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第3話

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 ゲスな女。
 卑しい卑しい、平民の、ゲス女。

 死ね。

 死ね。

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。

 私は思わず、自分自身の心が入ったウィネットの首を、へし折ってやりたい衝動に駆られた。たぶん、今の私の顔は、憎悪で鬼女のようになっていることだろう。ああ、こんな表情、愛するランデリック様に見られたら大変だわ。

 しかし、ランデリック様は、とても疲れた様子で、私の方を見る余裕もないのか、もう一度深いため息を漏らし、話し続ける。

「……でも、これで良かったんだよな。このままだと、何かあった際、僕の婚約者であるというだけで、アレクシスにもあらぬ疑いがかけられる可能性がある。全部、彼女のためだ。……革命が成功したら、すべての理由を話して、僕は正式に、アレクシスにプロポーズしようと思う。その時までの辛抱だ」

 ……?

 今、なんて言ったの……?

 革命?

 革命って言った……?

 それに、私に、正式にプロポーズしようと思うって……

 いったい、どういうこと……?





 ランデリック様が言っていたことの意味が分かったのは、それから数日後のことだった。

 ……なんと、ウィネットは、暴政で市民を苦しめる国王への反逆を計画する、革命団の一員だったのである。ウィネットは、身分と名前を偽り、『平民』として行動していたが、実際は下級の貴族で、しかも、革命団でもかなり重要な地位についていたらしい。

 何故、そんなことがわかったのかと言うと、私の心が入ったウィネットの体が、拘束されたからだ。……自分が革命団幹部の体に入っているとは夢にも思わず、フラフラと危険な所を出歩いていたのが、まずかったらしい。

 私は、軍の施設に連れていかれ、鎖でつながれた。
 口には、猿ぐつわが噛まされ、呻き声しか上げることができない。

 数日前の会話の内容から察するに、ランデリック様も革命団の一員なのだろうが、ランデリック様はまだ、指名手配されていないようである。……それも当然だろう、革命団は、一般市民にとっては、実在しているのかどうかも怪しい感じの、謎多き集団だ。軍ですら、構成員の正確な情報をほとんど掴んでいない。
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