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第48話
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いつの間にか、ルイーズもこちらに体を向けていた。
そして、乾いた笑みを浮かべていた。
「いえ、あんたの言う通り、虚しい探索よ。ふふっ、今晩くらいは正直な気持ちを話すわ。なんだか疲れちゃったしね。……私ね、エルフィン・カルドライトのことなんて、本当はどうだっていいのよ」
「ええっ?」
「何がエルフの秘宝よ。ただのでかい宝石じゃない。そんなものが盗まれたくらいで血相を変える連中も、精神を病んで死んだ父さんも、おかしくなった母さんも、態度を変えたやつらも、みんなみんなくだらないわ。心底うんざりする」
「じゃあ、どうして必死になって世界中を探し回ってるんだ?」
「理由は二つ。一つは、他にやりたいことがないからよ。エリートとして、エルフの世界で成り上がる道はついえた。ほとんどのエルフから無視され、人間関係を築くことすらできない。今の私にできることは、根無し草のように世界をさまようことだけ。……そのかすかな道しるべが、エルフィン・カルドライトってわけね」
「もう一つの理由は?」
「そうね……理由っていうか、夢、かな」
夢か。さっきから、乾いた空虚な笑いを浮かべてばかりだったルイーズの口から、前向きな単語が出たことで、俺は少しホッとした。
「どんな夢? 聞かせてよ」
「大した夢じゃないわ。もしもエルフィン・カルドライトを見つけたらね。エルフの里に持って帰って……」
「うんうん。持って帰って?」
「みんなの前で、ぶっ壊してやるのよ」
「…………」
「そして言ってやるの。あんたたちが後生大事にしてたのは、床に叩きつければ簡単に壊れてしまうただの石っころだって。そんなものをありがたがって、あんたたち全員大馬鹿の田舎者だって」
ルイーズの笑みは、もう乾いていなかった。
ただ、ただ、暗い笑みだった。
「でも、そんなことしたら……」
「ええ。当然死刑になるでしょうね。でも、それでいいと思ってたわ。だって、何もかも、うんざりだったから。気に入らない連中に、最後に意趣返しをして、いい気分で死ねるなら悪くないって思ってた」
「……『それでいいと思ってた』『悪くないって思ってた』か。『思ってた』ってことは、今はそう思ってないってことか?」
重箱の隅をつつくような指摘だが、ルイーズは怒ることなく微笑した。それは、乾いた笑みでも暗い笑みでもない、いつものルイーズの、柔らかい微笑みだった。
「ふふっ。あんたって、そういう細かいところ、案外よく気づくわよね。他のシャンパ人も、みんなそうなの?」
そして、乾いた笑みを浮かべていた。
「いえ、あんたの言う通り、虚しい探索よ。ふふっ、今晩くらいは正直な気持ちを話すわ。なんだか疲れちゃったしね。……私ね、エルフィン・カルドライトのことなんて、本当はどうだっていいのよ」
「ええっ?」
「何がエルフの秘宝よ。ただのでかい宝石じゃない。そんなものが盗まれたくらいで血相を変える連中も、精神を病んで死んだ父さんも、おかしくなった母さんも、態度を変えたやつらも、みんなみんなくだらないわ。心底うんざりする」
「じゃあ、どうして必死になって世界中を探し回ってるんだ?」
「理由は二つ。一つは、他にやりたいことがないからよ。エリートとして、エルフの世界で成り上がる道はついえた。ほとんどのエルフから無視され、人間関係を築くことすらできない。今の私にできることは、根無し草のように世界をさまようことだけ。……そのかすかな道しるべが、エルフィン・カルドライトってわけね」
「もう一つの理由は?」
「そうね……理由っていうか、夢、かな」
夢か。さっきから、乾いた空虚な笑いを浮かべてばかりだったルイーズの口から、前向きな単語が出たことで、俺は少しホッとした。
「どんな夢? 聞かせてよ」
「大した夢じゃないわ。もしもエルフィン・カルドライトを見つけたらね。エルフの里に持って帰って……」
「うんうん。持って帰って?」
「みんなの前で、ぶっ壊してやるのよ」
「…………」
「そして言ってやるの。あんたたちが後生大事にしてたのは、床に叩きつければ簡単に壊れてしまうただの石っころだって。そんなものをありがたがって、あんたたち全員大馬鹿の田舎者だって」
ルイーズの笑みは、もう乾いていなかった。
ただ、ただ、暗い笑みだった。
「でも、そんなことしたら……」
「ええ。当然死刑になるでしょうね。でも、それでいいと思ってたわ。だって、何もかも、うんざりだったから。気に入らない連中に、最後に意趣返しをして、いい気分で死ねるなら悪くないって思ってた」
「……『それでいいと思ってた』『悪くないって思ってた』か。『思ってた』ってことは、今はそう思ってないってことか?」
重箱の隅をつつくような指摘だが、ルイーズは怒ることなく微笑した。それは、乾いた笑みでも暗い笑みでもない、いつものルイーズの、柔らかい微笑みだった。
「ふふっ。あんたって、そういう細かいところ、案外よく気づくわよね。他のシャンパ人も、みんなそうなの?」
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