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第85話

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 リーゼルはプラチナカードをテーブルに並べ、まるで暗号の解読でもするみたいに、カードの配置を変えたり、裏返したりして、何かの情報を読み取ろうとしている。

 そして数秒後、プラチナカードは不意に光るのをやめた。カードが光っていた時間は、実質10秒ちょっとだと思う。そんな短い時間で、どこへ行けば『魔女のお茶会』とやらに参加できるのか、分かったのだろうか?

 私は空腹も忘れてリーゼルの元に駆け寄り、尋ねた。

「どう? 『魔女のお茶会』がどこで開かれるか、分かった?」

 リーゼルはやや興奮した様子で、力強く頷く。

「ああ。時間は今日の夜12時。場所は、町はずれの廃教会だ」

「へえ、夜の廃教会かぁ。いかにも『魔女のお茶会』って感じね」

「そうだな……」

 リーゼルはそこで一度言葉を切り、もう光ることもないプラチナカードを見つめ、万感の思いを吐き出すように呟いた。

「これで、やっと終わる……『至高なる魔女の会』も、俺とフェルヴァの、馬鹿げたゲームも……」





 そして時は流れ、現在時刻――夜の11時50分。

 私とリーゼルは『魔女のお茶会』の会場である、廃教会の前にいた。私はいつも通りの黒帽子、リーゼルも、いつも通りの青いコート。お茶会に合わせて、特におめかしなどはしていない。

 はるか遠くで、犬の遠吠えが聞こえる。
 それ以外は、とても静かな夜だ。

 私は、やや緊張した様子のリーゼルの心を解きほぐすように、あえて明るい声で問う。

「ねえ、『魔女のお茶会』の場所って、本当にここであってるの? ここ、とてもお茶を楽しめるような環境じゃないと思うんだけど。『倒壊の危険性があるため立ち入り禁止』って看板も立ってるし……」

 そう。私がいま述べた通り、『廃教会』は、廃屋と形容するのもはばかられるほど、ボロボロな建物だった。ほとんど瓦礫だらけで、言われなければ、ここが元々は教会だったなんて信じられないくらいである。

 リーゼルは、長い黒髪を丁寧に収めるようにキャップを被り直し、一度深呼吸をしてから答える。

「ここであってるよ。それに『魔女のお茶会』って言っても、別に奴らはお茶を楽しむために、わざわざこんな深夜に集まってるわけじゃないんだ。『お茶会』っていうのは、ただの言葉遊びだよ。まあ、気まぐれでお茶を飲むこともあるだろうけどね」

「ふうん、じゃあ、何のために集まってるの?」
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