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第4話
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しかし、職業斡旋所で突き付けられたのは、厳しい現実だった。
「すみません、聖女様。市民証がない人には、お仕事を紹介できないんですよ。役所の決まりなんで、ご容赦ください」
そう言って、職業斡旋所の職員は、私を門前払いした。……最近はどの町でも、きちんとした身分証を提示できなければ、まともな職に就けないとは聞いていたが、まさか、お仕事探しの相談にすら乗ってもらえないとは。
いや、そりゃ、身分証はないけどさぁ……これでも毎日、新聞の一面を賑わせていた聖女なんだから、何か、仕事を紹介してくれてもいいじゃないの……ほら、聖女の癒しの力を有効活用できる、病院とかさぁ……
と、そこまで考えて、『癒しの力』が、今となってはそれほど貴重な能力ではないことに気がつく。『ヒーラー』なる、特殊な回復職が誕生してからは、それまで回復のスペシャリストだった僧侶の仕事も減ったって言うもんねぇ。僧侶も聖女も、もう、時代遅れなのかなぁ……
ふいに、勇者ラジエスの言ったセリフが、頭の中で再生される。
『聖女なんて、もう時代遅れだ。これからはヒーラーの時代だよ』
悔しいが、本当にそうなのかもしれない。
まあ、それならそれで、仕方ない。
こうなったら、私のもう一つの特技である武術を活かして、お金を稼ぎましょう。あちこちで魔物が暴れ、人の心も乱れているこんな時代だもの、用心棒とか、賞金首退治とかで、腕利きの武術家を必要としている場所が、いくらでもあるはずだわ。
・
・
・
そして私は、賞金首狩り――いわゆる『バウンティハンター』になった。
最初は、お給料の良さそうな、要人警護の職に就こうと思ったのだが、ああいうのは、非常に厳しい身元調査があり、家柄が良いわけでもなく、しかも、直近三ヶ月以内に仕事をクビになっている私は、面接すらしてもらえなかった。
なんだか悔しくて、『もう誰でもいいから、私を用心棒として雇って!』って感じで色んな所に声をかけてみたんだけど、話を聞いてくれたのは、タチの悪いチンピラが、昼間っからたむろしているような酒場だけだった。
……いくらなんでも、ほんのちょっと前まで勇者のパーティーに属していた聖女が、チンピラ酒場の用心棒を務めるわけにはいかないでしょ。だいたい、どんなに大金を積まれても、世の人々に迷惑をかけているタチの悪いチンピラなんて、守ってやりたくはない。
と、言うわけで、私は誰かに雇われることを諦め、自分で賞金首を狩って、賞金を稼ぐことにしたのである。賞金首は基本的に悪党ばかりだから、そういう連中をやっつければ、世の中のためにもなるしね。
「すみません、聖女様。市民証がない人には、お仕事を紹介できないんですよ。役所の決まりなんで、ご容赦ください」
そう言って、職業斡旋所の職員は、私を門前払いした。……最近はどの町でも、きちんとした身分証を提示できなければ、まともな職に就けないとは聞いていたが、まさか、お仕事探しの相談にすら乗ってもらえないとは。
いや、そりゃ、身分証はないけどさぁ……これでも毎日、新聞の一面を賑わせていた聖女なんだから、何か、仕事を紹介してくれてもいいじゃないの……ほら、聖女の癒しの力を有効活用できる、病院とかさぁ……
と、そこまで考えて、『癒しの力』が、今となってはそれほど貴重な能力ではないことに気がつく。『ヒーラー』なる、特殊な回復職が誕生してからは、それまで回復のスペシャリストだった僧侶の仕事も減ったって言うもんねぇ。僧侶も聖女も、もう、時代遅れなのかなぁ……
ふいに、勇者ラジエスの言ったセリフが、頭の中で再生される。
『聖女なんて、もう時代遅れだ。これからはヒーラーの時代だよ』
悔しいが、本当にそうなのかもしれない。
まあ、それならそれで、仕方ない。
こうなったら、私のもう一つの特技である武術を活かして、お金を稼ぎましょう。あちこちで魔物が暴れ、人の心も乱れているこんな時代だもの、用心棒とか、賞金首退治とかで、腕利きの武術家を必要としている場所が、いくらでもあるはずだわ。
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そして私は、賞金首狩り――いわゆる『バウンティハンター』になった。
最初は、お給料の良さそうな、要人警護の職に就こうと思ったのだが、ああいうのは、非常に厳しい身元調査があり、家柄が良いわけでもなく、しかも、直近三ヶ月以内に仕事をクビになっている私は、面接すらしてもらえなかった。
なんだか悔しくて、『もう誰でもいいから、私を用心棒として雇って!』って感じで色んな所に声をかけてみたんだけど、話を聞いてくれたのは、タチの悪いチンピラが、昼間っからたむろしているような酒場だけだった。
……いくらなんでも、ほんのちょっと前まで勇者のパーティーに属していた聖女が、チンピラ酒場の用心棒を務めるわけにはいかないでしょ。だいたい、どんなに大金を積まれても、世の人々に迷惑をかけているタチの悪いチンピラなんて、守ってやりたくはない。
と、言うわけで、私は誰かに雇われることを諦め、自分で賞金首を狩って、賞金を稼ぐことにしたのである。賞金首は基本的に悪党ばかりだから、そういう連中をやっつければ、世の中のためにもなるしね。
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