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第三章 誰にでも秘密はある

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 キャスティナは、お互いの気持ちを確認出来てホッとして肩の力が抜けた。エヴァン様に嫌われてなくて良かった。これからは、少しずつ素の自分を出していこう。

 キャスティナは、サンドイッチに手を伸ばす。もぐもぐと食べていると、執事のヒューがお茶を持って来てくれた。

「キャスティナお嬢様、お茶をお持ちしました」

「ヒューありがとう。ヒューにも心配かけたよね?ごめんなさい」

 キャスティナが、ヒューに向かって頭を下げた。

「いえ、ご無事に戻られて本当に良かったです。後でリズとリサにも顔を見せてあげて下さい。二人とも心配してましたから」

 ヒューが、安堵の表情を滲ませる。

「はい。二人にも謝らなくちゃね」

 キャスティナは、そう言うと紅茶を一口飲む。慣れ親しんだ紅茶の味だなと、改めて感じた。残りのサンドイッチをもぐもぐと食べていると、無言だったエヴァンが口を開いた。

「ところでキャスティナ、お世話になってた喫茶店のマスターってのはどんな人なのかな?その人の家に、泊まってたのかな?」

 エヴァンが、にっこり笑顔でキャスティナに向き合って質問してきた。

 あれ?何か、突然怖いんですけど!これ、久しぶりに怖い笑顔のやつ·····。今日一日ずっと説明ばっかりで疲れたのに·····。サンドイッチ食べたら、一休みさせて貰おうと思ってたのに。これ、絶対しゃべんなきゃいけないやつだ。もう、休憩させてよーっと心の中で叫んだ。

「えっと、マスターは尊敬する人です。私にとって、とっても大切な人で·····。あの、でもマスターは、結婚しててお子さんもいるので、心配する必要ないと言うか·····。それと、泊まらせてもらってたのは八百屋のおばあちゃんの家です」

 キャスティナは、マスターの事は話し出したらキリがないんだよなっと思いながら簡単に説明した。

「そうか·····大切な人か。今度一緒にお礼に行こうか?」

 エヴァンが、大切な人と言う言葉を噛み締めていた。

「はい。エヴァン様がよろしいのでしたら、是非!八百屋のおばあちゃんの所にもお礼に行きたいです。それに、マスターのコーヒーとっても美味しいんです。エヴァン様にも飲んでもらいたいです。私は毎朝、カフェオレとかココアをいれてもらってたんです。とっても美味しかったです」

 キャスティナは、キラキラの笑顔でエヴァンに向かって答えた。

「そう。毎朝、カフェオレやココアをいれてもらってたのか·····。ふーん。そう」

 エヴァンの温度が一気に低下したのが、キャスティナにもわかった。

「私は毎朝、キャスティナの心配していたよ?」

 エヴァンがにっこり笑顔を向ける。

「ごっ、ごめんなさい」

 この笑顔、怖いやつ。調子に乗ってしゃべりすぎたー。キャスティナは、動揺する。

「じゃあ、キスして欲しいな」

「えっ?」

「嫌なの?」

 なっなんで、キス?しかも、久しぶりのシュンッとしょげてるエヴァン様·····。これ、嫌って言えないやつ·····。

「いっ、嫌じゃないです」

「じゃあ、はい。あっ、でも口にしてね」

 えっ、えぇぇぇぇー。ハードル上がってます。そしてここで、ダメ押しのにっこり笑顔です。やらなきゃ、終われないやつです。

 キャスティナは、久しぶりに違ったドキドキで心の中で慌てふためいていた。キャスティナのドキドキが、部屋中に響き渡ってるんじゃないかと、錯覚するほど。キャスティナは、気合いを入れる。キスで機嫌が治るなら、可愛いものだわっと開き直る。

 キャスティナは、エヴァンに顔を近付ける。一瞬だったけど、唇が重なりあう。キャスティナが、顔を離そうとした瞬間、エヴァンに腕を取られてさらに唇が重なりあう。

 キャスティナは、びっくりしたがエヴァンが離してくれる気配がない。

「エッ、待っ。んっ」

 エヴァンが 深く口付ける。キャスティナは、突然の事でされるがまま。嫌ではないが、恥ずかしくて堪らない。キャスティナがエヴァンのキスで脱力した所で、エヴァンの気が済んだのか、ようやっと離してくれる。

「キャスティナ、大丈夫?」

 キャスティナは、顔を上げると目が潤んでいて顔が真っ赤になっている。

「キャスティナ、そんな顔してたらもっとキスしたくなっちゃうよ?」

 なんで、私が悪いみたいに言うのよー。キャスティナは、またしても心の中で叫ぶ。

「エヴァン様のせいです」

 キャスティナは、恥ずかしすぎてエヴァンに抱きついて顔を隠した。

 エヴァンは、ごめんごめんと言いながらキャスティナの頭を撫でる。二人は久しぶりに、甘い雰囲気を楽しんだ。
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