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第81話
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勝負あった。
そう思い、グッとこぶしを握った瞬間。
アデットお姉様が首を伸ばし、もの凄い目で私を見て、叫んだ。
「レベッカ! お前の魔力をよこしな! そうすれば私の逆転勝利だ!」
私は、アデットお姉様の言っていることの意味が分からず、小首をかしげる。
「えっ?」
「『えっ?』じゃないよ、この間抜けがぁ。お前、自分じゃ気づいてないけど、かなりの魔力があるんだよ。もっとも、訓練したことがないから、魔法自体は使えないだろうけどさ。その、お前の魔力を、私によこせって言ってるんだよ。なあに、そんなに難しいことじゃない。手のひらを私に向けて『魔力を渡す』と願えばいいのさ」
そしてアデットお姉様は、先程までの狼狽ぶりが嘘のように嫌な笑みを浮かべ、アスラさんに向き直った。
「アスラちゃん、アスラちゃん、アスラちゃぁん。いやぁ、参ったよ。一対一なら、きみの勝ちだ。でもねぇ、レベッカを連れてきちゃったのはまずかったねぇ。こいつは私の言いなりだ。レベッカの魔力を吸い取っちまえば、きみがどんな小細工をしても、魔力量は圧倒的に私の方が上になる、そうなりゃ、確実に私の勝ちだぁ」
アスラさんは、心底見下した顔で言う。
「呆れた物言いね。あれこれ小細工をして、こんなところまで私を呼び寄せたのはあなたの方でしょう? それなのに、負けそうになったら他人に頼るのね。さっき、『負けて死ぬならそれはそれでいい』みたいなこと言ってたけど、実際に敗北が見えたら、急に怖くなったのかしら? しょせん、見せかけの狂気だったってわけね」
「うるさぁいっ! 負けて楽しい勝負なんてあるわけないだろぉ!? 何を言おうが、何をやろうが、最後に勝ちゃぁいいんだよ! ほら、レベッカぁ、このノロマがぁ! ボーっと突っ立ってないで、早く魔力をよこせっ! お姉ちゃんの言うことが聞けないのかい!?」
凄まじい怒声と共に、アデットお姉様の魔力が波動となって私の全身を叩く。
恐ろしかった。
正直に言って、恐ろしかった。
アデットお姉様は、いつもこうやって怒鳴って、私に酷いことをしたから。
特に、何度もされたのが、雷光の魔法を使った拷問まがいのいじめだ。
そのせいで、今でも私は、雷の音を聞くと、震えが止まらなくなる。
そう思い、グッとこぶしを握った瞬間。
アデットお姉様が首を伸ばし、もの凄い目で私を見て、叫んだ。
「レベッカ! お前の魔力をよこしな! そうすれば私の逆転勝利だ!」
私は、アデットお姉様の言っていることの意味が分からず、小首をかしげる。
「えっ?」
「『えっ?』じゃないよ、この間抜けがぁ。お前、自分じゃ気づいてないけど、かなりの魔力があるんだよ。もっとも、訓練したことがないから、魔法自体は使えないだろうけどさ。その、お前の魔力を、私によこせって言ってるんだよ。なあに、そんなに難しいことじゃない。手のひらを私に向けて『魔力を渡す』と願えばいいのさ」
そしてアデットお姉様は、先程までの狼狽ぶりが嘘のように嫌な笑みを浮かべ、アスラさんに向き直った。
「アスラちゃん、アスラちゃん、アスラちゃぁん。いやぁ、参ったよ。一対一なら、きみの勝ちだ。でもねぇ、レベッカを連れてきちゃったのはまずかったねぇ。こいつは私の言いなりだ。レベッカの魔力を吸い取っちまえば、きみがどんな小細工をしても、魔力量は圧倒的に私の方が上になる、そうなりゃ、確実に私の勝ちだぁ」
アスラさんは、心底見下した顔で言う。
「呆れた物言いね。あれこれ小細工をして、こんなところまで私を呼び寄せたのはあなたの方でしょう? それなのに、負けそうになったら他人に頼るのね。さっき、『負けて死ぬならそれはそれでいい』みたいなこと言ってたけど、実際に敗北が見えたら、急に怖くなったのかしら? しょせん、見せかけの狂気だったってわけね」
「うるさぁいっ! 負けて楽しい勝負なんてあるわけないだろぉ!? 何を言おうが、何をやろうが、最後に勝ちゃぁいいんだよ! ほら、レベッカぁ、このノロマがぁ! ボーっと突っ立ってないで、早く魔力をよこせっ! お姉ちゃんの言うことが聞けないのかい!?」
凄まじい怒声と共に、アデットお姉様の魔力が波動となって私の全身を叩く。
恐ろしかった。
正直に言って、恐ろしかった。
アデットお姉様は、いつもこうやって怒鳴って、私に酷いことをしたから。
特に、何度もされたのが、雷光の魔法を使った拷問まがいのいじめだ。
そのせいで、今でも私は、雷の音を聞くと、震えが止まらなくなる。
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