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第101話

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 エリスは力強く頷き、言う。

「はい! お師匠様に鍛えていただいたおかげて、私、たったの三ヶ月間で、見違えるほどに強くなりました! これなら、確実にお義父さんの仇を……」

 そんなエリスの言葉を、ユーゲンスは短くも厳しい声で遮った。

「もういいんじゃないかのう」

「えっ?」

「もう、復讐の旅など、よさんかと言うておるのじゃ。お前は、エルフの『血の掟』にこだわっているのかもしれんが、お前の義父であるノッドルは、復讐など望んでおらぬよ……ワシの息子じゃ……あやつの考えていることは、誰よりもワシが一番よく分かっておる……」

「でも、お爺ちゃん……」

「ノッドルが誰と戦ったのかは知らぬが、不意打ちならともかく、真正面から戦い、敗れ、そして死んだのなら、それは正当なる果し合いの結果じゃ……たとえ義理の娘でも、部外者が口を出すことではない……ましてや、相手を恨んで仇討ちなど、武術家として恥ずべきことじゃ……エリスよ、お前が里を飛び出す前にも、ワシはそう言って諭したな……」

「…………」

「しかし、激昂しやすいお前は、ワシの言うことを聞かずに、仇討の旅に出た。……噂は聞いておるぞ。世界各地で、かなり荒っぽいことをしたそうじゃないか。ノッドルはそんなことをさせるために、捨て子だったお前を拾って、『エルフ式魔術ボクシング』を教えたわけではないぞ」

「でも……お爺ちゃん……でも……」

「そしてお前は、無謀にも聖女ディーナ様に戦いを挑み、返り討ちとなった。ディーナ様がお優しい方であったから良かったが、普通なら、滅茶苦茶な因縁をつけて襲い掛かって来たお前など、殺されているところだぞ。お前、自分が何をやったのか、本当にわかっているのか?」

 ユーゲンスの言葉は、重く、厳しかった。
 その表情に、先程の好々爺の面影は、まったくない。
 祖父として、言うべきことは言わなければならないと思っているのだろう。

 エリスは黙り、俯いて、唇を噛んでいた。
 その姿が、なんだかとても哀れで、私はつい、助け舟を出してしまう。

「ユーゲンスさん、エリスも反省していますし、どうかもうその辺で……」
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