視していたガルムは自分以外の赤目と接触したピフラを監禁して──?
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
【完結】生贄として育てられた少女は、魔術師団長に溺愛される
未知香
恋愛
【完結まで毎日1話~数話投稿します・最初はおおめ】
ミシェラは生贄として育てられている。
彼女が生まれた時から白い髪をしているという理由だけで。
生贄であるミシェラは、同じ人間として扱われず虐げ続けられてきた。
繰り返される苦痛の生活の中でミシェラは、次第に生贄になる時を心待ちにするようになった。
そんな時ミシェラが出会ったのは、村では竜神様と呼ばれるドラゴンの調査に来た魔術師団長だった。
生贄として育てられたミシェラが、魔術師団長に愛され、自分の生い立ちと決別するお話。
ハッピーエンドです!
※※※
他サイト様にものせてます
俺もクズだが悪いのはお前らだ!
レオナール D
ファンタジー
辺境伯家の跡継ぎであるディンギル・マクスウェル。
隣国との戦争ではいくつも手柄を上げ、内政にも明るく、寄子の貴族からの人望もある。
そんな順風満帆な人生を送る彼に、一つの転機が訪れた。
「ディンギル・マクスウェル! 貴様とセレナとの婚約を破棄させてもらう!」
円満だと思っていた婚約者が、実は王太子と浮気をしていた。
おまけにその馬鹿王子はマクスウェル家のことをさんざん侮辱してきて・・・
よし、いいだろう。受けて立ってやる。
自分が誰にケンカを売ったか教えてやる!
「俺もクズだが、悪いのはお前らだ!!」
婚約破棄から始まった大騒動。それは、やがて王国の根幹を揺るがす大事件へと発展していき、隣国までも巻き込んでいく!
クズがクズを打ち倒す、婚約破棄から始まる英雄譚!
転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました
みなみ抄花
恋愛
睦見 香桜(むつみ かお)は今年で19歳。
日本で普通に生まれ日本で育った少し田舎の町の娘であったが、都内の大学に無事合格し春からは学生寮で新生活がスタートするはず、だった。
引越しの前日、生まれ育った町を離れることに、少し名残惜しさを感じた香桜は、子どもの頃によく遊んだ川まで一人で歩いていた。
そこで子犬が溺れているのが目に入り、助けるためいきなり川に飛び込んでしまう。
香桜は必死の力で子犬を岸にあげるも、そこで力尽きてしまい……
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています
平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。
生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。
絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。
しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる