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威力は絶大。

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「ギャア」

突然、場違いな女の悲鳴に、光を目で追っていた者達が顔を上げると視線の先には貧相な胸元と油でテカテカの髪を押さえる不自然な格好の女が居た。

御前会議に出るにはケバケバしい化粧と派手なドレスの女。こいつが誰であるかは、この場にいる者達は皆知っている。

「ジルコニア伯爵令嬢、騒がしいですよ。おや?髪飾りが砕けているみたいですが、如何なされました?」

ラリマー宰相の冷たい声に周りの者達が魔法陣と女の砕けた髪飾りを交互に見る。

「この魔法陣は、いったい何の魔法陣なのですか?」

誰かが疑問に思って声を上げる。

誰だか知らないが、良いタイミングだ。

「この魔法陣は、旧アイテムの効力を完全無力化出来る優れもので、その威力は半永久的だ」

シルヴィー。お前、どんだけすごいもん作ったんだよ!!

魔術院長官の言葉に周りは更に騒めいたが、蒼白な顔のジルコニア伯爵親子が見ものだ。

「成程。どうりで頭がスッキリしたと思いました」

低い声だが、しっかりとした響きの言葉が謁見の間の騒ぎを静めた。

「ゼオン様」
「私に触れるな、汚らわしい」

髪飾りを押さえていた女がゼオン、と呼ばれる騎士にしがみ付こうとして突き飛ばされた。
どうやら総騎士団長の嫡男は、アイテムの魔力が無事解呪された様だ。

「おや、総騎士団長の嫡男、ゼオン様はジルコニア伯爵令嬢との婚約を望んでいない様ですね」

ラリマー宰相達が冷ややかな目を向けている。
いい加減、伯爵にも令嬢、令息にも名前はあるのに誰も呼ばないって事に気が付けよ。

「そんなはずないわ。ゼオン様は私と愛し……」
「お前には嫌悪感しか無い。よくも私を魔力で服従させたな」

怒りを顕にゼオンは剣に手を掛け、翡翠の瞳に鋭い殺気を滲ませ女を睨みつけている。

「ジルコニア伯爵令嬢を拘束しろ。ゼオン・ジェイド総騎士団長令息、謁見の間を血で汚す必要はない」
「御意」

俺の言葉に一旦引いたが、あれは相当怒っているぞ。
なんか手は無いのか?って思いながらラリマー宰相を見るとニヤって笑って頷いた。

「ところで、次期錬成士長のカイン殿でしたら如何します?」
「先日、他の錬成士が作成に成功したアイテムで魔力を大幅に削る事が出来るものがあり、それを使えば良き見せしめになるでしょう」

ラリマー宰相の問い掛けにカインは少し考え、1つの案を出した。

この世界は魔力が無いと生活するのは難しい。
火をつけるのも、水を汲むのも全て魔力で行われている。

貴族ならまだマシかもしれないが、平民で魔力無しは野垂れ死か物乞いになるしか無い。

あー、女なら別の道もあるけど。カイン、何気に冷酷な案出してるな。

「では、国王陛下。旧アイテム使用の罰則はそのアイテムを付けさせ、貴族位を剥奪する事にしては如何でしょうか」

俺が確認を取る様に目を向けると、国王は静かに頷いた。

「魔力をかけられた者の屈辱を鑑みれば、妥当な判断だ。明文に記載しておけ」
「そ、そんな無慈悲な……」

そんな物使っていない、と叫ばれると面倒だが、現物があるから言い逃れは出来ないだろう。

国王の言葉に令嬢だけで無く、伯爵本人もへたり込んでしまった。
甘い判断は後から苦労が追っかけて来るからやる時は徹底的にするのは物事の鉄則だろ。

伯爵本人には罰は出来ないがまっ、これでジルコニア伯爵家の力も随分削れたからパトリックも生きやすくなるだろ。

さて、今日の仕事は終わったから部屋にでも帰るか。
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